6年ぶりに旅行してわかったこと(後編)
前回までのあらすじ。
約6年ぶりとなる旅行、同期と二人で1泊2日の栃木、癒しの旅、飲めないブラックコーヒー、びしょ濡れで鮎刺し鹿刺し、ヤンキーカップルと同席、競馬負けて東照宮、三猿とガンプラと眠り猫、英語で叱られる同期、パチンコお祈り、神社で5000円使う、ホテルへGOGO。
ざっくりすぎるあらすじに腹を立てているところ申し訳ないが、後編スタートです。
日光東照宮から20分ほど車を走らせ、鬼怒川のホテルに到着。
ホテルの外観はなんだかどんよりしており、ホーンテッドマンションを彷彿させた。
中に入るとこれまた薄暗く、どこを見ても省エネしまくっていた。
フロントでは外国人スタッフが対応してくれて、フロントの対応史上、1番手際が良かった。
感覚では、僕たちがフロントに到着すると同時に部屋の鍵を渡されたレベルだった。
部屋に入ると、畳の芳しい匂いが僕の鼻を満たしてくれた。
大きい窓からは山と川の景色が堪能でき、ベランダに出ると気持ちの良いマイナスイオンが身体中を巡った。
2人で寝るには十分すぎる広さ、何より僕の大好きな簡易的な縁側(窓際にある小テーブルと小椅子2つ)まであった。
いったん浴衣に着替え、お食事処へ。
バイキング形式で家庭的な料理がたくさん並べられており、バイキング + 家庭料理という魔法のような式に心が躍った。
どれも美味しかったが、同期は肉じゃががNo.1だと言っていた。
僕はなんだかんだ刺身がNo.1だった。
今日はたまたま飲み放題が無料ということもあり、酒もすすみにすすんだ。
4杯目で同期が、酔って舌の感覚がなくなってきたとか言い出したので、部屋に戻っていったん仮眠することに。
だが、この日は日曜日。
僕は日曜日にエッセイを毎週投稿しているのだが、そのエッセイまだ書けていなかったので、同期が熟睡している間、僕は簡易的な縁側で温かい緑茶を嗜みながら、さながら文豪のような面持ちで、とにかく筆を走らせた(iPhoneで文字を打ちまくった)。
そして猛集中の末なんとか書き上げ、僕も少し寝てから同期を起こし、ホテル内の大浴場へと向かった。
体を流し湯船に浸かると、身も心も全て浄化されていくのがわかった。
ほぉ、これが鬼怒川温泉ってやつか、なかなかやるではないか、と偉そうに頭の中で呟いてやった。
この大浴場での思い出は、同期のブツが沖縄出身なのに小さかったことぐらいしか覚えていない(沖縄出身の人がでかいかどうかは知らないけど)。
お風呂を上がり、服に着替えてから飲みに出かけた。
ホテルを出ると土砂降りの雨が降っていたので、ホテルの傘を貸してもらったのだが、小学校が登下校で被る帽子ぐらい真っ黄色の傘を貸し出された。
その傘には大きな黒文字で「栃木県バス協会 交通安全」と書かれてあった。
栃木県バス協会の傘を誇らしげに掲げながら15分ほど歩き、目にとまったスナックに入店した。
綺麗で気さくなママが笑顔で迎えてくれた。
ボックス席に3人組の男性と、カウンターに1人組の男性が2人いた。
僕たちは通ぶってカウンター席に座り、ビールを飲みながら談笑していた。
同期がカラオケで「島んちゅぬ宝」を歌い、これみよがしに沖縄出身なことを店内全域にアピールしていた(まあ僕がリクエストしたのだけれど)。
すると、ボックス席にいた3人組の男性から話しかけられた。
「お兄さんたちどこからきたの?」
「東京です」
そこから話が盛り上がり、ママと僕たちと3人組の男性らでずっと話していた。
話の流れで僕たちが芸人をやっていることを話すと、とても親身に相談に乗ってくれ、ママも男性らも僕たちに対して終始優しく接してくれた。
正直、東京の飲み屋でも絡まれることは多々あるが、自分の自慢話ばかりしてきたり、芸人と聞くとイジってきたりと、あまり気持ちの良いコミュニケーションがとれない人ばかりで、こんなにも接しやすい人たちは初めてのレベルだった。
だが、4人の見た目が、70歳ぐらいの組長、40代の若頭、30代後半の若頭補佐、40半ばの極妻にしか見えず、僕の頭の中にはずっと仁義なき戦いのメロディが流れていた。
1〜2時間ほどスナックに滞在し、気付けばもうお店を閉める時間になっていた。
すると、コワモテ三人衆たちが、僕たちのお会計の分も払うと言い出した。
なんて良い人たちなんだと思いながら、僕たちはそのご好意に甘えさせてもらった。
ママに挨拶をし、お店を出ようとすると若頭が「俺たちもう一軒いくけどいっしょにどう?」とさらっと誘ってくれたので、これまたご好意に甘え、近くのスナックへと同行させてもらった。
そこのスナックも最高で、ママや他の従業員、お客さん、たくさんの人と仲良くなった。
同期がカラオケで「小さな恋のうた」を歌い、これみよがしに沖縄出身アピールをしていた(ここではたぶんリクエストしてない)。
酔った僕は、普段ぜったい地元でしか歌わない AK-69 の「And I Love You So」を歌い、これみよがしに北九州出身アピールをしていた。
ここでも1〜2時間ほど滞在し、帰り際にお店の壁にサインを直書きするぐらいママと仲良くなっていた。
コワモテ三人衆に深々と挨拶をしてから別れ、同期と最高の夜だったねと言いながらコンビニに寄り、お酒と重めの弁当を買ってからホテルに戻った。
