俺には”ウンコ”しかないんすよ...
A
2024年の映画初めはこの作品。去年に間に合わせたかったですが仕事に忙殺されてこの年始休みに見に行きました。さすがの日本が産んだモンスターコンテンツです。全ての層に刺さるような工夫が凝らされてあって日本のトップコンテンツになる気概を感じました。互いの正体がバレなければ永遠に続く構成は上手く出来ています。アーニャはタラちゃん一世になりそうですね。いや、アーニャ一世かもしれません。
感想
まず最初の丁寧なキャラ説明。子供に連れていかれただけの親世代の方々も作品に没入できるような工夫があって良かったです。こういうホスピタリティに溢れる作りは日本のアニメコンテンツを引っ張るという気概を感じました。
全体の構成も丁寧でした。物語の舞台である”フリジス地方”への家族旅行の流れもそこまで悪くなかったです。割とスムーズに家族旅行を決定したロイドは良い意味で変化を感じられた気がします。物語初期はもっと合理的な判断をしていたと思います。ロイドの価値観は現代における独身男性から既婚者男性へ変化に類似しているように思えます。情報局から仕事を押し付けられて疲弊しながら家庭では”親”に変化しようとする姿はロイドは現役世代の男性の象徴的存在なのかもしれません。
スパイファミリーのコメディの生命線はそれぞれのバックボーンを開示できないせいで1つの事象にそれぞれの思惑が交叉してすれ違いコントが発生するところにだと思います。今回の序盤はヨルがロイドの浮気を疑うところですれ違いコントを作っていましたが浮気のサインと実際の事象の繋がりが弱くてヨルがひたすらにヤバイ女ムーヴになってしまってスベっていたのが心残りです。
おそらく見終わった皆全員が感じたであろう、「うんこ」の下り。個人的には最高でした。ただのファミリーアニメで終わらないという制作陣の心意気を感じました。ありがとうございます。最高のモノづくりです。C1層に刺しにいくのは言わずもがなですが、F,Mの全層には今作品のコメディ要素のコアになっていたのは上手です。コメディは観ている人の価値観にかなり依拠するのでハマらない人はハマらないと思いますが自分は展開的に強引さもなかったので面白かったです。おもしろくてセンスの良いコントを見てる感覚でした。アーニャがひたすらに我慢してる動きは完全に漏れそうな人間の"それ”だったのも変なこだわりを感じました。そして境地開く演出は完全に才能の悪ふざけです。完全になんでこんなことしてるんやろモード全開で大好きでした。こういう下らないエンタメは油断するとすぐに寂れてしまうので僕は全力で評価したいです。最高でした。
終盤のドンパチは大満足。ヨルのラスボスはまあまあに骨があってそこそこの絶望感もあって見応えがありました。倒しながら伏線も綺麗に回収してたのがよかったです。ただのコメディ作品にならずに最後はキッチリ締めるのは大人の満足度も高くなると思います。個人的には最後の噴水のシーンでロイドとヨル、アーニャの間の噴水が消えて同じ方向に進むシーンが家族のわだかまりが消えてさらに団結が強まったことを示唆しているような気がしておしゃれな気がしました。
なんだかんだで良い感じに収まった劇場版でした。今後は名探偵コナン、クレヨンしんちゃん的なエンタメに収まるのか要注目です。あとはEDの星野源とOFFICIAL髭男dismをTikTokでバズらせる魂胆を全く上手く隠せてないのは作品的にはあまり良くないと思うのでなんとかしてほしかったです。帰り道で踊ってしまいました。なんとかしてほしいです。