フィルムライクとがんもどき
マガジン「よしなしごとを」では、とりとめない、日記のような雑感を書きます。
最近、"フィルムライク"という言葉を何回か耳にし、頭のかたすみに残っていた。
もちろん、その言葉はずっと前からあったし、フィルムシミュレーションなど似たような意味の言葉もいくつかある。
フィルムライク、なんとなくわかる。
デジタル画像に、粒子、フェード、色調変化などを施す。
場合によっては、オールドレンズで解像度を落としたり意図的にハレーションやゴーストをおこさせたりもする。
記憶のありように近づけることで、懐かしさや共感がうまれる。
フィルムライク、その言葉を口にしたとき、ふと”がんもどき”が頭に浮かんだ。
あの、豆腐を潰し、ニンジンやレンコンを混ぜ、団子にして油であげる料理だ。
あ、そうか、フィルムライクはがんもどきなんだ、と気づいた。
いくらやっても本物の雁(がん)にはならない、でも愛にも似たリスペクト。
一度写真をやめ、「もうフィルムはやらない」と決めて写真の道に戻った。
そんな私にとって、フィルムライクという言葉は少しだけ苦い味がする。