「女優のような美人」にはなぜ会えない? 婚活の悲劇と知っておくべき相談所の現実
先週から今週にかけて、話題になった記事があります。「『女優のような美人』のはずが……。50代男性が結婚相談所で出会った女性の現実」。デイリー新潮からヤフーニュースに転載された記事です。雑誌総合アクセス1位になっていたので、ご覧になった方も多いと思います。
筆者には、モバイル課金型アプリ初の「恋愛EQ診断」(インデックス・ホールディングス)、結婚相手紹介市場初のアセスメント「結婚EQ診断監修(現在の恋愛傾向診断)」(Zwei)の監修実績があります。婚活市場にも精通しているので、新潮の記事をさらに掘り下げて、「婚活市場の実態」について解説したいと思います。
「結婚情報サービス」とは
結婚相手紹介サービスは結婚希望者を会員に登録し、コンピューターを使用して、結婚相手を紹介する業態のことです。結婚相談所といえば分かりやすいと思います。結婚情報サービスを利用するには、いくつかの公的データの提出が義務付けられます(戸籍抄本、納税証明書、給与明細、卒業証明書、誓約書など)。会員になったら、ID・PWが付与され、専用画面からログインします。自分が希望する相手にお見合いを申し込むことで活動が始まります。
一方で、結婚情報サービスはトラブルが多い業種ともいわれており、国民生活センターでは特定商取引法の対象にしています。そのため、書面交付義務、不適切な勧誘行為の禁止、クーリングオフ、中途解約時における損害賠償額の制限等の規制が適用されています。
「成婚率90%」「当社の会員は上場会社の管理職が8割」などの広告を流している業者がありますが、実は成婚率90%と表示することに意味はありません。適切なサービスを提供することで成婚率がアップするものではないからです。銀行や投資会社が「もうかります」といえないことと同じで、結婚情報サービスも「絶対、結婚できます」とはいえません。
また、結婚相談所で使用される会員データは共通(同一データ)です。同じデータをもとにマッチングを行いますが、提供する金額はバラバラ(変動料金)です。つまり、「同一データ・変動料金」ということになります。
同じデータであるにもかかわらず、変動料金であるのが興味深いところです。初期投資で年間費数十万円かかるところもあれば、年間費無料でマッチングした件数にのみかかるところもあります。マッチング料金もかなりの幅(5000円~3万円)があり、さらに、マイページの上方修正や写真差し替えに数万円かかる業者もあります。成婚料にもかなりのバラつきがあります。
申し込む時点で相談所をいくつか比較検討する必要がありますが、優良な相談所を見分けるポイントは2つです。一つは申し込む側にとってリスクが少ないこと。登録時の初期費用や月額フィーが安いところはマッチングに自信を持っているので、優良相談所と判断できます。また、相談所の実績やカウンセラーの力量が成果に影響を及ぼします。
マッチングは高級ホテルが定番
新潮の記事では、「週末のシティーホテルはお見合いのメッカ」と書かれていますが、シティーホテルを高級ホテルと考えれば分かりやすいと思います。都内であれば、帝国ホテル(有楽町)、セルリアンホテル(渋谷)、京王プラザホテル(新宿)などはまさにメッカでしょう。ホテル内のラウンジやカフェには、スーツ姿の男女が所狭しと着席しています。
待ち合わせは席で待ち合わせをする場合と、ホテル内の目印になるような場所(花屋、エレベーターの前)になる場合があります。しかし、この場所には大勢の男女がひしめき合っています。婚約写真3割増しですから、相手と待ち合わせができない場合があります。ただ、最近は待ち合わせ専用回線なども準備されているので、相手と会えないケースはあまりないはずです。
ではなぜ、相談所は婚約写真を3割増しにするのでしょうか。婚約写真がすてきな方はマッチングの件数が増えます。会員はマッチングの件数に応じて、相談所に料金(5000円~3万円)を支払います。相談所の運営において、マッチング料は非常に大きな意味を持ちます。また、マッチング件数が少ないとトラブルになる可能性があります。そこで、写真の修整は相談所が積極的に写真館などを指定しているのです。
お見合いではスーツが定番ですが、筆者はスーツをおすすめしません。皆同じに見えてしまうからです。お互いの印象がよければ、次回以降の「交際フェーズ」に移行しますが、土日のデートにスーツで登場する人はいないと思います。ですから、お見合いの場にはスーツではなく、ジャケットを着用したセットアップで、ガチガチに決めすぎない方がいいと思います。
お見合いのお店は予約した方がいいでしょう。週末の高級ホテルのカフェは、お見合い以外の利用客であふれ返っています。お見合い前に入り口のエントランスで30分、場合によっては1時間待った自分を想像してください。席に着席する頃には、ヘトヘトになってお見合いどころではなくなっています。予約ができないホテルなら、男性側が30分前に到着して席を確保しなければいけません。最近は相談所お断りのホテルが多いので、その辺りは調べておきましょう。
お見合いはマンツーマンなので、男性に会話力がないと話が弾まずに「終了」となってしまいます。会話は簡単には上手になりませんが、お見合いという特殊な環境における慣れも必要です。最も多いのが会話がかみ合わないケース。よくある事例を紹介します。
女性:どんな料理がお好きですか? 日本食が得意で教室も通っています。
男性:日本食は芸術です。日本食は「目」で食べなければいけません。
女性:「目」で食べるのですか?
男性:素材への気遣い、お皿との一体感。「椀」の気持ちよさも大切です。
女性:「椀」の気持ちよさ…ですか?
男性:唇が椀から離れた際の気持ちよさです。適当なあんばいで必要です。
女性:はあ…どんな料理がお好きですか? 私は卵料理が好きなんですが。
男性:卵料理も芸術です。うんちゃらかんちゃらの………
女性:無言
結婚相談所に期待される役割は大きい
会員同士のマッチングを実現するには、結婚に関する専門的な知識・スキルが必要とされ、高いレベルのコミュニケーション能力が不可欠です。単なるお相手探しではなく、会員の人生設計、キャリアプランなどさまざまな局面に対応できる豊富な知識やノウハウを提供するため、カウンセラーに求められる能力は高まっています。
晩婚化は、少子化の要因の一つになっています。このような環境を考えれば、結婚相手紹介サービスに期待されている役割は小さくありません。今後、結婚相手紹介サービスの社会的意義は高まっていくように思います。「婚活の悲劇」「写真と全然違う」というネガティブ記事が目に付きますが、活動している本人は至って真剣です。くだらない誹謗(ひぼう)中傷に惑わされることなく、良い部分、悪い部分の双方に目を向けるようにしてください。
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外部リンク ※アクセスが良かったので紹介します。
Yahoo!ニュース(2020.8.8)
オトナンサー(2020.08.08)より転載。一部記事用に加工。
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