拾得物
人間はキラリと光るものを
見つけると、拾ってしまう習性が
あるようです。
片方だけのイヤリングとか
自転車のカギとか
視線が低く(背が低いだけでしょ)
俯き加減に歩いている老婆は、子どもの頃からよく小銭を拾います。
金属製のボタンや道路に埋め込んである何かの目印をコインと間違えることもしばしばですが。
お財布も拾います。
ここ一年では二つ。
その前には学生証、免許証入り財布を拾ったことも。
当然
善良な市民の義務として
その足で交番へ。
今年拾ったひとつ目は
コンビニ前で
1000円札が1枚だけ入っている
二つ折りの財布でした。
コンビニに届けようか迷ったけれど、
とっさの判断で最寄りの交番に行きました。
カードも何も入っていなかったので
たぶん子どもの落とし物じゃないかな。
子どもなら財布を落としたらお巡りさんのところに行くでしょ?
もう一つはブランド物の小ぶりの財布。
交番に届けようと数十メートル行ったところで赤ちゃんを抱っこし、幼児の手を引いたお母さんが、キョロキョロしながらこっちに向かって歩いてきました。
もしかして、これ?
と差し出すと
ありがとうございます!と
三拝九拝されました。
こちらも届ける手間が省けました。
さて、ここからはまったく別の話です。
ある人に聞いたのですが、
マンションの2階の窓から見える自動販売機のお釣りの返却口に
毎日のように通りすがりのおじさんが手を突っ込むのだそうです。
しかもそんなおじさんが複数人。
ここはそんな町だよと
その人は言いました。
ふーん。
こういう話を聞くと
小遊三さんのネタも真実味を
帯びますね。
キャッシュレス化が進み、
気がつけば
一度も現金を使わない日も。
新しい500円玉に
お目にかかれるのは
いつになることやら。