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【読書メモ】グラフィックファシリテーションの教科書
こんな風に場を作りたい、素直にそう思いました。
以下は、アマゾンの紹介文からです。
NHK総合『週刊ニュース深読み』でグラフィックファシリテーターとしてレギュラー出演していた著者が贈るグラフィックファシリテーションを学ぶ決定版! !
【目次】
はじめに
CHAPTER1 グラフィックファシリテーションを知ろう
CHAPTER2 「主体的」に参加できる「場」にするには?
CHAPTER3 話し合いや会議を良くするために「目的を握る」
特別レッスン グラフィックファシリテーションのメカニズム(大切なポイント)
CHAPTER4 グラフィックに何を「描き」出しているの?
CHAPTER5 グラファシをとにかくやってみよう!
CHAPTER6 「描く」ときに大切なこと
CHAPTER7 誰だってグラファシできる!
CHAPTER8 グラフィックファシリテーションの進め方
CHAPTER9 ファシリテーターの「あり方」
CHAPTER10 未来を創るグラフィックファシリテーション
おわりに
タイトルや目次からは、「描く」ことのテクニックが書いてあるのでは、という印象を受けます。私も、そのつもりで本を開いたのですが、一番、心に刺さったのは、
「特別レッスン グラフィックファシリテーションのメカニズム(大切なポイント)」
にある内容です。
「目に見えるもの」「目に見えないもの」
一部を引用します。
個人の内側に存在する「純粋意欲」と「目的(パーパス)」は、人が主体性を発揮するための重要な原動力にも関わらず、目に見えないために失われやすく、他人と共有しにくいのです。
では、どうしたら良いのでしょう。
その答えは「見えるよう描き出してみる」ことです。
目には見えないけれど、たしかに現実に存在しているのだから、 その存在を感じとり、描くことで 「ビジュアライズ (視覚化)」し人と共有しやすくなります。
…なるほど! というのが率直に出てきた言葉です。
中でも、一番の気づきは「純粋意欲」と「目的(パーパス)」は見えないものだということです。これは、自分でも見えていないことがあるし、他者からは、なおのこと見えないということを意味しています。
私がファシリテーションをするときも「そもそも」や「目的」に立ち返るような問いかけをすることが多いです。これらは、ついつい忘れ去られ、本当の意味で腹落ちしないまま、結論めいたものが導き出されます。それでは、何も変わりません。
だから、忘れがちなそれらに目を向けるように仕向けるのですが、「見えていないから忘れ去られる」という風には捉えていませんでした。
「3つの現実レベル」を意識する
では、見えているものは何かというと、現状や目標、ゴール、ビジョンなどです。こちらも大切です。それらを整理し、ホワイトボードなどで構造化して合意形成を進めていきます。
その結果、話し合いが可視化されるし、意味も通っているので一見問題ないように思えます。ところが、見えない部分の深掘りが浅いと、リーダーやファシリテーターの独りよがりな結論になります。
著者の山田さんは、アーノルド・ミンデル博士の「3つの現実レベル」を引用しながら、下のような図を描いています。
3つの現実レベルは、以下の通りです。
「合意的現実レベル」
目に見えて合意できる具体的現実。
事実、数字、結果、制度、仕組み…etc
「ドリーミングレベル」
言葉になる感情・感覚、自覚できている気持ち
「エッセンスレベル」
まだ言葉になっていない直感的感覚。当たり前すぎて、意識に上がらない。
暗黙知、価値観、カルチャー、スピリット…etc
そして、大切なのはこの3つの現実レベルの「それぞれ」を共有することだとされています。
しかし、私たちは「合意的現実レベル」での話し合いに終始しがちです。そして目に見えない部分は蓋をされたままとなります。主体性を発揮するための原動力が抑えつけられてしまうのです。
また、どのレベルで話しているのか各人がばらばらの認識になっていることもあります。
ファシリテーターは、見えない部分に参加者を向き合わせながら、かつ、レベル合わせをすることが大切です。その時、グラフィックファシリテーションは、言葉にならない思いを絵に描き、参加者が解釈を伝え合うことを通じて、共感を深めていくパワフルな方法だと思います。
AIにファシリテーションはできない
読んでいるうちに、AIにファシリテーションはできないだろうと思いました。本書の中でも『「AI」ではなく、「人間」が描くから意味がある!』として以下のように書かれています。
人が「感性」を使って、相手を感じ取り、表現することで「新たなもの」を出現させる。
そこに「人が」描き、ファシリテートする意味があります。
AIも「新たなもの」を生み出すことはできます。ただし、それは「合意的現実レベル」のなかでの発見です。得られている情報を組み合わせて、今まで人が気づいていなかったパターンを見出すことです。もちろん、これにも価値はあります。
しかし、見えないレベルを深掘りして、「新たなもの」を生み出せるのは、感性や感情を持つ人間だけです。テクノロジーによる新たな産業革命を迎えつつあるとされていますが、産業の発展の中で失ってきたものもたくさんあります。
見えないものに目を向けるファシリテーションの力が、今後、ますます豊かな社会の発展に求められると確信しています。