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人類初の良薬は口に苦し
先々週のこと、朝起きると喉の痛み、頭痛、咳、鼻水、悪寒、関節痛といった全症状が襲いかかってきた。
熱を測ると37.5度と微熱。
普段から平熱が低い僕は、微熱でも普通の人の大熱ぐらいきつくて、ずっと頭が回らず寝込んでいた。
そこから5日間ぼくの微熱は続き、もうこれは一生治らないのではないかと、微熱のまま生きていくしかないのかなと思い始めていた頃、やっと症状が落ち着き、病み上がりの体を起こして夜勤のバイトに向かった。
そして朝7時頃、無事に夜勤を終えると、熱はないが夜勤前より少し体調が悪くなっていた。
今日は家に帰ってたくさん寝て体調を元に戻したかったのだが、あいにく昼から同期4人で遊ぶ予定があり、あまり寝れないなあと思いながら家に帰っていた。
、、いや、ちょっと待てよ?
まだ正確な時間は決まっていない。
昼頃から遊ぼうということしか決まっていない。
昼頃って具体的に何時だ?
14時ぐらいも昼か?いや15時までいけるか?昼なんて曖昧なものその人によるよな?
そんなことを考えながら家に着き、僕は目覚ましのアラームを18時にセットしてから布団に入った。
俺の昼は18時だ。
誰が何と言おうと18時まで昼なんだ。
そう言い聞かせていると気づいたら眠りについていた。
おそらく8時半くらいに入眠したと思う。
そして11時半、目が覚めてしまった。
バッキバキのギンギンに目が覚めきっていた。
これが不眠症の性というやつか。
いや、遅刻したら申し訳ないという罪悪感からくる眠りの浅さのせいか、それなら聖人の性というやつか。
まあどちらにせよもう眠ることはできないので、携帯を開きアラームを解除した。
すると同期の一人からLINEで、大熱がでたので今日はやめとこうという連絡がきていた。
おお〜やっぱり流行っているんだなあ〜もっと早めに教えてほしかったなあ〜入眠前だと罪悪感なく眠りについてぐっすり眠れたかもしれないのにな〜もう寝れないよ俺〜
他二人の同期からは連絡が返ってきていなかったが、大熱をだした同期にとりあえずテレビ電話してみた。
画面越しの同期は、めちゃくちゃ元気そうだった。
ただただ頭皮がハゲあがっているだけで、体調はそんなに悪くなさそうだった。
だが、熱を測ってみると39度以上あったので、こいつ頑張って明るくしてくれているんだなと憂いた気持ちになった。
気付くと僕たちは1時間も電話をしていた。
電話をしながら僕は身支度を済ませ、家を出た。
その同期の家にサプライズでお見舞いに行こうと、薬とか飲み物とかないと言っていたので届けに行こうと思っていたのだが、まだ電話をしている状態で家を出たので、同期からすごく勘づかれていた。
もう同期はこいつ絶対おれん家くるやんと思っていただろう。
電車に乗って電話を切り、同期の最寄り駅に向かった。
最寄りに着いてから、今日集まる予定だったもう一人の同期に電話をした。
「もしもし?」
「、、もしもし」
「あ寝とった?」
「うん」
「 (お前も昼は18時戦法か)、、あのハゲが熱でて今日やめようかって連絡きてさ」
「うん」
「んで俺もめっちゃ体調悪いんよね」
「あそうなんや」
「だけさ、とりあえず今ハゲの最寄駅まできたんよね」
「え?」
「いやいや、まあ、一旦来たんやけど、どうする?」
「あー、じゃあ俺も行くわ」
「おけ〜」
この流れでもう一人の同期が来ることになった。
ほんとにこの流れ。
そして、あと一人の同期に電話をするも出ず。
どんだけみんな昼のこと18時と思っとんやと、駅前で叫びたくなったが、同じ穴のムジナすぎたのでやめた。
そして、同期が到着するまでの間、吸い込まれるように駅前のパチンコ屋に入った。
1万円でやめる予定が、気付けば1万3000円も吸い込まれていた。
時刻は14時、ここで同期が到着。
