【スペイン巡礼4日目】 Caminoを歩くそれぞれの理由 Estella→Villamayor de Monjardin
2021/9/5
巡礼4日目。
お腹の張りと痛みが引かない。歩くのに支障はない程度ではあるが心配なので、次の街まで引かなかったら病院に行ってみようとゆり(妻)と話す。
相部屋だったいかつめのイタリア人の兄ちゃんは先に出発していった。
巡礼初日に丘の上で言われた、「最初の4日間はゆっくり進んで、体の声を聴かないとしっぺがえしが来るよ」の言葉を思い出す4日目。
今日の歩行距離は体の声を聴いて短く設定したので、朝はゆっくり目に休んでから出発した。
8時半を過ぎてから出発したけど、今日は曇りで涼しくなりそうで助かる。
雨は降らなければいいな。
ほとんどの巡礼者たちは先に出発していたので、前半はあまり人に会わない。
スペインでも最高峰にワインが有名な一帯を歩いていることもあり、毎日たくさんの葡萄畑を見かける。
無料でワインが補充できる蛇口まであった。
暑過ぎず寒過ぎず、心地いい気候の中、ひたすらに黄色い矢印に沿って歩みを進めていく。
6kmくらい歩いたところで、なんとも景色のいいバルがあった。遠くに尖った山が見える。モン・ハルディン(ハルディンはスペイン語で庭の意)という有名な山らしい。
中に入ると、店員が誰もいないし呼んでも出てこない。
留守かなと思い振り返ると、スペイン人の父娘が入ってきた。
ここは店員さん1人で調理から接客、洗い物までまわしているから忙しいのよ、と教えてくれた。
なるほど、しばらくしたら奥から小走りで必死な感じのお姉さんが出てきて、外のテーブルに直行していった。
忙しいんやね、と話しかけると、「リマインドしないでくれる?」と笑いながら返された。なんかごめん。
後から来たスペインの親子がめちゃくちゃいい感じのオーラ放ってたので、しばらく話し込んだ(僕らのコーヒーも10分後くらいに無事できた)。
この辺に住んでるの?と聞いたら、バルセロナに住んでるとのこと。
バケーションで少し先の「ロス・アルコス」という町を訪れる際に、この小さなバルで朝ごはんを食べるのがいつもの習慣らしい。
お父さんがまたユーモア満載の人で、めっちゃ喋ってくれる。
地元の人たちとも、アルベルゲのオスピタレロ(従業員)とも、巡礼者以外のスペイン人旅行者とも、こうして行きずりの関係を築いて自由に楽しく話ができる。
スペイン巡礼の醍醐味の一つやと思う。
***
午前中のうちに次の町、Villamayor de Monjardin(ビジャマジョール・デ・モンハルディン)の大聖堂の鐘の音が聞こえてきた。
今日はまだ体力に余裕があって自然と周りに目が向けられるのが嬉しい。
次第に見えてきた町は、サイズは小さめで風景が綺麗だった。なんとなく良さげな雰囲気を感じる。
アルベルゲは、町の坂を上がったところにあった。
外で見覚えのある女の子が1人座って何か書いている。
巡礼初日に到着したウテルガの宿で見かけた人だった。ゆりと「あの子なんかかわいいやん、エネルギーめっちゃいい感じ」と話してたのを覚えてる。
彼女はカレン、ドイツ人。
僕らが今歩いているフランス人の道ではなく、より険し目の北のカミーノ(カミーノには何本もバリエーションがある)を歩いていた。
けれど膝を痛めて歩き続けられなくなり、仕方なく休息も兼ねてフランス人の道に移動して、ゆっくり様子を見ながら歩いているとのことだった。
話していて終始、とっても明るい。
「11時には着いてたんだけど、3時にならないとアルベルゲが開かないとドアに書いてあって。でもWiFiは拾えるからここで日記を書いてるよ、一緒にどう?」とカレン。
一緒にのんびり待つことにした。
そこに、別の巡礼者も到着。
僕らとカレンは相当早く着いた方なので、午後にかけてどんどん人が増えるやろう。
新しい彼は、スペイン語も話せるフランス人の男性だった。
