未来を語り合うための「デジタルタイムカプセル 」
「今年の新人さんはとても前向きで熱心だ」これは、今年の新入社員研修をやらせていただいた所感です。私だけでなく、周囲のコンサルタントも、そう感じています。コロナ禍で漠然と未来に不安を感じる中、やっと得られた働く喜びが原動力になっているのかもしれません。
このままの気持ちをずっと持っていてほしい、本当にそう思います。そんな思いから「今日の研修でメモに残したこと、ぜひ、時々読み返してください」そのように伝えました。
■あったらいいな「デジタルタイムカプセル」
昨年と比べて、オンラインでの研修もかなり増えています。zoomの画面上には、主催者が録画していることを知らせる表示が出ています。それを見て「これタイムカプセルにできないかな」と思いました。
タイムカプセル、ご存知ですよね? 未来の自分に手紙を書いて、桜の木の下とかに埋めるやつです。そして、10年たったら掘り返すっていうやつです。zoomでの映像がデジタルアーカイブされて、10年たったある日、寝ようと思って天井を見たら10年前の映像が天井に映し出される…そんな妄想をしてしまいました。それを見て「10年前、こんなこと考えてたんだ」とか「結構、良いこと言ってんじゃん」とか「なんだか、変わらないなあ」などと思うのでしょうね。それによって、今やっている仕事の意味を考えたり、そもそもの原点に立ち戻ったりと、リフレクションが進みそうです。
■ガクチカを示す「タイムカプセル」はありか?
そんなことを考えているうちに、ある会社の新人研修でのことを思いだしました。その研修では、思考法としてアサンプションスマッシングというのをやりました。前提になっていることや常識になっていることをあげて、それを打破する思考法です。
お題として、「新卒採用の常識を覆す採用活動」を考えてもらいました。その際、彼らが新卒採用の常識としたのは、エントリーシート、面接、そして、ガクチカです。ガクチカとは「学生時代力をいれたこと」の略です。いかにウケるガクチカを考えて、面接に臨むかというのが就活の常識であり、また、モヤモヤさせられることであるようです。というのも、「いくらでも嘘をつけちゃう、そんなガクチカって本当に意味があるのか?」と感じているからです。
…なるほど、では、たとえば、学生時代の活動が参照できるデータで蓄積されているとどうなるでしょうか。オンライン授業がもし定着するのなら、そこでの言動などをデータにできそうです。また、SNSでの発信や、仲間とのメッセージ交換、撮った写真、動画、その位置情報などを収集しようと思えばできます。そうすると、ガクチカのタイムカプセル化が可能かもしれません。
ただ、これを採用時の評価に使うのは何か違和感を覚えます。結局のところ、「就活のために」学生時代に何かに力を入れるという本末転倒が起こるからです。
そんな常識にしばられ、ちょっとうんざりした新入社員が考えたことの一つに、「未来の自分の姿をプレゼンする」というものがありました。もちろん、ガクチカはなし、です。過去が実際のところどうであれ、しっかりと自分の考えや価値観を言語化し、自らの未来像を描くべきであり、その内容を評価するべきだという意見でした。
■組織開発×AI・データ活用
いやあ、素晴らしいですよね。そして、これは、就活の話だけではありません。これから彼らがキャリアを重ねていく際にも意識してほしいところです。過去を振り返り、そこから仕事への思いをアップデートし、未来を描いていくことが大切です。
つまり、未来像を描くために過去の蓄積されたデータを参照するというのがありたい姿です。その前提に立つと、AIを使って、似たような経験を持つ人をマッチングして、対話させることも良さそうです。もちろん、似ている経験だけでなく、多様性のある組み合わせにすることもできるでしょう。そうやって、対話やリフレクションを促す組織開発とあわせて、テクノロジーは使われるべきです。そうしないと、テクノロジーの奴隷になりかねません。なぜならば、過去は変えられないからです。また、そこから学んでいるにもかかわらず、いつまでも過去のことで評価されつづける可能性があります。
データを鵜呑みにせず、そこから何を学ぶかというまなざしを持てる組織にできるかどうかがこれからますます重要になります。
さて…そんな妄想をしていたら、こんなご案内が届きました。参加予定でございます。日程が二つありますが、どちらも同じ内容のようです。
もしかしたら、わたしの妄想をさらに加速させるヒントが得られるのではないか…そんなことを思っています。参加しての感想やそこから得たことをまた、リフレクションしながら書きたいと思います。
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