当たり前のように僕の横で打ち出した。
そこからは長い戦いだった。
当たっては飲まれ当たっては飲まれを繰り返し、気付けば18時を過ぎていた。
結局、僕は2万円、同期は7000円負けで終了。
さくっとお見舞いに行ってさくっと帰るはずがこんなハメに合うとは、人生とはつくづくわからないものだ。
大熱をだした同期も、今頃ぼくを待ち侘びすぎて変死しているかもしれない。
待ってろハゲ同期、今行く。
僕たちは業務スーパーでたくさんの食料品とたくさんのオリオンビールを買った。
あと、結局ラーメンが一番体にいいよねという話しになり、同期の家で手作りのラーメンを作ってあげることにした。
やっと同期宅に到着。
すると、扉の前でいっしょに来た同期が、これからゾンビの解剖でもするんかというくらいの防塵服に着替えだした。
つま先から頭のてっぺんまで菌の入る余地がないほどの防護っぷりだった。
ピンポンを鳴らすと、寝込んでいたはずの同期が笑顔で出てくれた。
前会ったときよりも、ハゲが加速していた。
おそらく体調が優れていないせいだろう。
お見舞いの品と薬を渡し、いざラーメン作りへ。
僕はラーメン屋でバイトリーダーまで登りつめたこともあり、ラーメン作りには自信があったので、腕を振るいに振るった。
できたラーメンは、ラーメンとは呼び難い見た目をしていた。
たしかにラーメンを作っていたはずなのに、出来上がりはほぼ汁なし担々麺だった。
まあ見た目が悪くても味が良ければ無問題。
しかも3人ともたまたま朝から何も食べていなかったので、僕たちは勢いよく麺をすすった。
3人ともすぐに箸が止まった。
このラーメンを完食するには相当な覚悟と根性が必要なことはすぐに分かった。
僕といっしょに来た同期は時間をかけ頑張って完食したのだが、大熱ハゲ同期は途中でちゃんとギブアップしていた。
こんなに愛情を込めて作ったものを8割以上残されたのは初めてかもしれない。
あと、どうせ皆よく食べるし足りなくなるだろうと思い、僕たちは替え玉用の麺をあと15玉買っていたのだが、全部使わぬまま残してしまった。
まあ1玉目の時点で替え玉できるほどのスープは残されていなかったのだけれど。
すると、大熱ハゲ同期が「、、ちょっとまじでこのラーメンすごいかも、体調めっちゃよくなってきた」とか言い出し、まさかまさか〜と思っていると、さっきまで39.8度あった熱が、36.5度まで下がっていた。
え?逆に死ぬ間際?
そんな急激に熱さがることある?大丈夫?
やっぱり不味いもん食うと体調良くなるんやなあ、良薬口に苦しって言うもんなあ、という結論に至った。
まだ石器時代とか薬がなかった頃、こうやって不味いものをわざと作って治療していたのかなあとほのぼの思った。
お見舞いの品も渡したしラーメンも作ったしで、もう僕たちは帰ろうかと話していると、急にパワフル元気になった同期がまだ寂しいので僕たちに残ってほしいと駄々をこねだした。
なんなら立ち上がって手料理を作り出した。
いやさっきまで40度近くあったやつとは思えんのやけど、なんでお前がルンルンで料理しよん。
ハゲ同期は、サクッと焼き茄子の料理を作ってくれたのだが、それが美味しすぎて逆に高熱を出しそうだった。
残したラーメンと焼き茄子を並べてみると、高級フレンチと残飯ぐらいの差がそこにはあった。
そこから家が近いもう一人の同期を呼び、麻雀を打つことになった。
サクッとお見舞いして帰るつもりが、けっきょく終電まで麻雀を打っていた。
次の日、僕はちゃんと体調が悪くなっていた。
回復した同期も、あれは一時的なものだったらしく、次の日からちゃんと高熱にうなされていたそう。
一時的に体調が良くなりたい人は僕に連絡ください。
ラーメンとは名ばかりの汁なし担々麺を作りに行きます。
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