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君は平和をどう考えるか?

A

2年越しに視聴しました。皆が勧める理由がわかりました。これは、、、めちゃくちゃおもしろかった。やっぱり戦争って良くないよねは当然として、人間の愚かさがちゃんと詰め込まれてて考えさせられます。そのくせ最後の最後はちゃんとラブい感じになるは反則すぎました。カレーハンバーグ定食のくせにどっちも美味しかったみたいなアニメでした。ただのドンパチでラブいで収まらず、社会的なメッセージが刻まれてました。

これ以降はネタバレあります。ご注意下さい。

感想

First half
ギアーデ帝国が開発した
完全自律無人戦闘機械〈レギオン〉の
侵攻に対応すべく、その隣国である
サンマグノリア共和国が開発した
無人戦闘機械〈ジャガーノート〉。
だが、無人機とは名ばかりであり、
そこには"人”として認められていない者たちー
エイティシックスーが搭乗し、
道具のように扱われていたのである。
エイティシックスで編成された
部隊〈スピアヘッド〉の隊長である
少年・シンは、ただ死を待つような絶望的な
戦場の中で、ある目的のために戦いを続けていた。
そこに新たな指揮管制官〈ハンドラー〉として、
共和国軍人のエリート・レーナが着任する。
彼女はエイティシックスたちの犠牲の元に成り立つ
共和国の体制を嫌悪しており、”人型の豚”として
蔑まれてきた彼らに人間として接しようとしていた。
死と隣り合わせに最前線に立ち続ける
エイティシックスの少年と、
将来を嘱望されるエリートの才女。
決して交わることがなかったはずのふたりが、
激しい戦いの中で未来を見るー。
Second half
東部戦線第一戦区第一防衛戦隊、
通称スピアヘッド戦隊。
サンマグノリア共和国から”排除”された
〈エイティシックス〉の少年少女たちで
構成された彼らは、ギアーデ帝国が投入した
無人兵器〈レギオン〉との
過酷な戦いに身を投じていた。
そして次々と数を減らしていく
スピアヘッド戦隊に課せられ、
成功率0%、
任務期間無制限の「特別偵察任務」。
それは母国からの実質上の死刑宣告であったが、
リーダーのシンエイ・ノウゼン、ランデン・シュガ、
セオト・リッカ、アンジュ・エマ、クレナ・ククミラの5人は
それでも前に進み続けること、
戦い続けることを選択する。
希望や未来を追い求めようとしたわけではない。
”戦場”が、彼らにとって
唯一の居場所となっていたのだから。
そしてその願いは皮肉にも、
知らぬ間に脚を踏み入れた新天地で
叶うことになるのだった。

「86 ―エイティシックス― 公式サイト」より引用

あらすじが過去最長の長さなのでいくつかの章に分けて感想を書いていきます。

First half

スピアヘッド戦隊とレーナの交流をメインで描かれたFirst half。エイティシックスは人間であり保護されるべきという強い信念をもって挑んだレーナと諦観的で嘲笑的なスピアヘッド戦隊の構図で進む序盤は空回りという言葉が良く似合います。カイエの死を悼んだことでスピアヘッド戦隊の怒りが爆発するのは人を支援するというの難しさを感じます。

ただ毎日優しく話しかけてやればそれで
人間扱いしてやれてるだなんてよく思えるな! 
そもそもあんた、僕達の名前さえ、
一回だって訊いたことがないじゃないか!
By セオト・リッカ

86 ーエイティシックスー 第3話「死にたくない」より

その際のセオト・リッカのセリフです。確かにそれまでのレーナはエイティシックスを人間扱いして好意的でしたが、それはあくまでも”迫害を受けている可哀そうなエイティシックス”として接していたのです。この甘さを指摘されるレーナは気づくことが出来ませんでした。このところから支援する行為の難しさを感じます。支援は立派な行為ですが支援者の自己満足になりかねないリスクをはらんでいます。そうならないために相手をある集合体の構成要素ではなく1人の人間としての尊重を持つことが大事なのだと思います。今作品は戦隊メンバーの名前が1人の人間としての尊重として言い換えれられています。

そんな自分の甘さを痛烈に指摘されてもそれでも尚、パラレイドを繋げるレーナが強い女性すぎて。。。戦死者の墓標の次の一歩へ挑む決意してから流れるHands Up to the Sky。かっこよすぎて濡れた。完全に自分はここで掴まれました。ただ可愛い白銀髪の女の子じゃなく誇り高き人間であろうとする強い決意は見てるこっちがアツくなる。

