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【おまえ、キリンに似てる!】東京都民だったあの頃のこと①
1ヶ月前、私は東京にいた。
2泊3日の弾丸旅だったけれど、とても楽しい時間を過ごした。
遥か遠い昔、東京都民だったことがある。
最初の記憶は幼稚園の頃だ。
当時、工場の多い町S区のアパートに住んでいた私は、朝、母に手をひかれてノブエちゃんという女の子の家まで連れて行かれる。
母は仕事があるのでそこで別れ、そこからはノブエちゃんママが幼稚園まで私たちを送り迎えした。
ノブエちゃんの家は工場を経営していて、その近辺の地主という噂だった。
ノブエちゃんは気が強く、活発な女の子だった。
見た目は色黒で目が大きく、少しぽっちゃりしている。
そして、なんでも自分中心じゃなきゃ気が済まないわがまま女子でもあった。
少し年配のノブエママは、娘が自慢だった。
『うちのノブエはね、目がくりっとしてて、お人形さんみたいって言われるのよ。』
私は当時、小児喘息もちで色白で痩せ気味だった。
性格もおとなしく、目立たないタイプ。
いつもノブエちゃんには、子分のように扱われていた。
ノブエちゃんママも、ちょっとお高い感じで、奥さんが働かなきゃならない我が家の経済事情に対して上から目線だった。
今じゃ専業主婦なんて逆に珍しいのにね。
朝の通園は苦痛だったが、帰りは違った。
私たちの他に、Kくん、Wくんという2人の男の子が通園仲間として加わったからだ。
Kくんは同い年で、かわいい系のイケメン。
Wくんはひとつ年少でおとなしい男の子だった。
私は密かにKくんのことが気になっていた。
初恋だったんだと思う。
面白くて頭がよくて、可愛い顔をしたKくんとの通園はとても楽しかったのだ。
ある日、KくんはWくんに言った。
『おまえ、きつねに似てる!』
確かにWくんは、少し目がつりあがっていてキツネ目だった気がする。
『えーっ。Kくん、おもしろーい♡』
ノブエちゃんも、Kくんが気に入ってるんだなと、その時のノブエちゃんの赤らんだ頰を見て思った。
K君は次に私を指差した。
『次はオマエ!』
ドキッとした。
なんて言われるのかな?
かわいい動物ならいいな。うさぎとか。
『オマエはキリンに似てる!』
え、、、きりん?
『だって、首が長いから。』
ノブエちゃんは、私を指差しゲラゲラと大笑い。
『きりんだって!おもしろすぎるぅ』
『そ、そうかな。』
キリン?それも首長いから?
これって、馬鹿にされてる?(泣)
『あたしは?』
ノブエちゃんは、嬉しそうにKくんに詰め寄る。
Kくんは少し考えてから言った。
『黒豚!』
勝った(笑)
キリンは動物園でも人気高い方だし、黒豚よりはずっといい。
ノブエちゃんをチラッと見ると、黒豚は憤慨して赤豚になっていた。
おとなしいWくんはその横で大爆笑。
懐かしい思い出だ。