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【兵庫県知事】斎藤元彦氏の公約達成率

斎藤元彦氏を支持する主張の一つに「公約達成率が高く、仕事ができる知事だった」というものがある。
この主張は、記者会見での次の発言が根拠になっている。

選挙時に掲げさせていただいた公約が、全体で173項目ございます。そのうち、一定、達成・着手した状況は171項目、98.8%という形になります。多くの公約や掲げたことは達成なり、着手してきて、一つずつ公約は進捗、進んでいると考えています

2024年7月30日知事記者会見

この「達成・着手」という表現を一部メディアやインフルエンサーが「斎藤知事の公約達成率が98.8%」と誤解して拡めたこと、選挙時の公約は現在では削除されていること、そもそも選挙時の公約は173ではな137だったこと等が知られるようになり、斎藤知事の公約達成率に疑問が投げかけられている。

それでは実際のところ、斎藤県政はどの程度の公約達成率だったのだろうか。
ここでは少々変化球だが、斎藤氏の発言パターンを用いて公約達成率を類推してみたい。

記者会見や百条委員会での斎藤氏の発言を観察していると、自身にとってプラスになる情報は強調して表現する。マイナスになる情報は出さない、もしくは薄めて表現する。という傾向がある事が分かる。

例えば3月27日の記者会見で「文書は誰の名誉を傷つけたのですか」という記者からの質問に対して、斎藤知事は「職員等々です」と回答しているが、実際は文書内容の大半が知事に対する批判だった。
また、百条委員会で「俺は知事やぞ」という証言に対して、「“兵庫県知事です”といった事を言いました」と釈明している。“俺は知事やぞ”と“兵庫県知事です”は意味としては同じかもしれないが、パワハラの有無という観点からは与える印象は全く違う。
斎藤氏の会見や会議での受け答えを長期間にわたって観察していれば分かるが、かなり の部分をこのようなやり取りが占めているのだ。
つまり、斎藤氏は虚偽にはならない範囲で、表現を強弱させる技術に長けているのだ。

もちろんほとんどの政治家にはある程度そのような傾向があるだろう。しかし、斎藤氏の場合はその度合いが徹底している。そして、だからこそ斎藤氏の発言の濃淡は読みやすい。

はっきり言うと、斎藤知事の公約達成率はかなり低いのではないかと考えられる。
なぜなら、達成率の高さをアピールすればプラスの印象を与えられるにも関わらず、それができていないからだ。

仮に着手率が98.8%で、達成率が75%だったとしよう。
その場合、斎藤氏はこう説明したはずだ。
「現時点で着手率が98.8%、達成にまで至ったものが75%となります。公約達成は順調に進んでいます」
あるいは達成率が60%だっとしても、「現時点で着手率が98.8%、達成にまで至ったものが60%となります。半分以上の公約を達成しており、任期まで後1年ありますから十分に達成できるとものと考えます」と説明でき、特に悪い印象は無い。

そういった発言ができないという事は、実際の達成率が“盛りにくい”数字だったと考えられる。そして、個人的な予想では公約達成率は50%を切っている。
なぜなら達成率が半分以下では、いくら表現を工夫しようとしても限界があり、イメージダウンに繋がることは否めない。そして斎藤知事の立場を想像した時に、そのようなリスクを負って、達成率を公表するとは考えられないからだ。

いずれにしても、対象となる人によって精度は異なるが、「プラスになる情報は出す」「マイナスになる情報は出さない」という法則は汎用性が高く、政治家の発言や人となりを判断する上での有効な武器になるはずだ。

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