LP聴聞録「たくろう オン・ステージ第二集」
初めましての投稿です。
最近レコードを集めるのが趣味となりつつあるので、買ったLPを紹介していきます。
シングルの方はアダプタが無いので手に入り次第書くかもです…
さてさて記念すべき、大事な第1回なのですがゴマンとある大名盤は扱わずに今回はコチラを紹介致します。
1972年12月25日発売、吉田拓郎(当時はよしだたくろう)の2枚組ライブアルバム「たくろうオン・ステージ第二集」です。第一集じゃなく、第二集です。
というのも私がレコードを集め始めたきっかけがコレ。
有名なモノであれば大概CD化されて新品で手に入りますが、CD化されずに廃盤となってしまったものはそうもいきません。
こちらのアルバムは拓郎がインディーズレーベルのエレックレコードからCBSソニーへ移籍した後に発売されたアルバムで、本人に無許可でリリースされたため発売開始後すぐに生産中止。
した筈が実際はエレックレコードが潰れるまでプレスし続けていたとかナントカ。
それを表すように中古のレコードショップへ行けば結構な確率でお目にかかります。
そして値段もまぁ、お手頃。
「よしだたくろうオン・ステージ ともだち」の続編とも言える内容で、雰囲気としては似ているのですが今でも歌われている様な曲というのは前作に比べて少ないですね。
とはいえ初期の吉田拓郎のライブパフォーマンスが聴ける訳ですからファンにとっては味わい深いアルバムと言えます。
録音は1971年8月11日から13日までの3日間。会場は渋谷ジァン・ジァンです。
・曲目
A 1.準ちゃんが吉田拓郎に与えた偉大なる影響(※MCでは「準ちゃんの与えた今日の吉田拓郎への多大なる影響」と呼称)
2.なんとかならないか女の娘
3.プロポーズ
4.静
5.私が生まれた時
B 1.トランプ
2.大きな夜
3.僕一人
4.雨
5.七万五千円の右手
6.来てみた
C 1.腹へった
2.ゆうべの夢
3.日本人になりたい
4.ポーの歌
5.恋の歌
6.もうお帰り
7.かくれましょう
D 1.人間なんて
・感想
A.1 準ちゃんが吉田拓郎に与えた偉大なる影響
メロディはボブディランの「ハッティ・キャロルの寂しい死」
12分という長さの、1人のフォークシンガーの半生を歌った曲。
メロディがとても良いので改めてボブディラン凄いなとも感じた曲です。
ただ拓郎のアレンジ、独自性も多分に含まれていて、畳み掛ける様に早口で朴訥に語る緩急は引き込まれます。
「僕の青春は恋と歌の旅」というフレーズが全てを表していますね。
座右の銘にしたい…っ
A.2 なんとかならないか女の娘
拓郎が広島時代にロックグループで演奏していた曲。
拓郎のスリーフィンガーが上手い事は周知の事実でありますが、ピックで入れたブリッジの部分のフレーズも流麗。
曲も耳に残っちゃいます。
A.3 プロポーズ
なかなかお目にかかれない拓郎の朗読。詩は岡本修三、後に黄金コンビとして大ヒット曲を飛ばしまくる岡本おさみさんです。
A.4 静
「花酔曲」としてアレンジされこのアルバムの4日前に発売されたシングル「おきざりにした悲しみは」のB面に収録されています。
このアルバムの中では特に、拓郎のメロディメーカーとしての才能が、そして詩の美しさが際立つ1曲です。
情景と感情というのが目に浮かんできます…
私のお気に入りソングで、かなりの頻度で弾き語ってます。
A.5 私が生まれた時
「ある雨の日の情景」や「春の風が吹いていたら」でも知られる伊庭啓子の詩の朗読。
広島フォーク村というものは拓郎に多大なる影響を与えていることがよくわかります。
B.1 トランプ
ある少女からおくられた詩にその場でメロディーをつけた曲。
女の子の可愛らしさ満点の小曲。
B.2大きな夜
「花嫁になる君に」と似たフィンガーピッキング。コチラの方が少しテンポが早い?
よく指がもつれないもんです…
平易にも聴こえる曲調ですが、大きな夜につつまれた僕の様が伝わってきます。
B.3 僕一人
ココからギターがもう1本加わります。
ひとりが好きな寂しがり屋さんの曲ですね。
なんて事ない曲なのですが、こんな所でもメロディが印象的で耳に残ります。
B.4 雨
ギターがWOWOW言うてます。
情景描写に努めた綺麗な曲なのですが、途中の駄洒落がジワジワ来るのとバカヤロウ‼︎にビックリすること間違いなし。
B.5 七万五千円の右手
大学1年分の学費。
右手にマメが出来ていないと弾きこなせない、かもしれない小曲。やっぱりコレも綺麗な曲です。
B.6 来てみた
ギターのレッスンで教わったディミニッシュの循環コードに詩をのせた曲。
拓郎というとシンプルなコードで朴訥に唄ってるイメージがあるので結構新鮮です。
C.1 腹へった
あー腹ペコだ
あー腹へったよから始まる労働者の唄。
岡林信康に代表される様なこの時代のフォークソングの雰囲気が感じ取れますね。
C.2 ゆうべの夢
名曲「祭りのあと」と同じメロディですが、ストロークが割と激しめ。
祭りのあとを聴き慣れた人からしたら受け取り方にちょっと戸惑います。まぁコチラが先なのでしょうが。
1コーラスにつき時系列がひと月進んでいくので12月までの長い物語。幸せな結末の夢です。
C.3 日本人になりたい
混血娘とわらわれた娘の唄。
にほぉ⤴︎んじん、の独特なしゃくり上げる唄い方は拓郎の他の曲にもみられますが癖になりますね。
C.4 ポーの歌
オリジナルは飯田久彦の「おいらはポーッ」。
盗作疑惑が出たりしたある意味有名な曲。
浜口庫之助は偉大な作曲家です…
C.5 恋の歌
ステージでは1番好きな曲と言っておりますが、現在は作詞作曲が所ジョージになっている名曲。
素朴でありますが、味わい深い良い曲です。
コチラもよく弾き語ってます。
C.6 もうおかえり
誰しも経験があるのではなかろうかという別れ際の一コマ。
拓郎の声がまたそんなシーンに合います。
C.7 かくれましょう
コチラも岡本おさみによる詩。
さらっとギャロッピング奏法で弾き語ってますが、これはなかなか当時の人もコピーするの苦労したのでは…
飄々とした曲と歌詞によってかくれましょう、かくれましょうのフレーズも説得力があります。
D.1 人間なんて
これはもう説明不要、不可の混沌。
LP1面使って20分越え、小室等と六文銭も加わって観客と大合唱、フルサイズの演奏です。
中津川やつま恋、篠島等の録音はありますがどれも野外で、コレはそう大きくない会場ならではの熱気というものがダイレクトに伝わってきます。
・総括
「準ちゃん〜」で始まり「人間なんて」で終わるこのライブアルバム、構成として非常に良いです。
後に生まれる名曲に引けをとらない、とまでは言い過ぎかもしれませんがそれくらいの曲も沢山入ってます。
世に出始めた拓郎の勢いとそれに足を取られずに飄々と歌う姿が目に浮かんで、これもまた歴史を感じる1枚ですね。
という感じで書いてきましたが、初っ端から2枚組はちと疲れましたね…長々とありがとうございました。
ろくに豆知識みたいな情報も持ち合わせていないので、ただただ感想を書いてるだけですがまだまだ色んなジャンルや洋楽も書いていきますので宜しければ是非!