2020年介護業界の今後を考える その4
【遠距離介護の問題について】
突然ですが、介護離職という言葉をご存知でしょうか?
介護離職というのは、「介護」を理由に仕事を辞めるというものです。しかも、毎年約10万人の方々が「介護」を理由に退職しています。
政府の目標は「介護離職ゼロ」の実現です。
昨年までの取組みは、特別養護老人ホームを増やしたりしました。さらに2020年厚生労働省は介護付き有料老人ホームの新設に乗り出すそうです。(いまはコロナウィルスでそれどころではないでしょうが・・・)
これは私の勝手な意見ですが、順番が逆だと思います。まずは介護士の人材確保の取組みを重点的に行い、ある程度の人員が見込めたら、そのあとに特養やら介護付き有料のハコモノを増やす。という流れが良かったと思います。
介護施設をある程度充足させることは重要です。しかし、それにより新規施設が増えることで働く人の採用が現状よりもさらに難しくなります。今後37万人介護職が不足すると言っているのにハコモノ建てても働く人いないですよね。
さて、去年から新設された介護士の待遇を上げるための「特定処遇改善」
こちらの「特定処遇改善」で介護士の待遇を上げたからと言って介護士が急増するわけでありません。しかし、この制度で介護士の待遇が上がったのは事実。この制度は現場サイド、経営サイドからも好評です。ただ、手続きを楽にして欲しいです。
国の思惑は、本来であれば介護士の待遇UP→介護士やりたい人増える→施設増やすを望んだんでしょうが介護士増加にはなりませんでした。
介護離職する=在宅介護
在宅介護には終わりがありません。やはり、ある程度のラインを決めて‘この状態になったら施設にお願いしよう‘と家族間で決めていた方が良いと思います。往々にして真面目な人の方が家族を施設に入れるのは悪いと思いがちです。しかしながら、長年施設運営をしていて思うのは「プロにまかせれることはプロにまかせる」です。病気になったら医者に診てもらいます。車が壊れたら車屋さんで修理します。では、介護が必要になったら?家族で介護する?素人がいきなり介護はできません。中には長年やって体得する方もいますが稀有な存在です。
人によっては施設入所してもらい、会いたいときに会いにいくとかにした方がお互いに円満に暮らせているように見えます。在宅介護には終わりがなく、目に見えないストレスが徐々に積み重ねってきます。さらに在宅介護をしていると周囲(外部)から孤立してしまいがちです。出来れば、デイサービスや訪問介護、たまにショートステイを利用するといったサイクルを作り、自分自身の息抜きできる環境をつくることをおススメします。
さて、いままでの話しは介護が必要な方と同居していた場合の話しでしたが仮に離れて暮らしていて家族が介護が必要になった場合はどうなるのでしょうか?
ここで出てくるワードは、「遠距離介護の問題」というものです。
遠距離介護というのは読んで字のごとく離れての介護になります。この遠距離介護の問題は何が問題になるのか、
2025年には700万人以上の方が独居高齢者になると示唆されています。その方々にも必ず老いというものは来ます。そうなったときに誰が面倒をみるのか?近所に家族がいれば特に問題にはなりません。しかし、距離が離れていて何かあった場合にはその家族が駆けつけなけなければなりません。しかも、「介護」は突然やってきます。我々の施設に入居させたいと来る家族のほとんどがこのパターンではないでしょうか?事前に連絡が来る場合はケアマネさんを通してきます。
病院や介護保険の手続き、介護サービスの手続き、施設への入所相談。基本は家族が手続きします。
介護離職を決めた理由が下記に示してあります。6割強の方々が仕事と介護の両立が難しいと回答されていますし前述したとおり、介護は突然やってくるので介護申請の手続き、実際の介護、食事などやることが沢山あります。その中で普段の業務などできるはずがありません。ましてや、離れていれば移動、時間や働いていれば会社のこと家族のことという更なる問題もでてきます。
今年はそういった状況が浮き彫りになってくることが徐々に増えてくるだろうと私は考えています。
ではどうしたらいいのか?私が考えるソリューションは3つあります。
一つ目、近くのケアマネジャーさんと知り合っておく。
(すぐに連絡してアドバイスや対応してもらえるような関係作り、友人や親族だったら最高!)
二つ目、家族から介護が必要になったらどうするか本人の意向を聞いておく。または考えておく
(わからないことがあれば専門の方からのアドバイスをもらえるように関係各所を調べておく)
三つ目、会社にどのような支援があるか聞いておく。介護休暇とか、有休取得できるか。
(少なくとも上司には、高齢の介護になりそうな家族がいることを伝えておく)
簡単なようで、簡単ではないですね。でも、実際に直面した時では遅すぎます。何事も準備が必要です。
以上、遠距離介護の問題についてでした。
次回は、介護現場の問題についてになります。
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