見出し画像

心理職は食べてはいける

皆さん
こんにちは。
心理系大学院受験専門塾 京都コムニタス塾長の井上です。
最近、臨床心理士や公認心理師を「心理職」と言うことが増えています。、両資格の棲み分けがまだできていないことがその要因ですが、心理職は食べていけないという言説は、昔からありました。私はこの言説を信じていません。少なくとも、この資格を持っているから、雇われないということはありません。就職に不利になるということもありません。
年収面で考えると、いくつかの調査がありますが、やはり高いということはなく500万円届かないくらいというのが相場のようです。しかし、それは、逆から見ると、とても高い年収をもらっている人もいるということを意味します。もちろん安い人もいるということですが。また非常勤職が多いというのも事実ですが、地域にもよると思いますが、これは基本的には自分で望んでそうしていることが多いという印象です。
当塾出身者で見ても月収30万くらいが多いですので、高額所得というわけにはいかないようですが、その多くは「食べてはいける」と言っています。最近、当塾出身者で、病院の常勤職の人がやはり病院に転職しましたが、個室がもらえる素晴らしい環境になったと喜んでいましたし、京都内でも病院での常勤職での転職は他にもいます。当塾の講師で大学の相談室に10年以上勤めている人もいますし、カウンセリングだけで年収500万円を超えている人もいます。また企業のカウンセラーになった人もいます。公務員で役所に勤めている人も複数います。
このあたりは『心理職大全』にも書きました。その際、心理職者が食べていけるのかどうかについては、私自身も最も関心を持ってきましたので、いろいろな調査をしました。70校の心理職養成の大学の先生方にインタビューをさせてもらった結果としては、当然かもしれませんが、「食べていけない」と言われることはありませんでした。また、「需要は年々増えている」という印象を多くの先生が持っていました。一番多かったのは「食べて(は)いける」でした。この(は)のところも重要ではありますが、ともあれ食べていけるという見解が最も多いことは間違いありません。


結論としては、心理の資格は、それだけでも「食べてはいける」資格です。ただし、大もうけできるものではなく、一般のサラリーマンの年収より若干低いくらいになっている人が多いということは否めません。しかし、それは弁護士であっても税理士であっても司法書士、行政書士のいわゆる士業の人でも起こり得ることです。基本的に士業は個人事業主か、雇用されるかを選ぶことになりますが、いずれもリスクがあります。最初は、雇用されて安い給料で腕を磨き、人脈を作り、苦労してお金を貯めて独立するというのは、昔からの定番ですし、今もあり得る話です。心理職も士業の一つと私は思うのですが、やはり資格だけが収入をもたらしてくれるわけではなく、名前と顔も売らねばならないでしょうし、スキルアップも常に図る必要もあります。そういう決意と覚悟と努力のある人は、平均よりも高い年収を得るのは、当然と言えば当然です。言い換えると、心理職は士業資格と同等の威力のポテンシャルを持っていますし、ビジネスモデルを作れる人が出れば、大いにチャンスのある資格ですし、このポストコロナ時代において、社会から求められている資格でもあります。

「食べてはいける」から「食べていける」「余裕で食べていける」に変わっていくために

私が20年京都コムニタスを運営してきた中で、常に課題として意識してきたのは、「大学院を出た人が食べていけること」です。昔は大学院を出ても研究者になる以外は食べられない。学位は「足の裏の米粒」=「取っても食べられない、取らないと気持ち悪い」と言われました。
誰が考えたんでしょうね?
それもあって、大学院は食べていけない人間の集まるところではなくて、食べていけるスキルを身につけるところだということを伝えてきました。心理職は、私にとって、大学院資格の希望と期待の星です。力の及ぶ限り、多くの人が食べていける資格になる手立てを考え尽くしていく所存です。

「食べていける」もいろいろ

今後の課題として、次の次の書籍くらいで検討したいと思っていますが、それは、「食べていけるの定義による」ということと、「人による」ということと「適性次第」ということの3点に集約されると考えています。よく言われる「常勤職」については、かなり意見が割れます。常勤職でもって食べていけると考えている先生もおられますし、福祉系は給料が安いから、それでは難しいと考えられることもよくあります。一方で、最初から常勤ではなくて、いくつかの仕事を非常勤でこなしてスキルとキャリアを積んでから、常勤を目指した方がいいという先生も多かったと思います。「心理職」の特徴(特長)は幅が広いことですから、いろいろ経験した方がいいというのは、その通りなのだろうと思います。

地域性も重要


以前、協同出版の『季刊公認心理師』という雑誌の編集会議に参加させてもらっていたのですが、公認心理師の創設に携わったような偉い先生方とご一緒させていただきました。その中で何名かの先生は「私の地域では募集しても心理職が充足しない」と仰っておられました。具体名は静岡。また以前、神戸での給料27万の心理職募集がなかなか集まらなかったことを書いたことがあります。他にも中国地方の大学では、院生全員常勤に決まっているという大学も複数ありました。どうしても、首都圏、京阪神あたりは競争率が高く難しい面はあると思います。この仕事で生計を立てたいということであれば、場を探すのも選択肢になり得ます。

資格をとっただけでは食べていけないのはどの資格も同じ


どの資格も資格を持っていることはスタートラインに立つことであって、将来を保障するものではありません。当塾出身者で行政書士の資格を持っていても、その資格で食べていくことを選ばず、臨床心理士になった方もおられます。建築士の方も先日大学院を修了したとメールをくださいました。スタートラインには、その仕事で生きていく決意を強く持って資格を取った人が立った方が良い方向に向かうことは間違いありません。これはどの資格も同じことです。

私個人は直接は知りませんが、仮にこの資格を取って、覚悟を決め、スキルも十分にあるはずなのに、なぜか食べていけない、という人がいるとすると、よほど運も含めて何かに恵まれていないか、何らかのかみ合わせ、巡り合わせが悪かったか、他に理由があるか、検討してみる余地があります。
ビジネスは成功に学ぶことは少ないけれど、失敗から学ぶことはたくさんあります。うまくいかない理由を潰していくだけでもかなり変わるでしょう。また悩んだ時は出身の大学の先生の多くは相談に乗ってくれますし(そんな先生のいる大学院に行きましょうね)、仕事の探し方や心構えも教えてくれます。少なくとも私がインタビューをした大学はそんな先生ばかりでした。是非私たちにも仕事のこともいろいろ相談してください。


いいなと思ったら応援しよう!

大学院・大学編入専門塾 京都コムニタス
よろしければ応援お願いします!大学院受験を目指す方へ還元できるように使わせていただきます!