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CO2の回収・貯留(CSS)について

1.液化CO2輸送船の開発

5/22の日経新聞に国内造船最大手の今治造船が、液化二酸化炭素(CO2)の輸送船分野で三菱重工業子会社の三菱造船と提携するという記事が掲載されていました。
このCO2を運送する理由は、CCS「Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素回収・貯留)」というCO2を地中に埋めるため。CCSについて、今回まとめてみました。

国内造船最大手の今治造船は、液化二酸化炭素(CO2)の輸送船分野で三菱重工業子会社の三菱造船と提携する。大量輸送が可能な大型船を共同で開発する。脱炭素社会に向けてCO2を回収し地中に貯留する技術が有望視されているが、実現には貯留地への長距離輸送技術が重要になる。市場拡大を見据え、日本の大手造船会社同士が連携して競争力を確保する。
今治造船が51%出資し営業設計を担う日本シップヤード(東京・千代田)が、三菱造船と液化CO2輸送船の共同開発に向けた検討を始めた。海運会社などから初号機を2024年中に受注し、27年の竣工を計画する。
両社で開発する船の能力の詳細は決まっていないが、数万立方メートル規模の容積のタンクを持ち、遠距離の航海が可能な外航大型船を想定する。特定顧客の要望に沿った船ではなく、汎用型の船型設計を進める。液化CO2輸送船の標準にしたい狙いだ。
液化CO2の輸送にはガスを取り扱う高度な技術が必要で、船の大型化も課題だ。天然ガスは極低温にすれば液体の液化天然ガス(LNG)に変わり運搬しやすくなる。一方、CO2は低温にしすぎると固体のドライアイスになり配管が詰まるリスクなどがある。運搬中は液体状態を維持するために圧力をかけ続けることが必要だ。
輸送コストを下げるため、大量輸送が可能な大型船の開発が欠かせない。ただ、液化CO2を貯留するタンクを大型化すれば圧力制御の難易度も上がることから、大型船はいまだ実用化されていない。

2023年5月22日 日本経済新聞

2.日本ではCO2を貯留できないのか?

CSSとはCO2を回収して地中に貯留する技術で、このCCSについては、北海道・苫小牧で日本初の大規模な実証試験がおこなわれ、経済産業省のサイトで丁寧に説明されています。

この取り組みでは2012年度から設備の建設を始めて、2016年4月から海底下の地中深くにCO2を貯留する作業(圧入)を開始。2019年11月、目標としていた累計CO2圧入量30万トンを達成して圧入を停止し、圧入停止後も監視を続けるという取り組みです。
この地中に埋めたCO2が地上に漏れてこないようにするためには、
・CO2を貯留するすき間のある地層(貯留層)があること
・その地層の上がCO2を通さない地層(遮へい層)でおおわれていること
が必要で、この遮へい層が、CO2が漏れないよう、フタの役目をするという点が重要。

ではこのような地層が日本のどこにでもあるのか??

以下に掲載されている経産省の資料にまとめられていましたが、11地点で約160億トンの貯留可能量を推定とありました。ただ前述の日経新聞の記事にありましたが、開発が困難な場所が多いようです。そのためにCCSで貯留するためのCO2を海外の貯留地に運び出すことが必要になるようです。これは日本に限らず、適切な貯留地がない国にはCO2を運ぶという需要が今後は生まれるということ示しています。

https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/ccs_choki_roadmap/pdf/004_03_00.pdf(経済産業省資料)

3.CO2の回収・貯留(CCS)の課題

CCSの課題は、経済的コストとエネルギー的コストという2つがあります。

CO2を回収するには、アミン水溶液というCO2を吸収する性質を使います。アミン水溶液が40-50度であればCO2と結合しますので、これで工場などで排出されたCO2をアミンと結合させます。
それを110度-130度に加熱することで、アミンとCO2が分離するので、この分離したCO2をそのまま液化して輸送する、もしくは貯留するという方法を取ります。

そのような過程を取るので、加熱時にはそのためのエネルギーが必要となります。またアミンは加熱した際に分離しますので、それをさらにCO2吸着のためにアミン水溶液として再利用するということをしますが、それでもアミンは価格が高いという点がデメリットです。

以上、カーボンニュートラルに必要な大気中にCO2を排出しない仕組みとして重要なCCSという技術について整理をしました。上記の方法以外にもいくつかCCSの技術はあるようですが、いずれもコストカットが必要ということが共通的な課題です。これを乗り越えられるような技術の登場の望まれます。
そして日本でもそのような貯留ができる場所を確保したいところです(が、これは難しいか)

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