【海外移住の話⑬】 ペルー 《男2人旅で、コンドルの谷から帰れなくなる(アホ)》
マチュピチュへの道を共にしたJoeがある日、急遽帰国すると言ってきた。故郷のテキサスで仕事ができたらしい。
どうせなら最後に2人旅して、現地で別れようということになった。
目的地は、人が住む世界最高の標高を誇るチチカカ湖にしようとしたけど、大統領選の直後でデモが多発してるらしい情報があったので却下。。
ペルー第二の街アレキパから近い、コルカ・キャニオンに決めた。
グランドキャニオンの2倍近い3,000m越えの深さがある谷で、コンドルが見られるというので有名な場所。
Joeが「行きのバスはとっとくわ」と言ってくれたので、任せることにした。
アレキパ行きのバスが...
その夜シェアハウスのリビングで、Joeが「バスのチケット買っといたで〜」とチケットをくれた。
ありがとーと受けとるはいいが、書いてあった値段がなんと日本円で約2万円(ゼロ見間違えたかと思った)。
思わず片道やで?アホ?と言ってしまった。
貧乏留学中だから飛行機じゃなく夜行バスにしようと話してたのに、チケット売り場に行ったらテンション上がってしまったらしい。アホ?
とってしまったものはしょうがないし任せたのは自分なので、バスに乗り込む頃には「せっかくやから全力で堪能しよう」モードに脳内変換完了。
中は、こんなでした。
これに揺られて8時間。日本にこのクオリティのバスは無いなー。
割といいお弁当が出て、寝る前にはビンゴ大会(!)が始まった。
ちなみに、バスのクオリティももちろん安いものからピンキリですが、南米は全体的に長距離バスの道路が綺麗に舗装されていて、陸路での移動が比較的快適です。
今回利用したバス会社は、大手の「Cruz del Sur」で、最高ランクのバスでした。。
白い街アレキパから、キャニオンへ行けない...
クスコやリマ、ナスカと比べて知名度が低いけれど、ペルー第二の都市アレキパ。
クスコよりはるかに大きく、建物が白で統一されていて、景観が美しいと有名な街です。
一通り町歩きを楽しんだ後、目的地であるコルカ・キャニオンまでのバスを手配しにバスターミナルへ。
バス会社の受付がいくつも集まっているターミナルで片っ端から空席と値段を聞いていくも、なんと明日の全てのバスで空席がゼロという事態が発覚。。
1コぐらい空いてるやろうと2人で手分けして当たり尽くすも、やっぱり空席は見つけられず全部断られてしまった。
聞くと普段はこんなに混むことは無いらしい。大統領選デモのせいで危険度が上がり行けなくなっている観光地が多く、その分の大量の観光客がここに流れてきているらしかった。いやめっちゃ不運。
甘く見てたな、、とちょっと絶望。
残る手段でタクシーで行く手はもちろんあるけど、当然何倍も(確か10倍近く)お金がかかる。
一気にテンションだだ下がりの2人。とは言えせっかくの送別旅、キャニオンに行かない選択肢は無かったので、明朝またバスターミナルに来て急な空席を探すことにした。
夜、泊まった安宿では、キャニオンに行く予定の(もちろんバスも確保できてる)4人と仲良くなり、結構飲んだ。
事情を話すと、「Oh my god~!」と言いながらみんなすごい僕ら2人を励ましてくれる。
タクシーは、嫌やなあ。。
奇跡の出会いはあるか...?コルカ・キャニオンへ!
朝6時、2人で再びバスターミナルにやってきた。
案の定、公式の窓口では座席は全滅。
とりあえず各バスの発車時間まで待つ。
(↓軽く絶望してる図)
1時間後、バスが出始めた。
作戦通り、手当たり次第に運転手に声をかけていく。
1台目、ダメ。
2台目もダメ。
1時間くらい成果無し。
リアルにこれはタクシーやな、と諦めかけたその時、止まってもらったバスが、「ちょうど二人空いてるぜ、乗りな」と!!!
展開テレビか。
歓喜しながら乗り込むと、みんなややいかつ目。歓迎してくれたがスペイン語も英語も通じない。
全員イタリア人観光客で、ちょうどふたり高山病で行けなくなったらしかった。
いやーもう最高やなと2人で話しつつ、コミュニケーションを取ろうと試みる。
向こうが何言ってるかはほとんど分からないが、向こうはこっちのスペイン語をなんとなく理解してくれる。ラテン系の言葉が似通っているのを、初めて体感。
そして、念願のコルカ・キャニオンに到着。
グランドキャニオンの倍の深さを誇る渓谷は、やっぱり壮大だった。
しっかりコンドルたちも見れた。
運が良ければ見れる、という感じでもなく、割とバンバン飛んでくれる。
いやーバスの一件も含めて大満足やったなーと呑気に話していて、帰る頃にあることに気が付いた。
いつの間にかイタリア人御一行を見失っていて、連絡先も交換してなかった。
すなわち、ここを出る手段が無いんとちゃうか。。
Joeと漫画みたいに無言で目を見合わせた。
やばいやばいやばい。
すぐに探すも彼らは見つけられず、他のバスも当然いっぱい。
「俺らほんま、ただのアホやん。。」と絶望。(2回目)
アレキパに帰れるか...?
結局、アレキパ行きのバスには出会えなかった。
ひとつ、小さな旅行業者のカウンターを見つけて、ダメもとで入ってみる。事情を話して相談した。藁にもすがりたい。
すると結構親身になって聞いてくれ、家族みんな出てきてくれて、有力情報をくれた。
「アレキパ行きのバスはやっぱり無いけど、途中の交差点までのバスなら一本ある。そこからまたバス捕まえられるかも」
Joeも僕もそれに賭けるしかないのでOKして、バス停まで車で送ってもらう。
一応、危険なことが無いか2人とも警戒しつつだったけど、結局めちゃくちゃいい人たちだった。バス停で運転手に事情を話してもらって降りる交差点を伝えてもらい、内心ドキドキしながらバスに乗り込んだ。
その交差点までは僕もJoeも気が張ってて無言。まずはちゃんと降りなければ。
無事に指定の場所で降りれたものの、建物もない本当にただの交差点。
やばいかな、と思って5分後、
停まってくれた1台目のバスに空きがあった!!
2人で本当にちょっと飛び跳ねた。
(焦りで全然撮れなかった。車窓からの一枚↓)
日が暮れた頃、無事、アレキパに到着。
2人とも激疲れと安心とで、バス停のベンチからなかなか動けない。
30分くらい語り合ったあと、再会を誓って、立ち上がる。彼はリマの飛行場へ、僕はクスコへ向かった。
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これは9年前の話。Joeとはまだ再会できていませんが、変わらずテキサスにいるとのこと。予定している世界の旅で、会いたい人のひとりです。
自分たちの不注意でいろいろ想定外が起こりましたが、そういうプロセスが一番の経験と思い出になることを体感した旅でした。
ですが、コルカ・キャニオン(スペイン語ではカニオン・デル・コルカ)に行かれる際は、行き帰りの交通手段はぜひきっちり確保して行かれてください!
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↓ペルーから37時間かけて向かったエクアドルで3ヶ月暮らした話につづく。