徒歩補な温泉巡り・・・『川内高城温泉』

 最近行った温泉からちょっと面白い温泉をご紹介します。

 7月の猛暑日に、鹿児島県の川内高城(せんだいたき)温泉に一泊素泊まりで行きました。
 最寄り駅から1日数本の路線バスが走っているだけの山の中の温泉地で、私のような徒歩+公共交通機関でしか移動できないものにとっては、行って帰って来ること自体がハードルが高い温泉地です(まぁ、それでも路線バスがあるだけましではありますが)

 最寄り駅は、(薩摩)川内駅になります。
 川内駅から温泉までのバス路線は、途中で肥薩おれんじ鉄道の複数の駅にも止まり、もう少し近い最寄り駅もありますので、時間帯によっては、電車で途中駅まで行って、そこからバスに乗り換えてという選択もありますが、乗るバスは同じです。

 最寄りのバス停に着いて、私が降りようとすると、明らかにかなり昼酔いしたお年寄りの男性が、問答無用で乗り込もうとしてきました。運転手さんに制止されてようやく道を譲ってもらえましたが、まだ昼過ぎで、そのような状態になれるようなうらやましい店がこの近くにあるのかと思いました。

 バスを降りて周囲を見渡すと、すぐ近くのあばらやで、何かを焼きながら缶ビール等をあおっている集団を発見。
 先ほどのお年寄りは、そこで飲んでいたのでしょう。

魔女お年寄りの集会が開かれていたあばらや(絡まれるのが嫌だったので、写真は翌朝誰もいない平和なときに撮影しました)

 事前のGoogle等の調査からすると、そこは、土曜日の昼のみ、気まぐれで、おばあちゃんが営んでいるテイクアウト専門の焼き鳥屋ということでした。私もタイミングが合えば、そこで晩酌のあてでも購入しようかと考えていました。
 しかし、既にかなり酔いが回っている状態で、商売をしているというよりは、みんなで食材を持ち寄って適当に焼きながら飲んでいるというような雰囲気に見えました。
 『君子危うきに近寄らず』
 酔客の嬌声が山中の閑静な温泉街に響き渡る中、なるべく目を合わせないようにしながら速やかに通り過ぎました。

温泉街の入口にあるウェルカムボード?

 いきなりの心理的なパンチを食らいましたが、気を取り直して、改めて温泉街を歩きました。


温泉街のメインストリート?


 事前に予想はしていましたが、かなりの寂れっぷりです。
 開いているお店は、お婆ちゃんが店番をしている八百屋(というか何でも屋か)と、ケバケバしい外装の酒屋のみです。
 

ケバケバしい外装の酒屋

 八百屋さんでは、自家製っぽいお漬物・山の幸やスナック菓子程度は入手可能です。
 酒屋さんでは、缶ビール・焼酎・水程度は入手できます。
 但し、両店とも氷は扱っていませんでした。

 それ以外は、旅館程度のやっているのかいないのかよくわからない宿泊施設数件と共同浴場2箇所があるだけで(あとは個人住宅か)。

左奥の建物は昔ながらの共同浴場です。

 温泉街の外れには、廃墟化した宿泊施設と、なぜか上半身裸で湯船に浸かっている中年男性の像がありました(どうやら西郷どんゆかりの温泉地のようです)


看板のキャッチフレーズにそそられます


深夜に出会ったらちょっと怖いかも

 温泉街の雰囲気としては、私好みの雰囲気です。

 温泉の泉質については、宿泊した旅館及び共同浴場2箇所ともほぼ同じ、高温の硫黄泉です。
 宿泊した宿の方いわく、源泉が高温なので、樋を使用して大気で冷却して、各施設で利用しているとのことです。
 2箇所ある共同浴場の内、昔からある古い浴場は、浴槽自体は1つで、浴槽の中央に湯面までの高さの隔ての壁があって、熱めとぬるめの湯に分けていました。しかし、ぬるめの湯でもかなり高温で、一分も入っていれば、息が上がってきました。
 熱めの湯は手を入れただけで諦めました。

 もう一つの新しい共同浴場は、浴槽が3箇所ありました。大きな主浴槽は、少し熱め程度。木の湯船はぬるめ。もう一つは一人用の水風呂でした。
 猛暑日でしたので、ぬるめの浴槽がちょうどよかったです。

 宿泊した旅館は、古い浴場と同様に、一つの浴槽を二つに仕切っているタイプでした。こちらは、古い浴場よりも多少ぬるめでしたが、それでも、猛暑日に入るにはやや熱めでしたので、洗い場のシャワーからの水を浴びながらの、なんちゃって交互浴で楽しみました。

 湯温はともかく、どこの浴場も、無色透明でほのかに硫黄臭のするよい温泉でした。
 冬の寒い日に浸かれば最高の温泉だと思います。

 今回は素泊まりでしたが、先述のようにまともな食事にありつけるような施設はほぼ皆無ですので、私のような徒歩+公共交通機関のみの、機動力がない人間には、食事付きの方がよいように思えます。

 次回訪れるとしたら冬の寒い日だと思いますが、湯温調整が気温任せのようなので、もしかすると、気温低下に伴って湯温が低かったりすると、それはそれで困るような気がします。
 

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