女医ママの考える、中学受験志望校の選び方
6年生はそろそろ志望校を決めないといけない頃でしょうか。コロナでオープンスクールなどの機会も減っていますし、難しいですよね。
少子化の時代、各校とも大学合格実績、充実した施設やITC活用、英語教育にいかにを入れているか、国際人を育てる、長期休暇や土曜には補習授業…など、HPには正直似たような内容が並びます。
結局、偏差値と通学時間、入試スケジュールで決めざるを得ない、というのが本音ですよね。
「自分の実力で合格できる最も偏差値の高い学校で、何とか通えるところ」を第一志望にするのが一般的だと思います。
でも私は、あえて「自分の実力で上位3分の1以内で合格できるところで、通学時間30分以内」の学校をおススメします。
中高の6年間は正に思春期で、他人にどう思われているか、自分はどんな人間なのか、模索して悩む時期です。この時期に形成される、「私ってこんなキャラだよね」っていう自分像は、意外と根深い。大人になると、そんな学校みたいな小さな世界であれこれ悩まんでも良かったよねー、って笑い飛ばせますが、本人たちには大問題。
もしもギリギリ合格できるような進学校に運良く入ってしまって、授業についていくのもやっと、テストの順位は下から数えた方が早い…となると、素晴らしい素質を持った子でも「私ってできない子なんや…」と自分を「ダメ人間ポジション」に置いてしまいます。コワイのは、人間はそのポジションに合った振る舞いを無意識にとってしまうことです。真面目に勉強するのは「このポジションの私らしくない」と無意識に判断して、せっかく学習習慣があったのにサボリ癖がついてしまったり。自分のことをネガティブに表現するのがクセになってしまったり。何かを夢みても、「こんな私にはきっとムリ」とあきらめてしまったり。
すると周りもその子をそんなポジションの人として扱うようになります。今までそんなことなかったのに、先生から注意を受けるようになったり… そして悪循環。
もちろん、他人の目があまり気にならずマイペースで生きていける子は大丈夫だと思います。ただ、親が何を言おうとも、友達とのつながりが一番大事、友達にどう思われているかが最重要になってしまいがちなこの年代、学校での「相対的ポジション」は重要なファクターです。
また、学校による教育内容の差は、今の時代いくらでも自分で埋められます。学校の授業よりもよっぽど分かりやすい参考書や動画が巷に溢れ、海外留学をしたければwebで自分で情報収集して行けばいい。むしろ、学校からゾロゾロ集団で行って向こうで群れて過ごすより、一人で異文化に飛び込んでコミュニケーションがとれないつらさに涙する方が有意義。
ITCなんか学校の先生より子供の方が達人(笑)。補習や長い授業時間で学校の最大公約数的な授業に拘束されるより、自分の得意苦手に応じて時間をマネジメントできる方がいい。
わざわざ中学受験をする意味が感じられなくなってきました(笑)
それでも我が家が中学受験を選択したのは、「集団の力」があるからです。
中学受験をしようという家庭は、基本的に教育熱心。お勉強だけではなく、子供の興味を多方面に伸ばすよう取り組まれていることも多いです。受験を乗り越えて入学してきた子たちは、努力して何かを達成することを知っている。そして音楽やスポーツなど、ある分野に粘り強く取り組んでいることも多いです。
大前研一さんの言葉
人間が変わる方法は3つしかない。
1番目は時間配分を変える。
2番目は住む場所を変える。
3番目はつきあう人を変える。
この3つの要素でしか人間は変わらない。
最も無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。
つきあう人は重要です。お勉強ができるだけではなく、人間的に豊かな友人に囲まれていい影響を受けて過ごしてほしい… 学校の教育内容よりも、私が重視したのは生徒さん達の雰囲気でした。
でも学校紹介なんかでは普段の真実の姿は分からない(笑) そこで、登下校時に学校の近くをさりげなく通って観察してみました。友達同士での会話の言葉遣い、スマホ依存度、公共の場でのマナー… 電車でスマホよりも本を読んでいる子はいるのか?など。そして長女が仲良くなれそうな、ちょっと昭和な雰囲気の女子が多くて、校風は明るくて自由、むしろかなり放任?な共学校が比較的近くにあったので、本人とも相談してそこを第一志望にすることに。
通学時間、電車の混雑度も重要な要素だと思います。中高生は忙しく、時間もエネルギーも有限です。早朝から満員電車で長時間移動、は毎日だと6年間でどれほどの疲労、時間のロスになるか。偏差値が3低くても、30分近い学校の方がいい…と私は思っています。
そんな観点で選んだ中学校、3年生の長女は自由に自分の興味を追求し、またそれを歓迎してくれる校風に支えられて、楽しく通学しています。様々なタイプの友人に恵まれ、中学生女子なのでもちろん人間関係の悩みはあるものの、陰湿にならずオープンにいろいろ話し合える雰囲気なのが助かります。
結局、学校へ行く一番の目的は、友人関係によって人間関係について学ぶこと。時にはリーダーとして苦労して経験を積むこと。どれだけ自分と違う考えの人がいて、どうやって折り合いをつけてやっていくのか、これは経験を積まないと分かりません。
なので、もしも第一志望不合格、なんていうことがあっても、その学校じゃないと学べないことなんてホントはなくて、別の学校の方がその子に環境として合ってますよ、ということなんだと思います。
大手進学塾に通っていると、偏差値の高い第一志望に合格することがミッションみたいになってきますが、その子なりに頑張って、あとはもう自分に合った学校に勝手に決まるわ、くらいに考えた方が親も子供も気楽ですよねー。
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