「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ

52ヘルツのクジラ

 普通のクジラは10〜39ヘルツくらいの声で鳴き、それでコミュニケーションをとっているらしい。そのため52ヘルツで鳴くクジラは他のクジラとコミュニケーションができず、世界で最も孤独なクジラと言われている。
 52ヘルツのクジラの声は80年代に発見され、毎年周波は確認できているが発見はできておらず種類もわからないらしい。

誰にも届かない声

 52ヘルツのクジラだけでなく、人間にも誰にも届かない声で鳴いている人がいるかもしれない。極めて個人的な悩みは人に共感されることは少ない。環境によっては全く共感されないこともあるだろう。本書では、誰にも届かない声で鳴く人々の物語である。

聞こえない声を聞こうとする

 聞こえない声を聞くのは難しい。難しいというか、そもそも聞こえないので存在さえ気づかないかもしれない。それでも作者は「52ヘルツの声を聴かせて。」と本書を結ぶ。
 誰しも届かない声を内に秘めているものだと思う。届かないからといって鳴くのをやめた人もいるかもしれない。しかし、作者のように聞こうとする人もいる。
 私も聞こえない声を拾える人でありたい。

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