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葛藤をうまく使う組織⑤ ~「仕組み」「仕掛け」「仕切り」で組織能力を高める

葛藤をキーワードにアレコレ書いてきています。5回目となりますが、ここらで一区切りです。過去4回もよろしければどうぞ。

前回は、葛藤と向き合って成功した結果、その成功体験にこだわるとうまく行かなくなるといった葛藤を取り扱いました。成功体験は常にアップデートする必要があります。葛藤し、試行錯誤して得られた勝ちパターンを仕組みにしてそれを円滑に回していく。そして、その結果を振返って、そもそもに立ち返り、再び葛藤、試行錯誤をしていく、そうした循環を回していくようにします。

わたし達はいまどこにいるのか

こうした循環を回すためには、どの程度まで組織能力が高まっているのかを見ていくようにする必要があります。わたしがよくお客様に示すのは下のようなマトリクスです。

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社員の「成長の自律性」というものを定義しています。2つの観点から社員の状態を捉えています。まず、社員は「①何が課題なのか」分かっているかどうか、です。そしてその上で「②何を身につけるべきか」を分かっているかどうかという二つの観点を掛け合わせています。

例えば「何が課題なのかを分かっている」のは、あるべき姿が分かっていて、その現状とのギャップに葛藤しているということです。そのときに「何を身につけるべきかを分かっている」とは、ギャップを埋めるアクションを定めているということになります。最終的には「自ら次の課題を探して、解決のためのアクションを繰り返す」状態になっていくことが理想です。

この表は、あくまでわたしなりの概念を整理したもので、レベルを図るためのアセスメントがあるわけではありません。社員へのインタビューや経営陣との対話、その他、観察される事象をお客様に伝えながら、「いまレベル1から2の間ですかね」という風に目線を合わせていくために使っています。

「仕組み」「仕掛け」「仕切り」を有機的にデザインする

では、どうやってレベルを上げていくか。
前回のnoteでは、ハードとソフト両面の打ち手が必要という話を書きました。

これを考えやすくするために「仕組み」「仕掛け」「仕切り」という3つの観点からマネジメントを見るようにします。

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「仕組み」は、理念や制度など理想やあるべき姿を見える形にしたものです。どちらかと言えばハード面の話です。

「仕掛け」は、ソフト面です。会議やプロジェクトなどによって、社員に考えさせたり、意見を交換したりする場を設定します。こうした場を仕掛けることで葛藤を顕在化させたり、試行錯誤する対話が促進されます。

仕組み・仕掛けだけだと人によって行動に濃淡が出ます。そこでリーダーが「仕切り」ながらみんなの参加を促す必要があります。こちらもソフト面です。

上記の「仕組み」「仕掛け」「仕切り」をデザインし、組織のルーチンとして埋め込むことが大切です。例えば、下記の様な合宿を起点とした会議体のデザインなどがあります。

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とはいえ、禅問答のようですが、これですぐに結果がでるかというとそうではありません。このルーチンを通じて組織能力を高めていくことこそが狙いです。単に葛藤が解消されるとか、計画を進捗させることが目的ではないのです。

組織はなまものです。外的な環境が変わることでうまく行くこともあれば、逆もあります。あるいは、たまたまリーダーが交代したことで、好転したり、後退したりもします。今、わたし達が、どのような状況にあるのか、どこで葛藤が起きているのか、短期的にも長期的にも振返りながら進んでいくことがやはり大切です。そこで何が起こっているのか、レベルが上がっていかない阻害要因は何なのかを見極め、少しずつ取り除きながら進んでいきます。

このようにして考えてくるとやはり葛藤を恐れるよりも、葛藤がないことを恐れるべきだと思います。「それが葛藤をうまく使う」姿勢です。

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