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中国SFを原文で読むには:微信読書に挑戦

中国SFを原文で読むには、輸入された本を買って読むのが一般的だと思います。でも高い。一冊およそ3000円以上する場合が多いと思います。「科幻世界」に至っては年間購読で数万円かかってしまいます……。

あるいは、近くに中国書籍を扱っている書店がない! アンソロジーで読んでおもしろかったから、この作家の作品をもっと読みたい! なんてこともありますよね。

本記事では、より安く、たくさんの本を読む一つの方法として、電子書籍プラットフォーム「微信読書」の使い方を紹介します。


微信読書とは

中国の企業・テンセントが2015年に発表した電子書籍プラットフォームです。iOS、Android(電子書籍リーダー用もあり)アプリが用意されているほか、ブラウザでの閲覧が可能です。

「科幻世界」を含む中国SFはもちろん、小説・エッセイが非常に豊富。翻訳ものもあります(日本の本が多く、びっくりします)。料理本などの実用書や、ハウツー本、ほかのジャンルに比較すると少なめなもののマンガも。広範囲がカバーされていて、日本でいえばhontoに似た感じです。

実際に読んでみる

微信読書は名前のとおり微信(ウィーチャット)関係なので、そちらのアカウントを使ってログインする必要があります。もちろん持ってるよね??と強気な雰囲気で、ほかのログイン手段が見当たりません。

あきらめて微信アカウントを用意したら(決済機能を使わないのであれば最小限の情報登録で作れます)、AppStoreもしくはGooglePlayからデバイスに微信読書をインストールします。ログインを押してプライバシーポリシーに同意すると、微信アカウントでログインが完了します。

とはいえ中国製のアプリをインストールすることに抵抗がある方もいるかもしれません。その場合はブラウザで読むことができます。

「微信读书」または「weread」と検索してホーム画面にアクセスします。

4冊の本のカバー画像が並んでいるホーム画面
ホーム画面。
「菜食主義者」「豊乳肥臀」と、たまたまですが新旧ノーベル賞作家の作品が並んでいました。

画面をスクロールしていくと人気書籍ランキングがあります。ちょうど(?)馬伯庸さんの作品が1位になっていたので読んでみます。

もちろん、一番上の検索窓からも探せます。そのほかジャンル検索なども可能です。

マー・ボーヨンの書籍の本文
まだログインしていませんが、試し読みくらいならできます。※塗りつぶしは筆者による加工

ランキングにあった本のカバー画像をクリックして本文を表示します。
右メニューから目次を開くと、第1章だけ南京錠のマークがありません。第1章はまるまる試し読み可能という意味です。
なお、第2章に進もうとすると、試し読みはここまで、先を読みたければ会員カードを買ってくださいと表示されます。
ちなみにどこまで読めるかは本によってまちまち。かなりのところまで試し読みになっているものもあります。

会員カードとは

先ほど、微信読書はhontoに似ていると書きましたが、サブスクリプションで読めるという点ではkindleに近いと言えます。「会員カード」はその契約のことです。
月払いと年払いが可能で、ときどき割引セールもやっている模様。年払い(年間カード)はちょっと高めのハードカバー1冊分程度の価格です。
iOSで確認した限りでは、アプリ内購入以外にAppStoreの画面から購入することもできるようです。
会員カードを購入すると、上記の画像で南京錠のマークになっている範囲がすべて読めます。そして使っているうちに、「あなたは会員カードでこれまでに〇元節約しました」ということまで教えてくれます。

無料でどこまで楽しめるか

とはいえ、すでにいろいろなサブスクだらけで、これ以上どこかに課金したくない場合もあると思います。
無課金では試し読みしかできないのかというと、そうではありません。
ここからは主にアプリでの機能ですが、下記のようなしくみで無課金でも本が読めます。

微信読書内のみで使えるブックコイン(書幣)を稼ぎ、それを使って読みたい本を購入することができます。このブックコインは、読んだ時間や日数に応じてもらえます。
また、毎週更新される「無料図書館」コーナーでは、1冊の本を5分間読むと無料で入手できます。「三体」で人気の劉慈欣作品が出ていることも。
このほか、時期を区切らず常に無料の本も用意されています。

まとめ

以上、微信読書の基本的な使い方でした。
中国SFに限らず、中国語で本を読みたい方はチェックしてみてください!

おまけ:電子書籍リーダーでの利用

最近はカラーのきれいな電子書籍リーダーも出てきていますが、小説を読むくらいならモノクロで十分かもしれません。微信読書ではモノクロ電子書籍リーダー向けのアプリ「微信読書 墨水屏版」がリリースされています。
ダウンロードページを見ると、中国製が中心ですが、さまざまな汎用電子書籍リーダーに対応しているようです。kindleのようにサードパーティ製のアプリが入れられないリーダーではブラウザ利用が推奨されています。