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【書評】荒木飛呂彦の漫画術
「ジョジョの奇妙な冒険」の大ファンである私が出会った本。
その内容紹介とレビューをしていく。
ちなみにこんな記事も書いているので、興味がある方はどうぞ。
【内容紹介】
一コマ目は「5W1H」が基本。
いつどこで、誰が何をしているかがわかるように描く。
二コマ目で主人公のちょっと異様な行動を描き、そこで「これは普通の漫画とは違う、なんだか変わった話だぞ」と言う感じを演出する。
実際に漫画を描く時、常に頭に入れておくべきこと、それは漫画の基本四大構造と呼ぶ図式になる。
重要な順に列挙すると
①キャラクター
②ストーリー
③世界観
④テーマ
漫画に限らず、小説を読んだり映画を見たりするときに、ただ面白いなと思うのではなく、なぜ面白いのかということを、この基本四大構造の図式に照らしあわせながら探っていくといいかもしれない。
基本四大構造の中でも、強力なキャラクターは、これさえ揃っていればもう無敵という究極の一本立てになる。極端な話、魅力的なキャラクターがあればストーリーも世界観も必要ない。
キャラクターに必要な一番大事な条件は動機。主人公は何をしたい人なのか、その行動の動機をはっきり描かないと、キャラクターと言うものは出来上がっていかない。「人がなぜ行動するのか」を描くのは非常に重要で、ここが曖昧だと、読者は主人公に感情移入できない。動機を達成するために最も読者が共感するのは、何かに立ち向かっていく勇気である。
主人公は善なるものであり、さらにヒーローである必要がある。ここでヒーローの条件が何かと言えば、実は、孤独である、ということ。
漫画を描く上では、エピソードもとても重要。連載が終わるまでずっと続いていくストーリーに対して、エピソードは一話ごとに、その都度完結する。そして最終的にこの漫画がどこに向かっていくのか、と言うストーリー以上に実はこのエピソードこそが読者の心をとらえる上で決定的に重要な役割を果たす。
漫画に限らず、小説でも映画でも、名作と呼ばれるものには必ず人を魅了してやまない普遍的なストーリー展開がある。その基本は「起承転結」、これに尽きる。
ストーリー作りにおいて起承転結の次に大切な事は「プラスとマイナスの法則」。
まずゼロの線があるとして、そこを起点に主人公の気持ちや置かれている状況が上がっているか、下がっているかを考えてみる。キャラクターは必ず成長するように描くことが大事なので、常にプラスになるようを積み重ねていく。
キャラクターと困難な状況のアイディア。この2つがあればストーリーを作っていくことができる。
ラストの1歩手前は連載スタートより難しい。大事なのは起承転結の結の直前で、これは結以上の見せ場となる。
漫画の描き手が目指すものが、どういうキャラクターを描くかだとしたら、読者側の最大の動機は、その漫画家が描く世界に浸りたい、である。
テーマとはつまり、作者の物の考え方であり、自分がどう生きるべきか、と言うこと。それを作品の根本に据えて、ぐらつかないように心がける。
自分が興味を持っていて、自分の心の深いところや人生に関わるものであれば、それが仮に暗いテーマで売れそうにないと思えたとしても、やはりそれを描こうと決意すべきだと考えている。
アイディアは尽きない。アイディアが尽きるというより、自分の興味が尽きるからアイディアがなくなるのだと思う。
【レビュー】
★5つ!
ジョジョの大ファンなので、荒木先生の過去や苦悩、漫画の描き方は凄く興味深かった。ノウハウを惜しげもなく伝える姿勢も好感が持てる。あっという間に読み終えた。
ジョジョのテーマである「人間讃歌」は偶然の産物、という記載には驚いたなぁ。
小説を書いているので、参考にしよう。
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