【スペイン巡礼の話④】サグラダファミリアで思い出したのは、自分の信仰心と自然について
言わずと知れたサグラダファミリアにはそれはもう、訪れたことのある方も多いかと思います。
僕は初めて訪れて、ガウディの自然とキリスト教両方への尊敬と、それらを表現することへの執念、使命感みたいなものを強烈に感じました。
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サグラダファミリア:自然に沿うことで機能性と耐久性が上がる確信
サグラダファミリアの内部の柱は枝分かれした木を手本に作られ、そうすることでこの大空間を横向きの柱(梁)なしで作るという従来不可能だったことを成し遂げたとのこと。
ガウディが生前に自らの手で完成させることができた、有名な生誕のファサードの4本の塔は、鉄骨や鉄筋を一切使わずにレンガと石を積み上げて作られているらしい(こわ)。
この空間・構造を作るにあたって設計図を用いなかった(前代未聞)ガウディは、何度もミニチュア完成模型を作って作業員に共有し、大きい森を作るイメージを繰り返し伝えていたそう。
塔の一つ一つの形は、天井に水平に取り付けた紐に砂袋をいくつもぶら下げる実験を何年にもわたって行って、そのたわみを逆さにした形に沿って作られてる。
「神の御技を人間が超えてはならない」と、サグラダファミリアの一番高い塔が近くにあるモンジュイックの丘の高さを超えないようにギリギリの高さに設定したというガウディ(それでも170mを超える高さ)。
ガウディは本当に、自然のシステムは完璧で神の御技であり、それを手本にすることでどんな物理的な計算に基づくよりも、もっと機能性も耐久性も上がることを確信していたんだと思う。
(↑受難のファサード側の出入り口。やせ細った筋肉の繊維と骨のように見える)
(↑中から見るステンドグラス。朝日が入る生誕のファサードの方は一面寒色)
(↑夕日が入る受難のファサード側は一面暖色。時間によって聖堂内の印象が大きく変わる)
そして、建物全体が聖書の物語全てを表すという壮大なストーリー・テリングでもあるこのプロジェクト。
大聖堂なのでもちろんですが、どこを見てもキリスト教へのリスペクトと、それをアートで表現しようという使命感のようなものが感じられます。
(↑これから完成するイエスの塔への門)
同時に、常に新しい技術は積極的に取り入れて、設計図に手を加え続けながら建造を進めたそうです。
(↑現在サグラダファミリアの地下にあり運用されている研究所。新しいものを採用するガウディの姿勢に習い、今は鉄筋コンクリートや写真右端にある3Dプリンターも活用してスピード爆上がり)
一方、幼い頃から学校で卓越したアートの才能を発揮して注目されたガウディは、もともとキリスト教信者では無かったらしい。
どの時点で信じ始め、洗礼を受けたかは勉強不足でわかりません。
そこまでわかったところで、僕自身の信仰心について意識が向きました。
自分の信仰心
自分は具体的な神(キリスト教の神、イスラム教のアッラー、ヒンズー教の神々など...)を信じるかと問われると、そうではありません。
けれど、既存の宗教とは表し方が違う大いなるものの力、何かわからんけど働いてる大いなるエネルギーみたいなものは感じてきたし、深く信じているところがあります。
雪の結晶が何であんなに複雑で、完璧に統一感のある形に自然にデザインされてるのかも、それを形作っているらしい分子構造のそもそもの偶然の形も、立ち止まって考えると凄すぎてもう意味がわからない。
植物の葉っぱの螺旋状の付き方や、菌根菌を介して互いに情報交換していると言われる植物たちのネットワークも、自分で育てたかぼちゃが数十ミリの種から10メートル近くに伸びることも。
芋虫がサナギのプロセス中に溶けてミックスされて全然違うデザインの蝶になるあの超絶トランスフォーメーションも。
脳のシナプスネットワークの写真と銀河ネットワークのシミュレーション画像が同じ形をしていることも。
(https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/post-95038.php)
人のDNAが二重螺旋構造であり、太陽系もその軌道を辿ると幾重もの螺旋構造になっている(太陽系自体が高速で移動している)らしい。そういった螺旋のフラクタルの連続で世界ができているように見えることも。
人生で目を奪われてきた、無数にも思えるそういう事象の数々が、僕のアイデンティティの大切な部分を形作っていることに気が付きます。
科学的データが充分かどうか、一般論的にどうか、変人扱いされるかどうか。
そういった懸念ごとを一旦手放して、できるだけピュアな自分にとっての真実を手繰り寄せると、言いようのない自然の完璧さへの信頼が浮かび上がってきました。
それがひいては、一人ひとりが持つ世界への信頼の程度に繋がっているようにも思います。
特定の宗教を信じていなくても、こういうのも信仰心と呼んでいいんじゃないかと思ったサグラダファミリア訪問になりました。
この時の動画も作りましたのでぜひ!↓