日々の差異
「そういえば全然知らない人と喋ったな」
昨日寝る前にふと気がついて驚いた。
夕方6時半仕事を終えて帰宅。
保育園にいる娘を迎えに行って家に入る直前。
自宅の少し先に老婆が歩いているのが目に入った。
この家に住み始めて約4年が経っているがご近所付き合いは少なく、数名顔見知りがいる状態。
この老婆は初めて見る顔だった。
細くて小さい。
薄紫のTシャツを着てスカート姿。
小さい歩幅で近づいてくる。
挨拶をすると、少しいいかしら?と言ってお喋りが始まった。
あらー!かわいいわね〜娘さんいくつ?
お子さんは1人?1人はいいわよ。
わたしね〇〇って言います。
うちも娘が1人、もう嫁ぎましたけどね、
高校生と中学生の孫がいるのよ。
娘は中高私立で、大学は東京に行ったけど、1人だったから出来たのよ。
あら庭は芝生?
人工芝なのね〜
全然そう言うふうに見えないわよ。
あらでも隙間から生えちゃってるわね。
うちもぼうぼうでね、芝生も雑草も見分けがつかないわよ。
人工芝良いわねぇ。
わたしね、あの白い家の裏の隣に住んでるのよ。
いつでも遊びに来てね。
ごめんなさいね、忙しい時間なのに。
失礼しますね。
結構なやり取りをしたはずなのに、すっかりすっぽり抜け落ちていた。
会話の合間合間で私はうんとかすんとか適当な返事をしていただけだった。
小さく細い体に似合わず、繰り広げられるマシンガントーク。
なんで忘れてたのかな?
今日はたまたま思い出しただけで、意外とこう言うことは多いのかもしれない。
普段とは違う、日々の中の小さなイベント。
特別な出来事としてカウントするかどうかは結構自分次第らしいと悟った。
「それなら、なんでもない日を特別な日にすることも出来るじゃん。すごっ。」
そんなこと考えていたら、昨晩はいつもよりすんなり眠れたのだった。