変人への道
わたしは、引っ込み思案で、自分の言いたいこともいえず、やりたいことはいつも我慢して、こうすれば相手が喜ぶだろうと先回りして考える癖がありました。
先回りといっても、行動的ではなく、小学校低学年の通知表には、
「内向的」と書かれていました。
母親は心配して、人から馬鹿にされないようにと、勉強を強要してきました。
お蔭で勉強嫌いになりましたが、「人から舐められないように」と、口酸っぱくいわれたので、笑顔も少なくなり、次第に仏頂面になっていきました。
本が友だちで、休憩時間もよく図書室で過ごしました。
中学に入り、父の転勤先に引っ越したので、この際自分のイメージを変えてみようと思いました。
その頃から、大人の本と出会い、太宰治や三島由紀夫などを読み耽るようになり、別に変人でもいいんだ。
恥ずかしがることはないんだ。
変な生き方って、寧ろカッコいい!と開き直るようになりました。
たまに冗談などを口にすると、「意外と面白いね」といわれるようになりました。
変人も度を越すと生き辛いので、なるべく小出しにすることは心掛けました。
それでも、「変わってるから仕方ないね」という暗黙の了解みたいなものが生まれ、自分でも、「ま、いいか」と思えるようになりました。
相変わらず、無口な方でしたが、最小限の気心の知れた友人と、狭い世界で平和に過ごしていました。
一旦変人のレッテルを貼られたら、もうこっちのものです。
自由に生きる通行手形を手に入れたようなものです。
わたしなど所詮、常識の範囲内での変人ですから、まだまだ大したことはありませんが。
結局何が言いたいかというと、
人目を気にしていたら、生きるのが辛くなりますよ、ということです。
一度思い切って、変人になってみませんか、という、変人のススメです。
他人はあなたのことなど、大して気にしていません。
たとえ失敗しても、許されない失敗など滅多にないと思います。
仕事上の大きなミスは許されないかもしれませんが、自分の弱点を予め周囲に知ってもらえば、ある程度はカバーしてもらえるんじゃないでしょうか。
苦手なことを克服するのも大事かもしれません。
しかし、人間には得手不得手があります。
打たれ強く、
孤独にも強い。
個性的で魅力的な変人になるのが、わたしの理想です。