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【正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)】 宮城
正藍冷染はの名は、千葉あやのさんが昭和30年4月、重要無形文化財保持者に指定された時につけられた文化用語ともいうべきものです。一般に伝承されてきた藍染の方法は、藍甕(あいがめ)と呼ばれている甕の中で、人工的に加温、藍を発酵させて染色をしますので、一年中藍染めをすることが可能なのです。
ところが、この正藍冷染と名づけられた藍染め法は、奈良朝時代に行われたといわれている最も原始的な染色方法です。
「桶に建てる(こがにたてる)」という言葉が使われています。これは藍を桶に入れて純粋な木灰を加えるだけで人工加温をせず、6月半ばころから自然の大気の温度だけで発酵を待って染色するという原始的な藍建のことをいっているのです。
したがって染色は、この時期だけに限られるわけです。この正藍冷染は宮城県栗原市栗駒町に住んでいた千葉あやのさんただ一人に受け継がれ、それを千葉あやのさんと孫嫁である千葉まつ江さんに伝承され、現在は千葉家の長男である千葉正一さんに託されています。
栗駒町あたりは、文字村(もんじむら)といわれて800年の歴史を持つこの村は、藩政時代まで絹物を織ることを禁じられていました。そこで麻を栽培し、麻織物を織り、一方では藍をつくり桶に建てて染め、藍染の麻を着用してきました。
この習慣は明治時代までは30件ほど続いてきたのですが、時代の変化とともにこの風習も廃れてしまい、現在では千葉家によって守り続けられているだけです。
現在は、京都の呉服商「和心にしおか」代表の西岡裕史氏が、事業プロジェクトを立ち上げ、千葉家の正藍冷染を持続可能な技術保持のために尽力しています。
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