虚誕解説 Part6(Remember11 Loop1)
この解説は、以下のinfinityシリーズのネタバレを含みます。
以下の作品をプレイしたことのない方は、解説をご覧になる前にプレイすることをお勧めします。
なお、このマガジンでは、Ever17についてXBox版の内容を含みません。
Never7 -the end of infinity-
Ever17 -the out of infinity-
Remember11 -the age of infinity-
製作者のコメント
プロデューサーの市川氏によると、Remember11は、元々全3章の構想でしたが、最終章が削られた状態で発売されました。
最終章にあたる部分は、続編として発表することが検討されたものの、結局発売されることはありませんでした。
そのため、Remember11には、未発表の続編への伏線となる謎が含まれていると思われます。
一方、監督などを務めた中澤氏がPSP版発売時に年表という形で新たな情報を追加しています。
これにより、Remember11では明かされなかった計画の全貌を明らかにすることが出来るとコメントしています。
年表
年表から注目すべき情報は以下になります。
ユウキドウは妹の沙也香の死亡に関与しているが、それはアイツに操られた結果だと考えている。
ユウキドウは犬伏が行った阿波墨の事件を契機に自身の考えに確信を持ち、アイツをこの世界に誘い込むためのユウキドウ計画を立案する。犬伏の言葉を拝借してアイツのことをセルフと名付ける。
テラバイトディスクは、事故報道後にユウキドウがゆにから受け取る。テラバイトディスクは一部暗号化されていたが、ユウキドウは解析に成功する。2012年のSPHIAのゆにの部屋に戻す際に他人に見られたくない情報は再び暗号化される。(※筆者注 ユウキドウがテラバイトディスクの管理者だったと考えられる)
時空間転移装置の開発は難航していたが、テラバイトディスクの情報を基に完成させる。
ユウキドウ計画は、テラバイトディスク入手後に大幅な修正がされている。実験場がオーストラリアから朱倉岳・青鷺島・穂樽日の3点間になる。また、目的が実地におけるデータ収集だったのが、黛たちの救出とセルフの捕獲が加えられる。
中でも、阿波墨事件時の項目でキュレイシンドロームの第3の特徴の条件である妥当性と理想性の記述が存在します。
これは前述の中澤氏の記事でも強調されており、真相に繋がるヒントと見ていいでしょう。
これらの記述から読み取れることは5つあります。
キュレイシンドロームはいずれの作品でも効力があります。
特に、プレイヤーの妄想もキュレイシンドロームの現実化の対象となり得るというのは、ゲーム中で明示されていません。
Never7の解説でキュレイ空間を概念化したのは、これを論理立てるためでした。ユウキドウがキュレイシンドロームを発症しています。
セルフが現実化したのは、ユウキドウのキュレイ空間ということになります。
ユウキドウ計画は、彼の視点でどうすればセルフという超常的な存在を捕らえられるかを意識することが重要になります。犬伏がセルフに関係しています。
ユウキドウは、阿波墨事件にセルフの存在を確信するほどの妥当性を見出していました。
ユウキドウが沙也香死亡の際にセルフに操られた(とユウキドウ自身が考えている)ように、犬伏もそうだったと思わせる兆候が見出されたことになります。ユウキドウがキュレイシンドロームを発症し始めたのは過去のことです。
これまでの作品では、核になる概念はキュレイ空間内で実行される計画によって現実化しました。
一方、セルフの現実化の切っ掛けとなった沙也香と阿波墨の事件は、ユウキドウ計画とは直接関係のない過去の出来事です。
Remember11の真相に、セルフの妥当性や理想性は関係ないと考えられます。
(ただし、最終章の真相に関係していた可能性はあります)セルフはユウキドウの主観に基づいた概念です。
Ever17のBWは、直接優春に接触しています。
そのため、優春達にとってBWが高次元存在であったとしても、その存在を認識してコンタクトを取ることが可能です。
一方、セルフはユウキドウが自身を操った超常的な存在を一方的に妄想しているに過ぎません。
ユウキドウ計画の目的がセルフを捕らえることならば、どのようにしてセルフにコンタクトを取って誘き寄せることが出来たのかを考える必要があります。
[補足]打越・中澤作品には、Remember11を含むinfinityシリーズのセルフオマージュが散見されます。
(例えば、打越氏のZeroEscapeシリーズや中澤氏のI/O)
あえて比較はしませんが、それらの描写を解説の参考にしています。
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