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「おでん」はママの味


もう50年ほど前のこと

わたしは
“衣装が可愛いから”と
バレエを習っていたんだ


レッスンはすっごく楽しくて、バレエが大好きだった


教室まで最初は送り迎えをしてもらっていたけれど、小学生になる頃にはバスで通えるようになっていた


いつもバスに乗っていると
自然に道を覚えてた

バスに乗りながら

“ここは右 この信号を左に曲がって…”と


こうして道を覚えていくと
“何か歩けそうな気がする”

そう思えるように…



そんなある日、予定よりレッスンが早く終わってね

いつものバスまでは時間があったから、ふと思い立って次のバス停まで歩いてみることにしたの


“その道をまっすぐ行って
この信号を左に行く~”


歩けたぁ、歩けちゃった💖


“ルン ルン ルーン🌟”


バス停に着いて、ポッケにあった“チョコレート🍫”を食べながらしばらくバスを待っていたんだ…けど


“ウーン…来ないなぁ”

「もう1個、歩こっかな」


こうして、歩き始めたら


今度はバスが来ちゃってね


「あ、バスっ!!」

走って追いかけたんだけどどんどん行ってしまったの


しょぼん…歩くか(´・c_・`)



あたりも暗くなってきた


それでもおうちが
ちっとも見えて来ない


“おうちはどこ…?”


ボロボロ涙がこぼれてきた


どれくらい歩いたかわかんない


チョコももうなくなっちゃった。足も痛い…


ポロポロ ポロポロ
泣きながら

(´・c_・`)しょんぼり
ポロポロ歩いてた


「◯◯!」大きな声がして
振り向いてみたその瞬間

あったかい腕の中に包まれた
「ママ!ママッ!」


全てのバスに乗り込みながら、わたしのことを必死で探してたって…

そしたら泣きながら
一人ぼっちで歩いていたのを見つけたんだって…

「ごめんね、ママ ごめんね」


「本当に心配したんだよ!わかる?心配したんだからね!もう絶対ダメだよ!
約束だからね💢」


そうわたしに怒りながら
パパとママも泣いていた

そしてもう一度
抱きしめてくれたんだ

「良かったわ…本当に良かった
さ、帰ろうね」



「夜ご飯は“おでん”だよ」


車の中でママが言っていた


“ん…? お…でん……”


パパとママがおしゃべり
してる。


“あったかいなぁ…”

「すぅー…すぅー…
ここはみぎ……すぅー…」












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