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お墓問題

ひとりっ子のわたしが嫁いだ時点で実家の家系は途絶えてしまうことが決まった。

父は長男だったので、お墓にはわたしの祖父母らご先祖さまが眠っている。


わたしが結婚して間もなく、父はお墓を広島駅そばの、友人が住職を務めるお寺に移した。
お墓参りがしやすいようにと、父はわたしの利便を最優先に考えてくれた。


数年後、叔父も同じお寺にお墓を建てた。
お蔭でお彼岸にわたしが帰省できなくても叔父がお参りをしてくれる。

母方のお墓は、広島市内ではあるが、ちょっと郊外の比較的新しい墓苑にあった。

そこが平成26年8月の大豪雨による土砂災害で9割が流されてしまった。
お墓は800基ほどあったらしい。

この大豪雨による犠牲者は70人以上にも及んだ。


しばらくは墓地への道も寸断されていたが、なんとか復旧しましたということで行ってみたら見る影もなかった。

管理しているお寺の尽力で、墓石などは一箇所にまとめられていた。
〇〇家という墓石だけは何とか見つかり、写真を撮った。
遺骨は流出して結局わからなかった。


数年後に合同慰霊碑ができて、そこへお参りに行くようになった。

母は東京に住む自分の兄が亡くなってからは、墓じまいのことをずっと考えていたので、結果的にこれでよかったのかもしれないと言った。

母は自分が死んだら、わたしの実家の方の墓じまいをするようにと繰り返し言うのだが、お墓がなくなると、ふるさととの縁がきれてしまうようで寂しい。

さりとてわたしもそんなに頻繁にお参りできるわけでもない。
高齢の叔父にいつまでも甘えるわけにもいかない。

少子化、高齢化、未婚化、人口の都市集中などお墓を維持することはなかなか難しくなっている。
また、自分の入るお墓はどうなるのかなど、現代人のお墓の悩みは尽きない。

お墓問題早めに考えなければ。