島流し2日目 その1【海士の越境者を訪ねて#1】
★この内容は 2022/3/15 の記録です。
1日目は非日常へ気持ちを移しながら、周りや自らの多様性を再認識。
2日目は「ないものはない」海士町で、想いを持って活動している方々を訪ねていく。
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海士町の人口と移住者
「危機感はあるが悲壮感はない」
島流しに来る前に読んだ、海士町に関する本の中で書かれていた一節だ。
2000年の時点で2600人だった海士町の人口は、過疎化&高齢化で2020年には1900人にまで減少する見込みだった。
そんな中で前町長の山内さんらが中心となり、島(土)にあるものを活かし、島外(風)の人を巻き込みながら活動することで、人口の減少は止まり、現在は2300人ほどという。
増加分の400人ほどは移住者。人口の20%近くを移住者が占めるという独特の状態が生まれ、過疎の島は、地方創生の最先端に躍り出た。
"ないものはない" し、何も安泰ではないけど、島には未来を向いて、既存の枠に囚われずに活躍している人がたくさんいるらしい。
風と土とさんが事前に我々に会わせたい人(越境者)をピックアップしたら、その数60名以上だったとのこと。
そんな中から選りすぐりの数名に会いに行く。
海士町役場へ
はじめに向かったのは海士町役場。
興味深かったのは2階のフロア。
「ひとづくり」「半官半X」という看板が掲げられているだけでなく、手前の机には若者がたくさんいる。
島に渡り、役場で働くのは様々なケースがあるようだが、その一つは『大人の島留学』。
今回私達が体験している3日間を1年間に拡大したような内容だろうか。1年経った後は、延長したり、そのまま島で働くことを選ぶ人もいるとのこと。
町長の大江さん
フロア見学の後に訪ねたのは町長の大江さん。
島生まれ、島育ちで、役場に勤め、産業振興課長として、島の改革を進めてきた前任の山内町長をサポート。
2018年には山内町長の意思を受け継ぎ、町長に就任。
大江さんは役所勤め時代に、青年団に所属し毎晩、「これから島をどうしていくか」を議論し、行動し、を繰り返していた。
そんな青年団の同世代が、現在は各所のキーパーソンになり島を盛り上げている。
うまく行っているように見えるが、出来ていなかったのは、後進を育てることだそう。
次のリーダーや、リーダと共に活動をする人そういう人たちの必要性を強く感じ、様々な施策を打っている。
日陰の方にも日が当たるように
そんな大江さんの言葉で印象的だったのは、
『日陰の方にも日が当たるようにしたい』
だった。
目立たなくても、役に立つことをやってる人はいる。小さな活動かもしれないけど。40箇所くらいある。
だから、
『みんなでしゃばる(ひっぱる)町づくり』
というやり方を心掛けている。
みんなで、しゃばる(ひっぱる)
みんな、でしゃばる
の2つの意味をかけている。
みんなというのは、島の人だけを指すのではなく、島外の人も含めてだ。
島と関わりを持った、若者(学生、社会人)とのつながりを絶やさないようにして、『関係人口』を増やす。
他にも、心に残る言葉をたくさん話してくださった。
役場は、地域の人が出入りする場所にしたい。職員だけの組織ではだめだ。コミュニティセンターにしたい。
セキュリティが とか言ってる場合じゃない。都庁じゃそうはいかないだろうけど。
でしゃばる若者は上とぶつかったり調整力がないことがおおいが、今の若者は調整力がある。すごい。
若者が、自分の活躍の場を用意してくれる町だと感じれば、その噂が広まる。
人が島を作ってる。
目標は、みんなのワクワクが持続する状態。
参加している感覚があること。
人口とか数値目標は一応あるけど、そうじゃない。
大江さんは、役場ではなく、常に島全体を意識されていた。
口される言葉の数々はまさに、リーダー。
縦割りと言われる役所・役場の出自でありながらも、常に役場という枠を超えた活動をし続けてきた、力強さ、熱い想いをたくさん感じた訪問になった。
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