ここから徐々に距離を近づいていくレーナとスピアヘッド戦隊とは裏腹に突き付けられる残酷な真実に突き付けられる展開は待ってたの一言。特別偵察任務の時は完全に終わったと思った分、レーナの迎撃砲はアツい。

進むためには戦うしかありませんし
それは最初から承知の上です
By シンエイ・ノウゼン

86 ーエイティシックスー 第8話「行こう」より

この一言で理不尽な運命を打破するには叫ぶのではなく戦わなければいけないと自覚するレーナの成長した感がたまらない。親友に脅迫じみたことをしてまで目標を達成しようとするレーナには理想論だけを語る夢想者の甘さはなく戦士になっていった。このFirst halfは1人の少女(レーナ)が少年(シン)と出会って成長しているボーイミーツガール改めたガールミーツボーイ的な側面がある。これが追々に効いてくる展開にしてるもオシャレで圧巻のセンス。

Second half

サンマグノリアを抜けてスピアヘッド戦隊がギアーナ連邦にたどり着いて連邦大統領のエルンストに保護される2期。後述するが戦争から卒業してハッピーエンドに収まらないところがキャラの掘り下げが深い。Second halfから登場の少女のフレデリカの可愛さは言わずもがなであるが個人的にはエルンストを推したい。エルンストは崇高な信念を持ち平和を希求している人格者。そのなかで言葉の節々に目標達成なら手段を厭わない狂気がとてつもなく良い

利益が無ければ目の前の子供も助けない社会を良しとする方が、
結局は誰にとっても不利益だよ。それに得体が知れない、
万が一そんな理由で子供を殺さないと生き延びられないなら、
人類なんて滅んでしまえばいいんだよ
By エルンスト・ツィマーマン

86 ーエイティシックスー 第12話「ようこそ」より

そう、必ず帰っておいで。でないと僕は……この世界を滅ぼしてしまうよ
By エルンスト・ツィマーマン

86 ーエイティシックスー 第18話「本当は」より

わが身可愛さに敵陣に放り込んだ部下を見捨てて
後の作戦計画をつぶして
そんな人として全く見苦しいまね
連邦暫定大統領にして連邦軍最高司令官たるこの僕が
許すとでは思うかい?
そんなのは連邦のあるべき理想じゃない
そんなものも守れないなら
いっそ、このまま滅んでしまえばいい
By エルンスト・ツィマーマン

86 ーエイティシックスー 第19話「いっそこのまま」より

ただの調子の良いオジさんに見せかけて、心の深奥では猛烈な苦悩な強すぎる決心が見て取れます。保護したエイティシックスを戦争から解放させたいが彼ら彼女らの選択も尊重したいというアンビバレントな気持ち。そういうのめちゃくちゃ高栄養で大好き。”ゾクッ…!!!”とさせられる感覚を見るためにアニメを見ているまである。

スピアヘッド戦隊とレーナの交流がFirst halfだとしたら、Second halfはシンの生きる理由になるだろうか。仇敵だった兄の亡霊を撃破し、戦争のないギアーナ連邦にたどり着いた、シンは安寧の地で定住せずに再度戦場へと戻った。これは生まれながらに戦地に派遣されたシンの生きる理由は戦うことであり、生きる場所は戦地であったのだ。そんなシンに平和を与える行為は生きる理由を奪い取るのと同義になるのであろう。人間は幸せですら絶対的ではなく相対的なのである。当たり前ではあるが戦争は良くないし平和な世界が良いと思う。ただ、戦争が当たり前の人にとって平和は空虚なものに感じてしまうのだろうか。後者の価値観は存在を許してしまった人類の罪なのか?それは多様性なのか?自分は答えはまだわからない。

こんなシンの苦悩の積み重ねからの最後の再会は感情マグニチュード8.0。大地震です。Second halfのレーナの出じろが極端に少なく、シン目線でほとんど進む構成で最後だけ交わらせるのはカタルシスの大盛りです。ありがとうございます。

このSecond halfを見て、生きる理由を軸にしてその人の幸せは作り出されるのかなと思いました。可哀そうな他者に手を差し伸べる時はただ自らの幸福を分け与えるのではなく生きる理由を与えることが重要なのかなと感じます。ってぐらいには考えさせられるアニメでした。もはや教材やんって言いたくなるぐらいには最高のアニメでした。

Second halfのレーナは白銀の髪色の一房を赤色に染めています。これは自分がアルバであると共に”血が通った人間”であろうという決意に感じました。メッセージ性がバンバン感じる髪型は相変わらず最高です。

最後はエイティシックスっぽい締め方で終わります。

このアニメ、忘れないでいてくれますか?

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