【スペイン巡礼1日目】体にこたえた巡礼初日 Pamplona→Uterga
2021/9/2
今日が初歩き。
パンプローナで泊まった大型の公営アルベルゲ(巡礼者用宿)"Jesús y María"には122のベッドがあり、今はパンデミックの影響で半分の61が稼働中。
朝6時に合わせてアラームをかけて寝た人が多かったようで、ガサゴソという人々の出発準備の音で目が覚めた。
パンプローナよりも数十キロ前のサン・ジャン・ピエド・ポー(フランス)から歩いている人も多い中、巡礼初心者の我々は周りの動きを感じながら、段々と巡礼に慣れていく。
日が昇った頃に宿を出て、パンプローナの街を歩き始めた。
地図やGoogleマップを見なくても、青地に黄色の帆立貝と矢印が巡礼路を導いてくれる。
大きな公園の中を通り抜け、ナバラ大学のキャンパスの中にもCaminoが通っていた。
大学ではオフィスに寄り道して、クレデンシャル(巡礼証明書)にスタンプをもらった。
目安として、泊まる場所一箇所につき2つ以上のスタンプをもらうことが推奨されている。
基準が今ひとつ曖昧やけど、あまりに少ないとサンティアゴ・デ・コンポステーラ(最終目的地の大聖堂)に着いたときに巡礼証明書が貰えないこともあるらしい。
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老若男女、みんなペースが早い。
“Buen Camino(良い道を)”という挨拶をくれながら、どんどん僕らを追い越していく。
フランスから歩いてピレネー山脈越えもしてる人々は、もう5日目くらいになるはずなので体が順応してるんやろうと思う。
(↑リアカー引いてるおじさんも。その手があったか)
初日の僕らは、自分たちのゆっくりペースを崩さないことを心がけて、ひたすら歩いた。
山道に入っていって3時間くらい歩いた頃。上を見上げると、山の上に風車の列が。
これを横目に歩くのかと思っていたら、風車の間を超えていかないと宿がある街には着けないらしいことがわかってびっくり。
「ピレネー山脈やん!」「ピレネーなめんな」とボケとツッコミを入れながら、キツめの勾配を登っていった。
パンプローナから風車が立っている今日の最高地点までは、標高差が300m強。
慣れていない初日の身体にはかなりこたえた。
フランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポー(通称サン・ジャン)から歩く場合は初日〜2日目にフランスからピレネー山脈超えをするため、この何倍も大変なはず。
僕らは今回、パンデミックの影響でフランスへの入国がスペインのそれよりも難しく、スペイン国内から出発しようということで本来5日目ぐらいの地点パンプローナから出発していた。
今回叶わなかった最初のルートは、いつか改めて歩きたい。
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息が切れ、肩が痛くなってくる。
標高が上がるにつれて、徐々に寒くなってきた。
巨大な風車の列が少しずつ、少しずつ近くなる。
ひたすら歩いて、やっとの思いで頂上に着いた。
景色が良かったのと安心したのとで、ちょっと元気が出る。
頂上にひとり座っていたドイツ人のお兄さんと少し話し込んだ。
既に歩いて5日目の巡礼者として、「最初の4日あいだはちょっとずつ、ゆっくり進んだほうがいいよ」と、重みのあるアドバイスをくれた。
彼は最初に飛ばしすぎて、足を少し怪我したらしい。
ありがたく受け取った。
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そこからは石ころの道をずっと下り。
標高がかなりあるので、地平線に山脈が見える広大な景色が見えた。
それなのに、宿がある街がまだ見えない。
まだまだ歩くことになりそうだった。
巡礼者は、町中でも山の中でも見ればだいたいそうとわかる。
巡礼の道順に沿って同じ方向に歩いていて、ほとんどがトレッキングの完全装備で歩いている。
そして全員ではないけれど、カミーノのシンボル帆立貝や帆立貝のワッペン、人によってはひょうたんをぶら下げて歩いている。
そして巡礼者をだとわかると、他の巡礼者も地元の人も"Buen Camino!"と声をかける。
途中で一緒になった巡礼者とは、歩くペースがそれぞれ違うので無理をせず、しばらく話した後にまた離れていくことが多い。
けれど、追い抜いたり追い抜かれたりで何度も何度も顔を合わせて、自然と名前と顔を覚えていく。
休憩のタイミングが重なったりすると、割とじっくり話せて段々と仲が深まってくる。
歩くペースが近い人は、明日も明後日も見かけるんやろう。
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いくつもの小さな村を通り過ぎて、歩き疲れてきた。
この巡礼をきっかけに用意した高性能の中敷きに助けられてはいるものの、それでも足の裏も痛ければ、バックパックを支える肩も痛い。
14時を過ぎると日差しも一段と強くなった。
いよいよしんどくなってきたと思ったとき、今夜泊まる町が遠くに見えてきた。
ラストスパート。
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予想よりもやや遅れて、15時に辿り着いた町ウテルガは、小さな町だった。
宿泊所は2つだけ。
アルベルゲが向かい合って建っている。
メールで予約していた方の "Camino del Perdón" に入ると、一階がテラスとバルになっていた。
クタクタだったので、キッチンスタッフの人がフレンドリーにチェックインの手続きしてくれて、精神的に助かった。
ドミトリーの一番奥、二段ベッドの上下をあてがわれた。
上も下もギシギシ言うので夜は気を遣いそうではあるけれど、マットレスは綺麗そうで使い捨てのシーツも配られるので、ベッドバグ(南京虫)の心配は無いっぽい。
一段落してから一階で注文した簡単なお昼ごはんは、それはもうめちゃくちゃ美味しかった。
前の宿で隣のベッドだったギリシャ人のおじさんが、向かいの宿から僕らを見つけて手を振ってくれた。
体を休めて、着ていた服を手洗いして干し、シャワーを浴びて横になった。
巡礼者たちは比較的早く寝るけれど、ここには地元の人達も結構飲みに来るので、一階のテラスは夜でも割とガヤガヤしていた。
早く寝たい人には少し寝にくいかもしれないけれど、巡礼者だけじゃなく地元の人が普通に集まる場になってるのは何というか、気持ちがいい。
寝る前に宿を出たところにあるベンチに座り、今日の振り返りを収録した。
昼間はあんなに汗だくになったのに、夜はかなり肌寒い。
この日の振り返りの録音は、こちらから聴けます。↓
明日は目的地を近く設定。
7.3km先の町、Puente la Reinaを目指す。
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7:20 Pamplona出発 - 15:00 Uterga到着
7時間40分 20km 28393歩
Camino del Perdón泊