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令和の中学校月報③ADHD生徒のハイパーフォーカスを引き出す

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「ADHD生徒がもつハイパーフォーカス」

1はじめに

ADHD(注意欠如・多動症)の子どもたちは、しばしば「落ち着きがない」「集中力が持続しない」といったネガティブなレッテルを貼られがちです。しかし、彼らには他者にはない独特の強みも備わっています。その一つが『ハイパーフォーカス』です。これは、特定の興味や課題に対して驚異的な集中力を発揮する現象であり、適切にサポートすれば学習や創造的活動において大きな成果を生む可能性があります。本記事では、ADHDの子どもたちがこのハイパーフォーカスをどのように発揮し、その強みを最大限に引き出すための教育現場や家庭での具体的な方法について探ります。また、ADHDに対する社会的な誤解を解き、彼らの特性を理解し支援するためのアプローチも提案します。


1-1 ADHD(注意欠陥・多動性障害)の定義と特徴

文部科学省によると「ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。 また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。」 とあります。

学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症についてhttps://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1396626.htm

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1396570.htm

(文科省LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する指導及び支援の必要性)

1-2 中学生のADHD(注意欠如・多動症)

中学生のADHD(注意欠如・多動症)は、子どもの成長とともに現れる独特の挑戦を伴います。中学生は思春期に入り、学業や社会的な環境がますます複雑になるため、ADHDの症状が特に顕著に影響することがあります。

1-3 中学生ADHDが引き起こす具体的な問題

学校生活への影響
1.学業不振:
中学生は小学校と比べて授業内容が高度になり、授業数も増えます。ADHDの生徒は注意力の欠如や集中力の不足から、宿題やプロジェクトの管理が難しくなります。

2.成績の低下:
簡単に気が散るため、授業中の内容を見逃したり、テストでうまく実力を発揮できなかったりすることが多いです。

対人関係の問題
1.友人関係の困難:
衝動的な行動や感情のコントロールが難しいため、友達とのトラブルが増えことがあります。

2.いじめの対象:
他の生徒と異なる行動パターンや社交スキルの欠如から、いじめの対象になることがあります。

家庭内の影響
1.親子関係の緊張:
家庭でのルールや日常生活のタスクが守れないことから、親子間での衝突が増えることがあります。

2.兄弟関係の問題:
ADHDの兄弟が特別な配慮を受けることで、他の兄弟姉妹が疎外感を感じることがあります。

メンタルヘルスへの影響
1.自己評価の低下:
学校や家庭での失敗経験が積み重なることで、自尊心が低下し、うつ病や不安障害のリスクが高まります。

2.ストレス:
学業や人間関係のプレッシャーが増えるため、ストレスを感じやすくなります。

1-4 対策と支援の現実

支援と対策では、早期診断や治療、薬物療法、行動療法が一般的です。しかし、現実には、診断を受けていない未診断の生徒が多数います。障害を持っていても障害を持っているというほどではないが境界域のグレーゾーンであっても、自覚がないまま中学校にきています。そのため、上記にあげたような問題が深刻化することもあります。

1-5 ADHDのポジティブな面

中学生のADHDには、問題となる側面だけでなく、特定の状況下で特異な強みを発揮する側面もあります。

1.想像力と革新性
2.高いエネルギーと行動力
3.問題解決能力
4.高い集中力と専門知識
5.強い情熱と意志

中学校では、とくに技能教科(美術、音楽、技術家庭、保健体育など)や部活動で、驚くような才能を発揮することがあります。


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