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325 米国物価 低下トレンド

米国の個人消費物価上昇率はまだ高いが、低下トレンドは続いている。
これが利上げ打ち止めと見る根拠である。
但し、パウエル議長は物価が完全に鎮静化するためには、経済成長率がかなり減速する必要があると言っており、その観点からは利上げがなくなったとは言い切れない。いずれにしろ、次回FOMCでは利上げはない。

米国の物価上昇率の低下トレンドは続いている。正式なターゲットは個人消費物価指数(PCEデフレーター)の前年比上昇率が2%になることである。

消費者物価(CPI)上昇率の方が発表が早いので消費者物価の方が注目されやすい。両者の違いは、
① 消費者物価指数(CPI)は都市部中心で家計調査を基にした物価指数である。PCE デフレーターは全米が対象で企業の小売 りデータが基になっている。
② CPI は基準年の品目ウエイトを用いることから新製品や低価格品への代替消費が反映されない。 PCE は消費行動の変化を織り込むように調整がな されている。
③ 医療費のように企業や政府などが対価 を支払うことによって消費者が享受するサービス について、CPI は自己負担のみ、PCE は全額が集計 される。したがって PCE は医療費データのウエイ トが最も高くなる傾向がある。
一方、CPI は住宅費用 のウエイトが最も高い(4 割近い)。
以上のことから PCE デフレーターのほうがより包括的 で、消費者の傾向や消費の好みの変化をとらえること ができると考えられる。

物価としては、食料とエネルギーを除くコアで見る。

9月は、コアPCEデフレーターの前月比は反騰したが、最も注目される(より足元のトレンドを見るのに適当な)6カ月前比上昇率は低下が続いている。しかし、上昇率は年率で2.83%なので、目標にはまだ遠い。


足元で上昇したのは原油価格の反騰があろう。

米国では、通勤でも買い物でも、通販でもなんでも車を使うので、ガソリン価格が直接間接に物価に与える影響が大きい。
ところが、今回は、その他の影響(消費需要旺盛)が著しく大きくなっている。パウエル議長は利上げによって需要を抑制しようとしているが、雇用市場がタイトで賃金上昇率が高く、利上げでは旺盛な消費意欲を抑えきれていない。さらに利上げして雇用市場を緩和したい考えだ。

それでも、市場がインフレの鎮静化が続いている見るのは、サービス業ISM指数の価格指数が低下しているからだ。

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