アナザースカイ旅行(前編)
僕は福岡の北九州市で生まれ、20歳まで同じ地元で過ごした。
そして、20歳から24歳までの4年間は、京都で一人暮らしをしていた。
前に書いたエッセイで、京都に住んでいたことを少し書いたことがある。
ここでも書いてある通り、京都ではたくさんの思い出や仲の良い人たちができ、福岡と同じくらい大好きな場所となった。
なので、京都は僕の第二の故郷、正真正銘のアナザースカイなのだ。
今は東京に住んでいるが、いつかは京都に行かなければと、顔を出したいお店や会いたい人たちがたくさんいるので、その人たちに会いに行かなければとずっと思っていた。
そんなことを思いながらもう5年の月日が流れた。
そしてこの度、なんと、ついに、とうとう、わたくし慶士、5年ぶりに京都に行って参りました。
なので今週はその京都旅行について書きたいと思います。
2泊3日の濃密な旅だったので書ききれるかわからないけど。
まずは初日。
昼すぎに京都駅に到着。
僕が京都に降りたった途端、小雨が降り出し、5年ぶりに京都に来たのにクソったれ、もっと迎え入れろやと思った。
僕が京都に住んでいた頃とは比にならないくらい外国人で溢れかえっており、これがインバウンドの力かと思い足元がすくんだ。
外国人の束をかき分け、とりあえず清水五条に向かった。
僕が京都に住んでいたときに行きつけだった美容室があるのだが、そこは男の人ひとりで切り盛りしており、その人と僕はプライベートでも遊ぶくらい仲が良かった。
どれくらい仲が良かったかと言うと、男二人でジャズバーに行くくらいの仲だった。
その人が店を新しく移転し、その場所が清水五条だったので、サプライズで訪れようとそのお店に向かった。
清水五条に着くと、急激な腹痛が押し寄せてきた。
トイレをしようとコンビニに行くと、どこもかしこもトイレを貸し出していなかった。
僕が住んでいた頃はどこでも貸し出していたのに、これがインバウンドの力かと思い足元がすくんだ。
4件目のコンビニでやっとトイレをすることができ、もう東京に帰ってもいいぐらいの達成感に包まれた。
だが僕はもう美容室を予約してしまっているので、仕方なく京都にまだいてやることにした。
目的地である美容室が近付くにつれ、心臓の鼓動が速くなっていくのがわかった。
その人とは5年ぶりの再会、しかもこの5年間なにも連絡をとっておらず、サプライズ好きの僕は今回その美容室に行くことももちろん連絡していない。
忘れられていたらどうしよう。
僕にとっては唯一、仲の良い美容師さんだが、その人からすると何人といるお客さんの中のひとりにすぎない。
そんなことを考えていると、とうとうその美容室に着いてしまった。
緊張しすぎて何回か通りすぎたりもしたが、ここまで来て引くことは流石に許されないので、意を決して扉を開けた。
「こんにちは〜、お久しぶりです」
「、、いつぶりでしたっけ?」
「5年ぶりですね」
「5年ぶり、、」
「前の店でお世話なってた、、」
「ですよね!?あの亀岡に住んでましたよね?」
「そうですそうです!」
ギリギリ覚えてくれていた。
最初は怪しかったが、なんとか思い出してくれたみたいだ。
そこから僕が福岡出身のことやいっしょにジャズバーに行ったことを向こうの方から言ってくれたので、ちゃんと覚えてくれているんだなと嬉しくなった。
僕はブリーチとカラーの予約をしていたので、とりあえず髪色をお任せでオーダーすると、じゃあローランドっぽくしますねと言われた。
お任せでオーダーした手前、拒否することはできないので、ノータイムでローランドを受け入れた。
僕が差し入れで渡した缶ビールを二人で飲みながら、僕がいま東京に住んでいること、吉本で芸人をやっていること、この5年間であったたくさんのことを話した。
5年前も缶ビールを飲みながら、タバコを吸いながら話すのが恒例だったので、懐かしくも物悲しい気持ちになった。
髪色が仕上がるまで3〜4時間あったのだが、会話が弾んで時間があっという間だった。
体感では20分ぐらいの感じだった。
ローランドよりも出来の良い仕上がりに感激し、東京から毎月通ってやろうかなと思った。
美容師さんがたまに東京に来るらしいので、そのときはまた遊びましょうと言い、店を出た。
店を出ると雨が強くなっていたので、美容師さんが僕に傘を持たせようとしてきたが、普段から傘を持たない僕はそれを拒み、どうしても傘を持たせたい男とどうしても傘を持ちたくない男のバトルが30秒ほど続いた。
美容師さんが折れてくれたので、僕は雨に濡れながら京都の街を歩いた。
と、今週はここまで。
続きは来週にさせてください。
いや2泊3日なのに初日の1個目の予定だけで今週終わるんかいと思ったあなた、いや違うんです。
正直、初日の予定が濃ゆすぎて1回で書ききれないんです。
逆に2日目と3日目はしょぼくて一瞬で書ききれるので安心してください。
来週も初日の出来事だけで終わりそうな気がするけど。