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私の仕事とは?

「あなたの仕事はひとことで言うと何ですか?」
最近、きもの業界では多少名前が知られるようになって、よく聞かれることである。確かにたくさんの仕事をしている。きもの業界に特化していることは間違いないが、小売店、流通、産地、商品企画プロジェクト、世界市場創出などその中のジャンルはかなり多様化している。
肩書は呉服業界プロデューサーであり、マーケティングディレクターである。ただしこれだけではこの業界の人達は何やらわからない。
そこで自分の仕事を振り返るように私のプロジェクト対する手法を例にとって自分の仕事とは何かを考えてみた。

1つのプロジェクトを立ち上げるとき、そのプロジェクトの目的をどう設定するかがプロジェクトメンバー、コンシューマー、支援者に対しての重要な要素になる。
そして目的とその手段のバランスが成功か失敗かを左右する。またその目的が多く存在すると手段が増加し、戦略が分散化してしまうことでプロジェクト本来の目的と次第に乖離しやすくなる恐れがある。それ故に「目的はシンプルな方が良い」といわれるのだ。

私自身は目的は「大目的」「中目的」「小目的」と段階的に分けて、プロジェクト本来の目的である「大目的」を階層化することを心がけている。
例えば、「きものを作りたい」という大目的があるとしたら、その手段は無数にあり、絞り込みは非常に困難である。着手することが多ければ多いほど力も分散し、戦略の効果も分散してしまう。それによって本来の目的までにタイムラグが生じ、いつの間にか「いまやっていることがきっと成功に繋がるはず」という精神論と願望論に変化し、プロジェクト自体が揺らいでしまうことは多々ある。日本人によくある傾向だ。
そこでその大目的を更に「中目的」に分ける。その中目的をさらに「小目的」に階層化し、それぞれの小目的に対してはじめて「手段」を構築する。そしてその手段によってそれらの小目的の達成基準を設定し、達成した時点で中目的の手段を設定するという階層化と段階的な成功基準を定めてそれぞれの階層を本来の「大目的」に近づけていく。
最も単純な階層として示せば「きものを作りたい」→「きものを売らねばならない」→「きものを売る仕組みを作る」といった達成目的の階層化が必要であるということだ。

私自身はマーケティングディレクターとしてプロジェクトの戦略を考えるときに常にこの階層を考える。
そのために必要なことは成功の鍵のという点を線でつなぐためにKFS「Key Factor for Success」を考え、それをプロフィットツリーというツールに描くことをする。頭のなかで考えるだけでは限界があるし、パートナーの選択というものも目的に最適化してなければただの友達探しになってしまう。だからこそ文字通り成功するためのコンテンツを絵に描くことがプロジェクトを成功させるために最重要要素と捉えている。
いま、ありがたいことに沢山のプロジェクトに関わっている。それぞれに考えることは違うが、手法や手段は同じである。それをどう構築し、成功に導いていくか?が自分の仕事の醍醐味であると思っている。
そこで改めて自分の仕事とは何か?と聞かれたときにこう言おうと思う。

「きものに関するすべての事業の願望を現実化する仕事」が私の仕事である。


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