島流し1日目 その2【日常を外し、非日常へ】
★この内容は 2022/3/14 の記録です。
曇天のなか、船にゆられること約3時間。ようやく目的地の隠岐諸島 中ノ島へ到着。
ここから3日間、非日常の『島流し研修』に突入していく。
中ノ島と海士町(あまちょう)
中ノ島と言ったり、海士町(あまちょう)と言ったり言葉が揺れるけど、これは同じ意味。
隠岐諸島は、「一島一町」制なので、島ごとに町がある。
隠岐の島町(島後島)
西ノ島町(西ノ島)
海士町(中ノ島)
知夫村(知夫里島).
なので、島の名前で読んでみたり、町の名前で読んでみたり。聞き手は脳内変換してる。
上陸
海士町の菱浦港へ到着。
※到着までの様子はこちらの記事にて。
けっこう凝った港の建物(キンニャモニャセンターという名前)で、少々驚き。島に来てくれる方をもてなしたいという町の想いらしい。
外は穏やかな田舎の港という雰囲気。
株式会社 風と土と
今回の研修の主催者であり、メイン会場となるのが、株式会社風と土と。
オフィスは、村上家という34代続いている家の古民家を間借りしている。
現在のスタッフは7名。今回のような教育事業だけでなく、昨年からは出版事業も開始し、活動の幅を広げている。
遅めの昼食をいただく。海士で取れた、イカとワカメを使った料理。
採れたてだからこその味で、どちらも本当に美味しい。
いよいよ研修へ。
まずは、風と土と 代表の阿部さんから。
研修を貫く大きなテーマは、
『自分に出会い直し、自分の会社に出会い直す』。
島という、コンビニもスーパーも娯楽施設もない非日常に身を置きながら、スタッフや、参加者や、自分自身と対話を重ねていく。
今回の参加メンバーは6社から9名。業種も、製造業、人材育成、人材派遣、製薬など多様なバックグラウンド。
それぞれの心の内に、どんな変化が訪れるのか。
いつもの日常を外し無垢の自分に近づく
ここから本格的な研修へ。
初日は、非日常の世界に気持ちをセットしていくために、2つのワークを実施。
正直、この最初のワークが一番インパクトが強かった。
1つめは、テーマは『島の恵みをまるごといただく』。
いただくということで、旬の岩牡蠣でも採って食べさせていただけるかと思ったがそうではない。
もっと、リアリティあふれる内容だった。
それは、、
島で育った生きたニワトリを、
捕まえて、
首を切り、
羽をはいで、
鶏肉にする。
(肉は明日食べる)
誰が捕まえるか、だれが絞めるか、そして見守るのか。
9人がそれぞれ、やりたいと思ったポジションをやる。
そのために、ニワトリの画像との距離感で各々の意思を示した。
私(白のパーカー)は当然、最前線。(画像は左下の床に置いてあった)。
全員食いつくと思ったが、そうでもなかった。
早速、参加者の個性が垣間見えてきた。
距離を置いて少し遠目から見たい人、
目を背けてしまう人や、
手を合わせる人も。
実践。
詳細は省くが、
これが、、
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こうなった。
多様性。共同作業で見えてくること。
普段、組織のなかでは、それぞれに与えられた役割があり、役割に応じた振る舞いを求められる。
そしてお互いを、"その役割の人"という目で見てしまいがちだ。
今回、同じ研修を体験する目的で集った9人。
思いも寄らない共同作業をすることで、与えられた役割ではなく、自らの発意に基づく役割を担った。
同じ目的で集まった人のように見えて、個性の違いが如実に現れる。
真っ先に絞める(首を切る)ことに手を挙げた私は、その作業をやれない方へ申し訳無さを感じたが、逆に「私が出来ないことを、やってくれてありがとう」と感謝をされる。
本来、これくらい個々人は多様なのに、役割ばかりを見て、その人やその人の考えを、どこまで見られているのだろうか。
手に残る、ニワトリの息遣い、温度、首を切り落とす瞬間の手触りを感じながら、そんなことを思う。
自分の過去・現在・未来に目を向ける
精神的に消耗の激しい共同作業の次は、自身との対話の時間。
やることは、
一枚の画用紙に、言葉を使わずに、自分の過去・現在・未来を表現する。
絵を書いてもいいし、雑誌の写真やイラストを切り貼りしてもいい。川の流れのように、連続した流れで描いていく。
やるとかなり没頭する。
家の裏の山を近所の兄ちゃんたちと駆け回っていたこと、
そういえば宇宙の本を読み漁っていたこと、
すっかり忘れていたことを、ワークを通じて思い出してみたり。
人それぞれの、世界の捉え方
完成したあとは、3人ずつのグループに分かれて、絵に込めた思いを語り、コメントや質問をしながら、それぞれの心の奥底に迫っていく。
出来上がった作品はどれも個性的だった。
過去と未来で、色合いが全然違っている人、
ある時期から人の写真がたくさん出てくる人、
画用紙に余白が全くない人、たくさんある人、
一直線な並びの人、曲がりくねっている人。
本人は何の気なしにしたレイアウトも、対話を重ねるうちに意味が見えてくる。
本当は、人に囲まれていたいんだ。
人生は、直線的に終わり(死)に向かっていくものだ。
何も無いことは、不安なんだ。
大切だと思っていたことは、実はそうでもないのかも。
それぞれの認識の違いに驚きながら、そして自身の思い込みのような認識に気づきながら、1日目のワークは終わりを迎えた。
夕食・そして交流。
夕食は、海士町の海の幸をふんだんに食す。
ハイライトは、3月から解禁されたブランド牡蠣の"春香"。
岩牡蠣の養殖に初めて成功したのが、隠岐諸島。
ブランド化を進め、細胞が生きた状態のまま冷凍できるCAS(Cell Active System)を導入し、東京へも直送することに成功しているという。
海士町の代表的な成功事例の一つ。
濃い初日を過ごし、参加者同士の仲も深まり、語らいは島の社交場(=スナック)に場を移して続いていた。
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