一期一絵 工場裏 1975
京王線の初台駅は新宿を出て最初の駅でこのあたりはまだ地下を走る。たしか三つ目の幡ケ谷あたりで地上に出たように思う。
この初台近くに住んでいた。もう半世紀も前のことで記憶も曖昧だ。いちばん最寄りの駅は小田急参宮橋だったが、悪い友だちが京王線沿いにポツポツいたのでこの線をよく利用した。
初台、幡ケ谷、笹塚と続くのだが、笹塚くらいまではふつうに歩いていた。
この「工場裏」は1975年とある。歩く途中にこの工場はあった。結構、マジメに絵に励んでいたころだ。
笹塚にある渋谷区立西原図書館があって好みの本が多く利用した。ある時、大量の在庫処分本があって駐輪場脇に山積みされていた。引き取り業者を待つばかりだった。何気なく眺めていると、なんと布製本の「劉生絵日記」全三巻が山の中にあった。係りの人に「もらっていいですか」と言うと「いいよ」となった。裏に廃棄の検印がちゃんと押してある。
笹塚の駅から線路沿い、工場はあった。新宿中村屋の最初の工場で、月餅やらカリントなど人気の菓子を製造していた。中村屋はその後、関東各地に工場を拡大し、いまや全国ブランドとして人気だ。 半世紀前の工場裏からは想像しがたい。いまは再開発で大マンションがそそり立つ。カリント工場の面影はかけらもなくなった。
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