簡易的な縁側で同期と晩酌をした後、僕たちは5時頃眠りについた。
そして次の日、朝7時起床。
前日あんなに酒を飲んで2時間しか寝ていないのにも関わらず、全く二日酔いがなく、なんなら清々しすぎる朝だった。
栃木ってすごいなと感心し、同期を起こしてから朝食へと向かった。
朝もバイキング形式で、何よりねぎトロととろろが取り放題なことに感動した。
最高の朝食を済ませ、僕たちは露天風呂へと向かった。
露天風呂は前日行った大浴場とは別階で、前日から朝に入ることに決めていたのでとても楽しみにしていた。
露天風呂の扉を開けると、大自然の中に露天風呂があり、本当にテレビでしか見たことないような、なんだかジブリの世界にいるような、とても開放感のある温泉だった。
たくさんのマイナスイオンに包まれながら露天風呂を堪能し、部屋に戻っていったん仮眠してからホテルを出た。
ホテルを出る頃には、最初着いたときにホーンテッドマンションとか言ってごめんなさい、最高のホテルでした、と心の中で土下座していた。
そして、ホテルから車を50分ほど走らせ、宇都宮へ。
二荒山神社に参った効果を試すため、デカパチンコ屋へと入店した。
前編で説明した通り、別の同期から二荒山神社はやばいと、まじで次の日パチンコに勝てるから絶対に行けと、指示を受けていたのだが、正直お前がたまたまそうだっただけだろ、俺らが負けたらどう責任とってくれんだと、鼻息を荒ませながら台に腰を据えた。
ラッキートリガーの「緋弾のアリア 」に座ったのも束の間、同期がなんと2回転目で 1/399 の大当たりを引いた。
その確率約0.56 % 。
僕たちはまじで怖くなり、うれしがることができなかった。
僕なんかは怖すぎてずっと鳥肌が止まらなかった。
同期は終始絶句していた。
50%の確変をとり、ラッキートリガーには入らず3000発で終了。
次にラッキートリガーの「北斗の拳」に腰を据えた。
ほどなくして僕が当たりを引き、なんなく50%の確変へ入れた。
そこからがやばかった。
継続率70%の当たりをなんと15連もさせたのだ。
その確率約0.68%。
そして15連目でラッキートリガーに入れることに成功したのだが、継続率95%の当たりは5回で終わらせてしまった。
結局2人合わせて千円投資の実玉約9200玉で終了したのだが、感覚的には5万発ぐらい出した気持ちだった。
日光東照宮やばあ、二荒山神社やばあ、こわすぎこわすぎぃ、と言いながら車を走らせた。
20分ほどで宇都宮駅に到着し、餃子ストリートへ。
まずは有名な「みんみん」に行った。
祝日は2時間以上待つらしいが、僕たちは15分ぐらいで店内に入れた。
焼き餃子、水餃子、揚げ餃子、ご飯を1つずつ注文。
ぺろっと完食し、次の店へ。
ここも「香蘭」という有名なところ。
焼き餃子と水餃子とご飯半分をぺろっと完食した。
僕的にはこの香蘭が一番好みの味だった。
店を出て歩いていると、なぜか二荒山神社を発見。
(、、ん?なんで?どこにでもあるの二荒山神社って?、、え?)
摩訶不思議な疑問を抱きつつも、ちゃんと2人ともお参りをした。
同期はお腹いっぱいで苦しそうにしていたが、せっかく宇都宮に来たのでもう一軒行こうと、僕が無理やり同期の手を引っ張る形で次の店へ。
「悟空」というこれまた人気店に入り、焼きセットとご飯を注文。
僕たちはうっぷうっぷ言いながら、なんとか完食した。
1人あたり約30個の餃子とご飯1.5杯を食べた僕たちは、車に戻ると身動きひとつとれなくなっていた。
ヒーリングミュージックを流しながら気付けば車で1時間以上も寝ていた。
なんなら僕の方は3時間ぐらい寝ており、その間同期が運転してくれていて、僕が起きた頃には何故かお互いの家はとは真逆の板橋を走行していた。
同期が間違って変なところで高速をおりたらしく、ただ寝ていただけの僕は何も言うことができなかった。
初日に集合した場所へと戻り、エモい雰囲気でお互い解散した。
今回、6年ぶりに旅行に行き僕が思ったことは、人は定期的に非日常を体験した方がいいということ。
日常から離れ非日常に身を置くことで、生きているということの実感が湧いた気がした。
非日常というのはその人が普段どんな日常をおくっているかにもよるのでなんとも言えないが、僕からすると旅行は6年も行っていないぐらい非日常なことで、これを定期的にやらないとだめだなと思えた。
そしてもう一つ。
今回は「癒しの旅」ということで、絶対に疲れないような安らぎの旅行にするということをスローガンに掲げていたのだが、なんだかんだ旅行は結局疲れるということ。
普段より移動や稼働が多いので、そりゃ疲れるだろ、考えたらわかるだろと、旅行前の自分に言ってやりたい。
だが、疲れるとしてもまた行きたいと思えた。
栃木でたくさんの人や施設、自然や食べ物から癒しと元気をいただいた。
ありがとう栃木、いつかまた行く必ず。
僕はまだ同期からもらったブラックコーヒーを飲みきれずに部屋に置いている。
そして、あの日からまだ餃子も食べれずにいる。
旅行の様子をYouTubeにあげているのでよかったら見てください。
二度楽しめちゃいます。