けにゃP 3rd single「ナガレボシ」
作り出した楽曲は、自分の子供のような存在です。
世の中に揉まれ、すくすくと育っていって欲しいですが
日々あっという間に回転するこの界隈、そっと埋もれることも。
(それは勿論、自分の宣伝力にも問題があります。まだまだ勉強不足です)
そんな中、過去曲がクローズアップされる
「既存楽曲復活祭」というイベントが開催されることに。
https://blog.nicovideo.jp/niconews/205853.html
滅多にない機会を設けてくださった運営側の方々に感謝の気持ちを込め
2022年7月にリリースした拙曲「ナガレボシ」にて参加させて頂きます。
折角なので、この楽曲についてのセルフライナーノーツをば。
時系列がバラバラで申し訳ないですが、もし興味を持ってくださった方は
お手隙の際に読んで頂けますと幸いです。
■制作背景
楽曲の構想を練ったのは、2022年4月末。
長い冬を乗り越えつつも、まだまだ先の見えないコロナ禍。
以下のようなテーマが徐々に浮かび上がりました。
・夏
・星空
・寂寥感
・前向きさ
そんな中、リファレンス曲として浮かび上がったのは
伊秩弘将さんの手掛けられた名曲「SHOOTING STAR」
プレミアム会員でないと聴けませんが、八反安未果さんの歌唱音源が
YouTubeで公式にアップされていたため掲載します。
私なりに、この楽曲の持つ世界観を表現したく
徐々にスケッチを始めた、2022年GW期間。
■楽曲・イラスト解説
●メロディライン
制作にあたり、まず何より
「ボーカロイドが歌っても映えるメロディ」を意識しました
実は2022年2月に公開した当時最新曲「re:lie」について
様々なレビューを頂きましたが「メロが残りにくい」という感想もありました。
当時、主旋律のメロをまんまピアノで作っていたのですが
ピアノって、出音自体が格好良いんですよね。
そのまま採用したのですが、ボーカロイドが歌うとやや平坦…
もちろん調声で変わる点もありますが、いかんせん今以上に腕が乏しく。
この楽曲についての課題は、次回作で反映させなければ、と。
具体的な施策として「リンちゃんの声に似たシンセ音」でメロを作りました。
SERUMのとあるプリセットですが、非常にボカロ感のある音があり、
そちらで試行錯誤したところ、前作より耳に残るメロが徐々に形になっていきました。
「同じフレーズをリフレインすることで、印象が強くなる」と
様々な参考書で目にしましたが、本楽曲で体現。
当時の自分の中では、目からウロコでした。
●アレンジ
・EDM、DAサウンドへの憧れ
「一作ごとに何かインプットしたい」というのが私のモットー。
前作はJ-ROCKへのオマージュであり、ディストーションギターや
シンコペーションを全編に織り交ぜていましたが、今回は真逆のアプローチであるEDMへのチャレンジが、ひとつの目標でした。
そんな中、私が強くイメージしたことが
浅倉大介さんの音像です。
私は音楽のルーツはT.M.Revolutionです。
ある意味90年代のJ-ROCKと、90年代のTKサウンドの架け橋となる存在。
前作は前者へのリスペクトを込めましたが、今回は勉強として
後者へ強く傾倒しました。
"もし自分が浅倉さんだったら、どんなアレンジにするか?"
ある意味、ロールプレイングで制作を進めました。
EDMの制作知識もまだ浅く、制作当初は困惑していましたが
徐々に脳内で膨らむ妄想や、原点へのリスペクトが
具現化へ後押ししてくれました。
気付けば楽曲の方向性は「J-POP×ドラムンベース」にFIX。
迷いなく制作に打ち込めました。
また制作過程でサブベース、サイドチェインなど様々な知識を習得。
・転調オンパレード
またこの楽曲はアレンジにおいてもう1曲、参考にした楽曲があります。
T.M.Revolutionの「THUNDERBIRD」です。
各セクションごとに目まぐるしく転調する当楽曲。
私も転調恐怖症であり、前作はC/Amスケール一筋でした。
今作は真逆のアプローチで…ということで、以下のように
私なりの転調オンパレードです。ほぼほぼセクションごとに転調しています。
サビ:F/Dm
イントロ&Aメロ:D/Bm (-3)
Bメロ:B/G#m (-3)
サビ:F/Dm (+6)
Cメロ:G/Em (+1)
ソロ後サビ1:D/Bm (-5)
ソロ後サビ2:E♭/Cm (+0.5)
ラスサビ:F/Dm(+1)
サビ→Aメロへの短3度転調は、J-POPで多用される進行を。
Bメロ→サビの増4度転調は、敢えて最も遠くから主題へ向かってみたいという
冒険心から採用しましたが、SHISHAMOの「明日へ」でも話題になっている
遠隔転調の魔力を体感できました。
そしてラスト。「THUNDERBIRD」でも使われていますが
サビ原キーはそのままで、敢えて直前にキーを落とし、原キーよりさらに上へ
転調したと見せかける、いわゆる"偽転調"を習得。
転調恐怖症のDTM初心者でしたが、自分なりに技を織り込んで
転調の楽しさを実感できた期間でもありました。
●歌詞
私は歌詞は、曲制作後に書いています。
この楽曲については、5月末から書き上げましたが苦心しました。
日本語の美しさ、儚さを自分なりに表現したく、小説を書くような
イメージで臨みましたが、中々言葉が出てこなかった。
正直なところ、作詞は今後の課題です…。
独りの瞬間を、ふとした時に感じますが
空を見ると、無数の星が照らし続けてくれる。
その時に感じたことを、自分なりに描写しました。
●イラスト・動画
イラストは今回も一縷さん(https://twitter.com/Ru_nocturne_1)に
お願いしました。この時点では3作目。
前作、前々作は一枚絵で依頼させて頂きましたが、今作では
少し視点を変えたオーダーを。
歌詞のイメージから、満点の星空をイメージして頂きました。
しかし、手描きとは思えない、本当に素晴らしい作品です。
一目見るだけで星空が恋しくなる…。
動画は細かなギミックは一切ありません。
この星空を存分に堪能して頂きたく、プラネタリウムをゆっくりと観るようなイメージで作りました。
■完成
上記の試行錯誤を経て、2022年7月7日 0時に公開しました。
📺niconico
📺YouTube (もう少しで1000回再生、ありがとうございます)
当時の私の中で、一歩大きくステップアップをしたく作りました。
結果として、コード進行やアレンジをはじめ、前作・前々作から
ひとつ難関を飛び越えられた、手応えのある楽曲でもあります。
今回の既存楽曲投稿祭を機に、もしこの曲を再び聴いて頂ける機会に恵まれたら、制作者として、これ以上の幸せはありません。
もし、この記事から興味を持って頂けましたらお立ち寄り
お立ち寄り頂けると嬉しいです。
星空を見上げたくなった時、この曲が支えになれますように。
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