今日ここの宿は予約しておらず大丈夫かとそわそわしていたが、待ってみないことにはしょうがないと落ち着いた。
しばらくして僕とゆりは近くのバルで昼食を済ませ、2時過ぎに戻ると、やっぱりたくさんの巡礼者の姿があった。
カレンの周りに座る一団に混ぜてもらう。
サングラスの彼(名前忘れちゃいました)はイギリス人で、右の女の子はカレンと同じくドイツ人のクラリサ。
アルベルゲが開くまで、お互いの旅路のことを小一時間喋り続けた。
会話の途中に、カミノに来たのは宗教的な理由もあるの?とこの3人にも聞いてみたら、全員違うと答えた。
イギリスの彼は、子どもが4人いて30年間ずっと働き続けてきたけど、たまにはこうして家族と離れて自分の頭を整理するまとまった時間が欲しいんだと言っていた。
それをするのにカミーノは完璧だと。
クラリスは大学院で気象学の勉強を終えたところ。だけど、自分が進みたい道は他にあるとピンときちゃった。
それで、これからどうするかを考えるためにカミーノに来たとのこと。
会う人に結構同じ質問をしてきたけれど、今のところYesと答えた人は1人もいない。
もちろん神父さんが歩いていたり敬虔なカトリックの人も歩いているのは確か。
日本で「カミーノを歩くんです」と人に言った時には、たまに「えぇ、カトリックじゃないのに歩くんですか?」「いいんですか?」というような質問をもらったことがあった。
実際行って体感してみないとその辺も答えられないな、と思っていたけれど、歩く理由は本当にみんなそれぞれだった。
***
3時少し前に、ここのスタッフだという2人の男女が元気よくやってきた。
みんなに飲み物を振る舞ってくれ、到着した順番にゆったりとチェックインの手続きをしていく。
会話の一つ一つに含まれるユーモアや、全員の名前を既にちゃんと把握してるところから、この段階でもういいバイブスを感じた。ここは多分、いい宿。
20時半から「Jesus Meditation(イエスの瞑想)」なるものが開催されるというので、それまでにやることをやろうと、チェックインとシャワー、洗濯を済ませた。天気も景色も良くて、干すのも気持ちいい。
また下のスペースでみんなと団欒したあと、部屋でこまごましたことをやっていたら、気がついたら21時に(!)
忘れてた!と急いで下に降りていったら、受付をしてくれたおじさんがひとり座っていて、そろそろ終わる頃だと教えてくれた。
残念。
そのまま、ゆるりと落ち着いたエネルギーを纏う彼と話をした。
彼はオランダ人だった。
そしてこのアルベルゲはクリスチャン団体が運営していて、50日間くらいの間ここでスタッフをするクリスチャンのボランティア達が入れ替わりでオスペダレロ(宿の世話人)を務めているんだそう。
僕らがどうしてCaminoを歩きにきたか、という話を聞いた彼は、「YURIは13年前からスペインに来たくて、Kentaroは10年前に南米でスペイン語を習得して、でも2人が知り合ったのはずっと後のことなんだろう?それはもう何というか、素晴らしい巡り合わせだなあ」
そんな言葉をくれた。
じきにJesus Meditationを終えた他のスタッフのみんなも集まってきて、彼らとも一緒にめちゃくちゃ心温まる時間が過ごせた。
「Jesus Meditationに出られなかったのも、ここでこうやって話をするためだったのかもね」とも。いやもうほんとそう思います。
このアルベルゲの名前は "Albergue Oasis Trails"。これから歩く人におすすめしたい場所の一つです。
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8:40 Estella出発
11:40 Villamayor de Monjardin到着
3時間 9.2km 14,293歩
Albergue Oasis Trails泊
↓この日の動画はこちらから