CO2の回収・貯留(CSS)について
1.液化CO2輸送船の開発
5/22の日経新聞に国内造船最大手の今治造船が、液化二酸化炭素(CO2)の輸送船分野で三菱重工業子会社の三菱造船と提携するという記事が掲載されていました。
このCO2を運送する理由は、CCS「Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素回収・貯留)」というCO2を地中に埋めるため。CCSについて、今回まとめてみました。
2.日本ではCO2を貯留できないのか?
CSSとはCO2を回収して地中に貯留する技術で、このCCSについては、北海道・苫小牧で日本初の大規模な実証試験がおこなわれ、経済産業省のサイトで丁寧に説明されています。
この取り組みでは2012年度から設備の建設を始めて、2016年4月から海底下の地中深くにCO2を貯留する作業(圧入)を開始。2019年11月、目標としていた累計CO2圧入量30万トンを達成して圧入を停止し、圧入停止後も監視を続けるという取り組みです。
この地中に埋めたCO2が地上に漏れてこないようにするためには、
・CO2を貯留するすき間のある地層(貯留層)があること
・その地層の上がCO2を通さない地層(遮へい層)でおおわれていること
が必要で、この遮へい層が、CO2が漏れないよう、フタの役目をするという点が重要。
ではこのような地層が日本のどこにでもあるのか??
以下に掲載されている経産省の資料にまとめられていましたが、11地点で約160億トンの貯留可能量を推定とありました。ただ前述の日経新聞の記事にありましたが、開発が困難な場所が多いようです。そのためにCCSで貯留するためのCO2を海外の貯留地に運び出すことが必要になるようです。これは日本に限らず、適切な貯留地がない国にはCO2を運ぶという需要が今後は生まれるということ示しています。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/ccs_choki_roadmap/pdf/004_03_00.pdf(経済産業省資料)
3.CO2の回収・貯留(CCS)の課題
CCSの課題は、経済的コストとエネルギー的コストという2つがあります。
CO2を回収するには、アミン水溶液というCO2を吸収する性質を使います。アミン水溶液が40-50度であればCO2と結合しますので、これで工場などで排出されたCO2をアミンと結合させます。
それを110度-130度に加熱することで、アミンとCO2が分離するので、この分離したCO2をそのまま液化して輸送する、もしくは貯留するという方法を取ります。
そのような過程を取るので、加熱時にはそのためのエネルギーが必要となります。またアミンは加熱した際に分離しますので、それをさらにCO2吸着のためにアミン水溶液として再利用するということをしますが、それでもアミンは価格が高いという点がデメリットです。
以上、カーボンニュートラルに必要な大気中にCO2を排出しない仕組みとして重要なCCSという技術について整理をしました。上記の方法以外にもいくつかCCSの技術はあるようですが、いずれもコストカットが必要ということが共通的な課題です。これを乗り越えられるような技術の登場の望まれます。
そして日本でもそのような貯留ができる場所を確保したいところです(が、これは難しいか)