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マーティン・クルーズ・スミス邦訳著作リスト

大好きなマーティン・クルーズ・スミスの邦訳が全然出ないうちに、代表作アルカージ・レンコシリーズが10作刊行されていました(2025年現在)。
他の作品もあわせて、いつまでも邦訳まってますの気持ちで邦訳リストを作成しました。

記念すべき第1作目、『ゴーリキー・パーク』。四六判単行本→ハヤカワ文庫NV上下巻(1990年初版、2008年新装版刊行)。
当時まだソビエト連邦だった国の、人民警察殺人担当主任捜査官アルカージ・レンコがゴーリキー・パークで発見された死体の謎を捜査しているうちに大きな闇が……というストーリー。

映像化もされています。文庫本上下のボリュームのストーリーをうまくまとめています。(自分の好きなシーンが映像化されてないのはちょっと残念ですが)

シリーズ2作目『ポーラー・スター』。1巻本です。
版元が変わって新潮社から文庫で刊行。
アルカージは『ゴーリキー・パーク』の事件後、シベリアに流されて北洋漁船で
働かされており捜査官じゃなくなっているものの、船上での殺人事件を捜査することに。絶望的な環境にいても光を見出す場面は何度読んでもグッときます。

シリーズ3作目『レッド・スクエア』上下巻。当時、完結刊とうたわれていました。
福武書店(1994年刊行時、翌1995年ベネッセコーポレーションに社名変更)から
ミステリペイパーバックスのシリーズで新書版として刊行。
アルカージは捜査官に戻っているものの、ソビエト連邦が崩壊しており、そんな混乱した世界で起こる殺人事件を自身がぼろぼろになりながらも解決しようとする姿にうれしくなりました。

シリーズ4作目『ハバナ・ベイ』1巻本。講談社文庫で刊行。
というわけでシリーズ全作出版社が別でわかりづらい。邦訳はこの作品で止まっています。
今作はアルカージはキューバで捜査活動をするお話。相変わらずボコボコにされながらもがんばってます。

シリーズはこの後、
Wolves Eat Dogs、Stalin's Ghost、Three Stations、Tatiana、The Siberian Dilemma、Independence Square
と続いています。邦訳希望!!!
2008年の『ゴーリキー・パーク』新版解説で北上次郎が

いづれシリーズ全作の翻訳が復刊される日も来るのではないかと思うからだ。

『ゴーリキー・パーク』下巻(2008)

と書いていたのを読むとちょっとさみしくなりますね。
(2025年現在その気配なし)

別のシリーズ2作。
ロマ(当時はジプシーという言葉を使っていたのですが、現在は蔑称なので使わなくなりました。ので、本自体の復刊も難しいかな)の主人公、古美術商のローマン・グレイの活躍が描かれています。
ちょっと違うけど漫画『ギャラリー・フェイク』みたいな感じ、といえば伝わるかなと思いますが、『ゴーリキー・パーク』の評判を受けて翻訳されたと推察。

別名義サイモン・クインの異端審問官(インクィジター)シリーズ、全4巻。
ヴァティカン市国の諜報部員、異端審問官が活躍するスパイ・アクション!という表紙通りのエンターテインメント作品。
訳者あとがきに記載があるのですが、著者たっての希望でシリーズ全6作のうち、4作のみ翻訳が刊行され、著者名も「サイモン・クイン」表記のみになっています。(他2作がそんなに許せなかったのかな……?)

ノンシリーズ。
吸血コウモリのお話。

ノンシリーズ。
マンハッタン計画を背景にした物語なのですが……。まあ、アメリカ人にとっての
原爆って……という感じではあります。

こちらもノンシリーズ。
1996年原著刊行、1997年邦訳刊行というスピードで出ました。
リアルタイムで買って読んでとても楽しかった思い出。
19世紀末のイングランドの炭鉱での失踪事件を調べる主人公が色々な目にあいながらも……というお話。
アルカージ・レンコにも通じる、主人公がボコボコにされながらも光を見出す話。

今回、あらためて本をぱらぱら読んでいたら、『ハバナ・ベイ』訳者あとがきに
『December 6』が講談社文庫で刊行予定みたいなことが書いてありました。2002年のことなので、もう望み薄かな……。


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