尋ね人
昔は、新聞に尋ね人の広告欄があった。
一方的に誰かに呼び掛ける。
呼び掛けに応えてくれる保証はない。
読まれなければそれまで。
ネットで調べてみると、
実際の画像がいろいろ出てくる。
懐かしく、興味深い。
例えば、
〇 父病気会いたし至急連絡せよ‼︎
〇〇 退学届は出してない至急居所知らせよ 母
など。
家出や失踪した家族に呼び掛けるものが多い。
明治時代の逃亡娼妓の尋ね人の画像もあった。
もし居場所がわかったら、〇〇楼まで連絡してください。相当のお礼金をお支払いしますという内容。
人間ドラマが垣間見える。
小説によくあるのは、
身代金の受け渡しなど、犯罪絡みの秘密のやりとりに利用されるもの。
秘密なのに、新聞広告を使う大胆さ。
手元にある戸川昌子の『大いなる幻影』にもそんなにシーンがある。
息子の身代金を払ったのに、犯人は息子を返してくれない。
新聞の三行広告を利用して、犯人に呼び掛けるというものである。
尋ね人は、何かの暗号として犯罪に利用されることもあるという説もあったけれど、実際のところはどうだったのだろう。
そういえば、かつて駅にあった伝言板も懐かしい。
黒板に自由に書く。
待ち合わせに遅れた人に
先に行くことを告げる。
先に行ってルノアールで待ってるとか。
学生がコンパの会場を知らせたり。
〇〇分待ったけど、もう帰ります。とか。
いたずらや落書きもあって、それなりに面白かった。
携帯電話の普及で、今は消滅した伝言板。
そんな原始的な通信手段は必要なくなった。
大抵の問題はスマホが解決してくれる時代。
そう、きっと人生の問題の9割以上は、スマホが解決してくれる。
命の次に大切な
スマホを大切に。