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ネットワークビジネスにハマって一家離散した話⑨ ~現実は小説より奇なり~
この物語はフィクションだったと願いたい作者の記憶をここに綴る2015年の物語である。
ケアマネ介護福祉士のブログ
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第9章~無謀~
『借りない』
耳を疑う発言だった。
400万円をきっちり返すには摘んでいる数社を一元化しない場合、法定借り入れ期間を最大限伸ばしても最低月々9万円を払う。
9万円のうち半分以上は利子である事…。
この田舎で生活するのに手取り15万円が相場。
車を持たないと仕事はできない。
そんな車もこれではローンが通らず買えない。
まさに四面楚歌なこの状況を懇切丁寧に説明しているのにもかかわらずだ…。
これほど説明しても全く響かないというのか…。
もうこの家の人間ではない私が口をはさむのはどうかと思ったが、実家が差し押さえられるのを分かっていながら黙っているのは少し癇に障る…。
~条件~
自分で払う?
今、3か月分の携帯代及び携帯払いにした代金、半年分の市都民税、3か月分の家賃、半年分の健康保険料、今月先月の借金返済。
明日にでも払わなければブラックリスト入りになるかもしれない近々の負債だ…。
まだこの危機的状況を分かっていないようだ…。
少なくとも明日にでも払わなければいけないものがこれだけある。
仕方がない…。
大きなため息を家族全員に聞こえるように吐きながら伝える。
自分で返すというならそれでいい。
だが、間違いなく払えないのは目に見えているので私は私の提案をするだけだ。
私が出した条件は至って単純。
今すぐこの家を出て、敷居を跨がない事である。
下手に家に居れば、生活保護も自己破産もできなくなってしまう。
やる時は実家が物理的になくなる…。
スグに東京へ帰ること。
電車代は手切れ金として渡すから今すぐ荷物をまとめて東京で就職先を探すように伝える。
すると突拍子もない妄想を話し始める…。
『北海道か仙台で暮らそうと思っている。』
これはどう考えても裏がある…。
少なくとも北海道は縁もゆかりもない地だ…。
そんな単語が出てくること自体がおかしい。
私は仕事柄相手の考えを汲み取るのが本職だ。
『働こうと思う。』ではなく『暮らそうと思っている』
という表現…。
何らかの暮らす当てがあるのだろう…。
仙台はわかる…。
母親の実家がある程度資産家で、その家は跡取りがいない。
400万円で跡取りが買えるなら相手方さんも安いものだろう。
コチラもありがたい条件だ…。
だが北海道が一番に出てくる…。
仙台が1番ではない。
何か確固たるアテがあるのだろう…。
嫌な予感しかないが頑なに理由を話さない。
こちらとしては今すぐ出て行ってくれさえすれば最早どこへでもと思うのは恐らく私だけだろう……。
そしてこの家で出ていった方が後々全員幸せだと考えているのは私だけだろう…。
だが私は薄情だ。
結果だけを伝える。
北海道にヒッチハイクでもして行くのであれば構わない。
もうフリーWiFiでしか携帯も通じない人間が真っ当な人生を歩む気をしている時点で夢物語なのだ。
今すぐ荷物を持って北海道へあてがあるのであれば言ってくれて構わない話をする。
実家もろとも借金まみれになるにはまだ若すぎるもう一人の兄弟もいることだし、限りある資産をみすみす借金の利息にすべて溶かすのもいささか惜しい。
何より成人を迎えた大人が借金を作りきって一人の力では人生積んでいる状況になってから一家で死んでくれは虫が良すぎる。
もちろん家族からの冷たい視線が刺さる。
この一家は平成どころか昭和で暮らしているのだろう。
真剣に働いていればどうにかなると思っている。
真面目に働いていれば給料が順調に上がって家族一家幸せに暮らしていけると信じて疑わないらしい。
話し合いは平行線をたどる。
結局、見放せないけどお金は出せない無力で口しか出せない実家と
夢を見過ぎて現実には帰ってこれないおめでたいやつ
冷徹な事実しか言わない人間
食事もとらずに来たが何一つ解決しない。
もう疲れたが、私は日常に帰る時間…。
というもっともらしい理由でこの場を一刻も早く放棄するために話を切り上げる。
期限は一週間…。
素直に冷徹な人間からお金を借りるのか?
一家共々沈むのか?
それとも一人で沈むのか?
この後家族だけでなく更に他の人間まで奈落の底へ突き落すことになるとはいったい誰が考えたのだろうか…。
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