「日本の夜の公共圏」谷口功一 スナック研究会:読書感想
スナックと聞くと、昭和、大人の夜、夜の社交場というイメージを持っている。
クローズドでいて、一見さんにはアンタッチャブルな場所。
大人という年齢をすっかり超えてしまった今でもそのイメージは変わらない。
私はあまりお酒を飲める方ではないことに加えて、夫がアルコール依存症を患い現在はsoberであるので、アルコール文化にはまったく疎い。
開ける者を選ぶ、スナックのどっしりとしたドアの向こうの世界への憧れはいまだに大きい。
実は、スナックには今まで2度だけ訪れたことがある。
1回は、大学生のゼミの教授と。もう1回は、働いていた時の上司と。
スナックには魔法があると思っている。
ゼミの教授も職場の上司もスナックのママの前では昼間の顔とまったく違うのだった。
そんな一面を見たかったような、見たくなかったような不思議な気持ちになったことを覚えている。
どちらの訪問の時か忘れたが、何の流れでそうなったのか、ママが私の悩みを聞いてくれた。
その時の安堵感というか受け入れてもらっている感というか、20代女子であった私ははすっかりママのあしらいに魅了された。
スナックに行きたい。
一人でお酒をカウンターで飲んでみたい。
女性一人でも入りやすい女子専用のスナックがあればいいのに。サードプレイスとしての女性専用スナック。
出会いは何も異性でないとダメなわけじゃない。茶飲み友達ならぬ酒飲み女子友達が欲しい。
おしゃれなバーじゃなくて。
そこはスナックで。
ちあきなおみみたいなママがいるスナックなら、昭和の女優みたいにしっとりと飲んでみたい。上沼恵美子みたいなママならツッコミ入れながら飲んでみたい。
そんなスナックないかな。
この本ではスナックとは何か、スナックの歴史、スナックの地域的分布など、第一線で活躍する数名の研究者によって執筆されている。
昼の社交場である図書館と夜の社交場であるスナックの関係や、地域で果たす役割など、なるほどなと発見があった。
メタバースなど仮想空間でつながる場と並行して、アナログな場であるスナックも存在し続けてほしい。
執筆されている研究者のほとんどが私よりかなり若い方というのも、おもしろい発見でした。