見出し画像

脱炭素に向けて燃料代の値上げをする独、値上げ抑制をする日本

5/17の日経新聞朝刊に、ドイツが脱炭素に向け、ガソリンなどの燃料代を上げる仕組みを2021年に導入した、という記事が出ていた。ウクライナ情勢などもあり、燃料代が上がっている中において、日本においては税金を投入して燃料代を下げようとしている中においては、逆の動きをしていて、凄いと素直に思う。

ドイツが脱炭素に向け、ガソリンなどの燃料代を上げる仕組みを2021年に導入した。販売業者がガソリンを売るには、二酸化炭素(CO2)を出した量に応じて「排出枠」を買わなければならない。購入費が転嫁されて小売価格が上がり、消費を減らす効果が生まれる。負担の抑制に偏る日本と比べ、ドイツは厳しい規制で先に進む。
ドイツではガソリンの価格が歴史的な高水準になっている(3月)=AP
ドイツは「排出量取引」と呼ぶ制度の対象を燃料に広げた。現状の排出量取引の仕組みではまず国が業界ごとにCO2を出して良い量を決めたうえで、CO2に価格をつける。企業はCO2を出すには、出す権利を「排出枠」として買わなければならない。例えば鉄やセメントをつくるにはCO2が出るため、メーカーは枠を買ってビジネスをしている。
燃料は燃えるとCO2を出す。21年からは燃料事業者は売る分だけ枠を買う。余ったら市場で売れるが、事業者にとっては追加のコスト負担になっている。
当初の5年間は導入期間として排出枠の価格は固定され、21年はCO2の排出量1トンあたり25ユーロ(約3350円)に設定された。段階的に引き上げられ、25年には2倍強の55ユーロになる。26年からはオークション形式で、需要に応じて価格を決める仕組みが提示された。
事業者は新たに排出枠の購入にかかる費用をガソリンやヒーティングオイルの価格に転嫁する。実際、21年の導入によりドイツのガソリン価格は1リットルあたり約7ユーロセント(10円弱)値上がりした。枠の価格が2倍以上になる25年には、値上がり額もそれに合わせて上がるとみられている。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、ドイツでもガソリン価格は上昇している。足元の価格は1年前から4割弱上がり、1リットルあたり2ユーロ(268円)する。3月下旬時点では、円に換算すると英仏より10~20円弱高かった。インフレに対して国民の不満は募るが、今の仕組みを見直す計画はない。

5/17日経新聞朝刊

ドイツがこのような取り組みをするのは、個人の温暖化ガス排出量が減っていないためのようである。これまではエネルギーや製造業での抑制による効果が中心ということであるが、日本においては、先日に記事出ていたがJパワーが投資家から脱炭素への取り組み不足を指摘されていたが、まだまだエネルギーや製造業での取り組みをしている段階にいる。ドイツは一歩先の取り組み段階に踏み出している。

この排出枠の導入にはガソリンなどの消費を抑える効果とともに、売却の資金を温暖化対策にあてられる利点があるとのことで、ドイツ連邦環境庁によると、21年は排出枠の販売額が72億ユーロ(約9650億円)にのぼるようだ。そしてこの収入が、再生可能エネルギーへの投資など気候変動対策の予算にまわされ、EV(電気自動車)や省エネ型の暖房機器であるヒートポンプの普及に回されるようである。

ヒートポンプ?と思ったが、これも脱炭素における重要な技術要素。電気エアコンで暖房をつければ、1の電気エネルギーを1の熱に変える。一方でヒートポンプは太陽光などの熱エネルギー5を、1の電気エネルギーを使って家の中にそのエネルギーを移動させるので、家の中では移動された太陽光の熱エネルギー5がそのまま使われるので5+1の6の熱エネルギーが家の中で得られる、という技術。電気をゼロから1を生み出すことに使うのではなく、すでに太陽光で得られたエネルギーを家の中に運ぶのに使うという技術。ダイキンのホームページに分かりやすく解説されている。

日本においても、全員に税金をばらまく方法を取るのではなく、セーフティーネットで弱い立場の人を救う形を取りながらも、ドイツのやっているような尖ったやり方をとっていかないと、本当に世界において、後塵を拝すことになるのでないか。

この日経新聞の記事の最後は以下で締められている。財源が限られ、全方位型ではもう無理な中で、日本政府における戦略的な動きが必要とされているのではないか。

多くの専門家は、脱炭素の実現には企業だけでなく個人も含めて排出減の取り組みを強める必要があるとの見方で一致している。化石燃料の消費を減らすドイツの取り組みは、欧州から世界に広がる可能性がある。

5/17 日経新聞朝刊


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?