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昭和20年3月5日招集”22年11月22日頃招集軍隊生活2年8ヶ月位その⑧

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六◦二四
休み 軍体制で将校は蒙古人の言い成りだ
すこしは兵隊の身になって見ろ

七◦一
作業がだんだん激しく成り残業残業
十時頃歸る

七◦一一
蒙古の記念日にて休み

七◦二〇
作業中に発熱 四一度
室へ入り寝る 蒙古では熱が三十八度以上にならなければ作業休をくれぬ

七◦二四
作業が良く出来たとて一人一円ずつくれる

七◦三〇
朝よりコンクリ打ち 五十三リーベ(三階)
下より運ぶので残業 十一時頃迄
今の食べ物で良くこの作業が出来ると感心
朝 飯盒のふたに一杯のアワかゆ(ゆるい)と一緒に
晝食のパンを喰べ 晝は作業にて寝、夜食(七時頃)迄何にも喰べずに
働く 腹が馬鹿になってしまふのかな 内地に歸ったら何を喰っても働けるぞ

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八◦一
レンガ積下し 残業(自動車、九百枚を四人で約八分-十分間)

八◦三
休み、ホジルブランで別れし戦友、前川、功力、今はどうして居るかな
病院にて村山、細野、近江、鈴木、鶴岡、桐田の戦友に對ふ

入浴にて寝る、今月は歸れ相の話 ホントかな

八◦一二
作業がだんだん激しくなってきた

八◦一四
敗戦二年月 今日も残業 十時に歸る

八◦二二
今日は内地(魚商)なれば公休日だ 早く歸りたいなーーーーー

八◦二五
朝晩 寒い 今月ヒョウが三回も降る

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九◦一
朔望の月 歸還出来るかな ベトン(コンクリート)運び

九◦三
満月だ エンド豆と米の炊込ご飯 初めて喰る

九◦七
昨日は重労働だったが今日は軽作業

九◦一四
休み 炊事のタドン(炭団、燃料)作り 氏神八幡神社の祭りだな思い出す(渋谷の金王八幡)

九◦一八
鉄棒を四階に上る あぶないあぶない

九二〇
内地では彼岸だな 佛様になっているかな

九◦二八
休み、入浴、寝ながら皆んなと喰る話(楽しみの一つ)
餅が一番喰べたい様だ 大阪人は町の食べ物屋の話
地方人はお国自慢、東京人は寿司の立食


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九◦二九
今日は中秋の明月かな 蒙古の明月か
来月は歸れるかな 毎度の帰還話もいつも立消でさびしい

一〇◦一
待望の月だ 張り切れ
体を大事にしろ 部隊長朝の訓示がある
収容所より逃げ出す連中があるから注意、作業が強いので
嫌になって他の収容所に行く人が途中で捕まると刑務所だ
いやにもなるよ

一〇◦八
夜間作業、寒いな 又食料が小豆ばかりとなる(今月)

一〇◦一二
休み ガンドンのレンガ工場が出発したウワサ 確實かな

一〇◦二〇
歸隊確實 野村隊より百名出発 ガンドンに出発する
友近江、湊の話し一足先に出発す 新聞社の作業に出発
大変な違いだな

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一〇◦二二
作業より八時に歸る 立中隊に出発命令 さあ大変だ
集合九時 食べ上げ支度 集合出発 今朝よりの雪一尺の中を一里行軍
ガンドン集合、夜食を食べ様とすると(小豆とジャガ芋煮)冷凍になりつべたいつべたい
食料、ジハン?コ下?靴下(手拭い二枚つづり)もらい、テントの中に入る二時頃

一〇◦二三
朝五時頃 山の下の方に自動車のうなり テントより出て待つ
乗車二十五人 いよいよ出発だ 心の内を察してくれ
雲の道を北へ北へ 途中入蒙の時一泊せし山の部落にて小休し、自動車小屋なつかし(入蒙時一泊)
乗車出発、五時頃 セルバートルの収容所着 野営にて寒いな
一晩火を焚きねむれず


終戦、蒙古での抑留生活を二年目に迎え、
日に日に落ちる体力、重なる貧食、重労働で
熱を繰り返す

三十八度以上出ないと作業は休めない
ソ連とモンゴルは日本の捕虜の労働力を大きく期待していた
戦争で人手を失ったので復興に日本兵を利用したかった
日に日に亡くなっていく日本兵の数にモンゴルとソ連は本望ではなく、環境や食事の慣れというものを見ておらず、二年目から大きく改善を試みたが、引き続き食事は細く労働は過酷だった

朔月望を迎え、中秋の名月をモンゴルで見た先代の気持ちを考えると胸が苦しい
彼岸では、きっと家族達は自分が仏様になっていて、手を合わせられているだろう、という想いも綴られている

敗戦してます軍隊は解かれず、将校達への想いも語られている

そんな中に帰隊の話が上がる、これまでに何度も話が出ては消え、とかすかな希望だけで生きて来た
そんな中で内地での郷里の食べ物の話はまた盛り上がる

そしていよいよ、帰国の案内が出た
確実、と強く書かれている
仲間もガンドンへ向かう、そこに駅があり東へ向かうルートのようだ

その前に新聞社の作業で仲間を見送る心境もとても胸が痛い
早く帰りたい、日本へ

そして、出発
携行品を渡されて、来た道戻る二年前のあの日の
途中の野営で夜食が凍っている様子が描かれている
冬のモンゴルの野営は壮絶な寒さだろう
ソ連との国境沿いを向かい、雲の道と書かれているので標高を高いところを通っている
セルバートルへ到着

なんとしても生きて帰る、という強い気持ちがここから伝わってくる

言葉を直接届ける機会をいつか何処かで作れたら!