見出し画像

【読書メモ】戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法

「戦略コンサルタントの本分は『触媒』である」
本当に、そうありたいと願いました。

著者は遠藤功さん。いわずとしれた超一流の戦略コンサルタントです。その遠藤さんが集大成と称して、戦略コンサルタントのあり方を書いたのが本書です。

書かれているひとこと、ひとことに納得させられます。コンサルタントの端くれとして、ここに書かれたことを実践して、自分もその体験をもとに本を残せるようになりたいと強く思いました。

戦略コンサルタントは、変革の「触媒」である

冒頭にあるように、遠藤さんは「コンサルタントとは変革の『触媒』である」と語っています。

コンサルタントがいなくても戦略は立てられます。ただ、いつもと同じ考えで戦略を立てても結果は、変わりません。違う角度から自社を見直す上で「触媒」が必要なのです。

提供するのは「触媒」としての関わりであって、戦略そのものではないというところがポイントです。経営は、経営者の意志が表れたものです。意志を買うことはできません。経営者の中にしかないのです。

本書の中で「適社性」にこだわるという言葉が出てきます。どんなに立派な戦略を立てても、その会社が実行できないものでは意味がない、ということです。そして、実行できるかどうかは、能力の問題もありますが、やはり意志の問題です。遠藤さんの言葉を借りるなら、「その気にさせる」ということが大切です。

一流の触媒の方程式

そのために必要なのは何でしょうか。遠藤さんいわく、

頭の知性×心の知性×プロフェッショナル・マインド=「一流の触媒」

となります。

コンサルタントである以上、頭の知性は必要です。ものを考える力がなくては務まりません。また、心の知性も必要です。相手が「やってみよう」とその気になるには心への働きかけが必要だからです。

そして、知性だけでは不十分。土台にあるのはプロフェッショナル・マインドです。これは、あくまで社外の人間だからこそ果たせる貢献だということが書かれています。

「アウトサイダー」としてすべきこと、「アウトサイダー」だからできること、「アウトサイダー」にしかできないことを常に認識し、なんとしてでもクライアントの変革を実現させる。そうしたプロフェッショナリズムこそが、クライアントを動かすのである。

私自身、コンサルタントとして大切にしているのは「お客様の世界一のファンになる」ことです。これは、Yesマンになるということではありません。ファンだからこそ、厳しい苦言を呈する、そういうマインドを大切にしています。そのためには、お客さまのことをお客さま以上に知ろうとすることが大切です。「アウトサイダー」としてお客さまに惚れ込み、「アウトサイダー」と承知しながら「それは『私たち』らしくない」と心から指摘できるかどうか。その思いが相手を動かすのではないでしょうか。

テクノロジーが進化する中で、ますますマインドが求められる

これからの時代、知識や情報はいくらでも手に入ります。戦略もデータに基づいてはじき出される日が来るでしょう。プロスポーツは、既にそうです。その日の試合のデータは、もう翌日には分析され、戦術に生かされています。

そうした戦いの先で勝負を分けるのは、マインドになるはずです。これからテクノロジーがますます進化する中で、『頭の知性×心の知性×プロフェッショナル・マインド』という公式は、コンサルタントに限らず、誰もが持つべきものになるでしょう。

いいなと思ったら応援しよう!