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あかね書房 ABC怪事件

図書委員の特権で
新しい本が入りましたという
情報を逸早く仕入れると
昼休みや放課後に
いそいそと図書室通いを
しておりました。

あかね書房

少年少女世界推理文学全集

運命的な出会いでした。

最初に手にとったのは
アガサ・クリスティの
『ABC怪事件』

ABC殺人事件とばっかり
思っていたら!

読者が少年少女である
ことに配慮して、
マイルドなタイトルに
したのでしょうね。


それまで

怪盗ルパン
名探偵シャーロック・ホームズ
江戸川乱歩の少年探偵団

を手当たり次第耽読し、
得意になっていた小学生が
突然、大人の仲間入りをしたような
そんな衝撃を受けました。

あまりの面白さに一気読み。
シリーズを次々に読み進めて
いきました。

作家陣は

クイーンやカー、ヴァン・ダインなど
錚々たる面々でしたが、
少年少女でも楽しめるように
工夫された
超訳だったのでしょう。

中でも

子どもが殺人現場を目撃してしまうが
大人は信じてくれない、
というストーリーが
ずっと記憶の片隅に残っていました。

これを機に調べたところ

ウールリッチの『非常階段』でした。

それほどメジャーでない作品にも
このシリーズのお蔭で
出会うことができました。

中学校に入って初めての文化祭。
古本市で手に入れた1冊の文庫本は

クリスティの『アクロイド殺人事件』
(『アクロイド殺し』)でした。

ハヤカワ・ミステリや
創元推理に
夢中になるきっかけをつくってくれた

あかね書房さんに

改めて感謝です。