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時に立ち止まって、「私たちはお客さまから喜ばれているか」「もっと喜んでいただくにはどうしたらよいか」を考える
お客さまと長期ビジョンについて考える機会が増えています。
その中の一つに、後継塾というものがあります。こちらは、複数企業合同での研修です。研修の形式をとりながら、参加者それぞれが自社の長期ビジョンを考え、互いに意見交換する場です。
参加者の皆さんは、とても熱心です。自社が、どのように世の中の役に立つべきなのか、使命感を持っています。業種も様々ですが、大手の2次受け、3次受けになるような企業も多いです。守られてきた部分もありますが、ここへ来て、お客さまの経営環境の変化によってマイナスの影響が出つつあります。
このとき環境のせいにすることもできるでしょう。しかし、言い訳をしていても何も変わりません。皆さんからは「やるしかないのだ」という前向きな熱量を感じます。
「そこ」へ向かおうとする気持ちを伝える
「やるしかないのだ」という気持ちの中には、危機感と使命感の両方があります。現実をありのままに受けとめて、「変わらないとまずい」という気持ちが危機感です。現実を見て見ないふりをしてしまっては、どんなに崇高なビジョンを語っても夢物語で終わってしまいます。
とはいうものの、危機感だけでは「前」に進めません。いまある危機を単に抜け出すだけになってしまうからです。一方の使命は、「命を使う」と書きます。自分が生を受けて存在している意味は何だろうと考え、「そこ」へ向かおうとする気持ちです。
そして、ここでいう「前」や「そこ」が「ビジョン」です。ただし、これが「すぐ目の前」や「すぐそこ」では、エネルギーが生まれません。長期的に考えて向かうべきところを示しつづけるのが経営者やリーダーの役割です。
真の目的があるビジョンが原動力になる
ビジョンの定義は、様々ありますが、私はケン・ブランチャードの定義が好きです。
ビジョンとは、自分は何もので、何をめざし、何を基準に進んでいくのかを明らかにすることである。「『自分は何ものか』がわかれば、『目的』が明確になる。『何をめざすか』がわかれば、『未来のイメージ』が描ける。そして『何を基準にするか』がわかれば、『価値観』がはっきりする」
出典:『ザ・ビジョン』― ケン・ブランチャード
上記は主語が一人称ですが、「自分たち」としてももちろん成り立ちます。社長も社員もそれぞれビジョンを持っていて、会社としてのビジョンも共有できているのが理想です。
この定義は3つの要素からなります。「目的」「未来のイメージ」「価値観」です。いずれも欠くことのできないものですが、あえて一番大切なものを選ぶとすれば「目的」ではないかと思います。なぜなら、遠くにある「そこ」へ行くための原動力になるからです。
お客さまがいるから目的を深く考えられる
研修の参加者から感じたのは、危機感以上に使命感であり、視座の高い目的でした。問題は、社員とともに描けるかどうかです。なぜなら、普通は仕事をする中で「自分たちは何ものか」などとは考えないからです。
ただ、仕事の良いところは「お客さまがいること」です。私たちは、お客さまへの商品・サービス提供を通じて、多くのことを学んでいます。
ケン・ブランチャードもこのように書いています。
目的とは、顧客の視点から見た、組織の〝真の〟使命を明らかにするものである。
その〝真の〟使命が、社員にとって働く原動力にもなり、同時に自社だからこそできる、独自の貢献を見出すことにつながります。
まもなく年度末を迎えます。今期の振り返りの場を持つ方も多いと思います。時に立ち止まって、「私たちはお客さまから喜ばれているか」「もっと喜んでいただくにはどうしたらよいか」を考えることが大切です。
それは、漠然と「私たちは何ものか」と考えるよりも、ずっと話し合いやすいテーマです。そして、一方でお客さまの視点から考えることは、忘れがちなことでもあります。
大切なことを見出し、忘れないようにする工夫ができるかどうかで、大きな差がついてきます。