楽しいバス旅行
あれはまだ、娘が学生だった頃。
ということは、今から十数年前、
二人でバスツアーに参加した。
金沢一泊二日一万円の旅。
JTBが主催していた。
新聞の広告を見て申し込んだ。
ビジネスホテルに泊まって夕食はカニ尽くし。
で、一万円?
あと数千円追加すれば、温泉旅館泊に変更できたのだが、格安ツアーに申し込んで、そんなことをする人は滅多にいない。
旅行会社としては、赤字覚悟のこのツアーを呼び水にして、これを機にバス旅行のお客様になってほしいという意図があったのだと思う。
当時大人気のツアーだった。
新宿を朝早く出発して、ひたすらバスに揺られる。
長旅なので、居眠りしている時間も長かった。
サービスエリアに立ち寄りつつ、世界遺産の白川郷も見学した。
何時間かかったのか、覚えていない。
夕方には金沢に着いた。
香林坊ど真中の新しくて、ごく普通の簡素なビジネスホテルに到着した。
夕食は思いの外充実していて、カニ中心のメニューで、カニ脚の食べ放題もあった。
もちろん、冷凍。
一万円なので、文句を言う人などいない。
夕食後には、香林坊を娘と散策。
どのお店も閉店時間が早く、早めにホテルに引き上げた。
翌日は定番の兼六園とひがし茶屋街観光。
老舗の金箔のお店にも連れていかれ、伝統工芸の技術と、目も眩むような黄金の茶室を見学した。
(今調べたら、箔座本店というお店だった。)
憧れの近江町市場には行けなかった。
帰りは富山県を経由した。
金沢も初めてなら、富山県に足を踏み入れるのも初めてだった。
ただし、立ち寄ったのは、昆布の専門店と、ますのすしの工場兼ミュージアムぐらい。
でも、ここが意外と楽しかった。
寿司づくりの見学の他に、ホタルイカの沖漬けや白エビ、珍味の瓶詰めなどいろいろ試食してからお土産を買った。
帰りも長時間バスに揺られ、サービスエリアに立ち寄る度に、用もないのに降りては売店を覗いたり、体を動かしたりした。
途中で、オプションのおぎのやの
「峠の釜飯」も食べた。
強行軍の駆け足ツアーだったけれど、母娘ふたりのお得で楽しいバス旅行だった。
スマホも一代前なので、手元に写真もない。
今度行くときは新幹線で。
温泉旅館に泊まってみたい。
金沢市街をゆっくり散策してみたい。
二十一世紀美術館や、輪島にも足を伸ばしたい。
もう一度
訪ねてみたい
加賀の国