ゲームキャラも脱出のため奮闘するがゲーム作家もまたリリースのため奮闘する
ハーイ、ホラーゲーム作家のかずぞうです。
前回「最終デバッグ工程までたどり着いた」と書いていた作品が無事なんとかApple審査を通過!iOS版が8月30日にリリースされることになりました。Android版は現在審査中で、近日リリース予定。
ここ数年は新作ゲームをリリースしていなかったけど、ようやくリリースできた!
タイトルは『RED HOOD BIZARRE(レッド・フード・ビザール)』。童話「赤ずきん」をベースとした脱出ゲームです。
おばあさんともども狼に食べられてしまった赤ずきんが、猟師によって助け出される…というストーリーでおなじみ「赤ずきん」。でも実は、原点とされるシャルル・ペロー版の「赤ずきん」の結末はそうではありません。
猟師が助けに来ることなく、狼に赤ずきんちゃんが食べられてThe Endという、ゲームオーバー的なエンディングなんですな。ショッキング!
今回はこのペロー版「赤ずきん」に着想を得て、現代を舞台のホラー脱出ゲームとして作りました。あくまでベースにしただけなので、「赤ずきん」を再現しようとしたものではなく、ストーリーはあくまでオリジナルです。
ゲーム的には、アイテム探索型の脱出ゲームです。画面をタップして謎の手がかりとかアイテムを探して、先に進んでいくというタイプのゲーム。スマホだとおなじみのゲームジャンルですな。
一般的な脱出ゲームと異なる点は、リアルタイムの戦闘要素。呪われた家を探索中、少女を襲う“ナニカ”が突如出現。出現したナニカに接触してしまうとゲームオーバー。
“ナニカ”を打ち祓うには、正しいアイテムを用いる必要があります。もちろん、“ナニカ”と接触するまでの限られた時間内に。これまでリリースしてきた「時限脱出ホラー・封印」シリーズの延長線上のようなシステムになっています。
トレーラー動画を作りましたので、よかったらご覧ください!
『RED HOOD BIZARRE(レッド・フード・ビザール)』トレーラーURL
まあつまり、この赤ずきんちゃんが、呪われちゃってヤベー状態になった家から脱出すべく奮闘する的なゲームなわけです。
ちなみに奮闘していたのは赤ずきんだけでなく、オレも奮闘しました!ゲーム作家がゲームを作る場合何に奮闘するのか? おもしろいゲームを作るための調整? カッコイイビジュアルエフェクト? ダークでおどろおどろしいBGM? …まあそういったゲーム要素を作るのにも奮闘するのですが、やはりアプリゲームの場合、審査に奮闘するわけです。
ゲームに限らずスマホアプリは、AppleやGoogleでリリースする際に審査というのがあり、そこで修正を言い渡されることがあるんですな。
ちなみにオレが最初にくらった修正は、「うんこ」の表現について。
…あ、今食事中の方いたら申し訳ありません。食事やめてください。これからうんこの話するんで!
で、何かって言うと「死刑囚 -最期の3日間-」というゲームで。もうリリースしていないんだけど、コイツは死刑執行まで残り3日となった死刑囚を育成するという、「育成してもすぐ死ぬじゃん!」というブラックな表現を盛り込んだクールでナイスなゲームアプリでした。
で、まあ育成する対象は死刑囚なんだけど、一応育成ゲームなんで、食事したり、うんこを流したりするわけですよ。ってことは、ゲーム内容の説明として、ちゃーんと書かなきゃいけない。
だって考えてもみてください。たいていのゲームはうんこを流さないんですよ。現実社会では皆大体一日一回はウンコ流しているってのに、ゲームの中だと一回も流さない!
まあでもそういうものなのだから仕方がない。ただ、前述の通りたいていのゲームはうんこを流さないわけなので、そんな中に「うんこを流すゲームが」出てきたら、お客さんもビックリしますよね。ビックリしてうんこもらすかもしれない。
そうなると、クレームに発展するかもしれないので、ちゃーんと「このゲームはうんこを流すゲームですよ」と明記せねばなるまいと、コンプライアンス上級のオレは思ったわけです。
で、当然アプリはグローバルにリリースするものなので、英語でもその説明を書きました。「This game has an element to shed shit」とね。
そしたらあなた、これが審査NGですよ!不適切な言葉を使っていると!でも、不適切な言葉を使っているっていうけど、ゲーム中にうんこが出てくるのは事実なので、正直者なオレとしては書かざるを得ない。なので、交渉した結果…Shitという表現がNGということがわかったわけです。いわゆるSワード、放送禁止用語だもんね!そりゃNGくらうわけだ。
正しく書くなら「This game has an element to shed poop」。コミック『captain underpants vs professor poopypants』の poop らしい。みんな、勉強になったね!おならプープ!
ちなみに、今回の『RED HOOD BIZARRE(レッド・フード・ビザール)』には、そのようなはしたない表現は登場しません。水洗便所のように美しいです。しかし、にもかかわらず審査NGを2回くらいました!
1回目はスクリーンショットの件で。これは、スクリーンショットに余計なPRの言葉が乗っかっていて、ゲームアプリの画面をそのまま撮影したものではないからとのこと。どんなものか、お蔵入りさせるのももったいないのでここに掲載しておきましょう。
この指摘は正しいと思っていて、確かにこのスクリーンショットは非常に広告的。ただ、4年前くらいはこうしたスクリーンショットのゲームアプリも少なくなかったように思う。
ただ、ストア内ではアプリの説明と売り込み文句は分けるべきで、かつアプリページについてはできる限りアプリの説明に徹し、フラットに選んでもらった方がお客さん的にもデベロッパー&パブリッシャー的にも結果的によいということはわかります。オレもそう思う。
というのも、4年前の時点でも既に、売り込みと説明が混ざり過ぎて、本当にそのアプリが含んでいる機能なのか、そうでないのかがわからないって状況に陥っていたんだよね。
ゲーム内の映像には、ゲーム画面に描かれる映像と、ゲーム画面上は出てこないけど、設定資料としては存在する映像(たとえばコンセプトアートなど)がある。で、ゲーム内には出てこないかもしれないけど、コンセプトアートを広告に使用するってのは別に変な話じゃない。たとえばパッケージアートが広告に使われることは多いけど、パッケージアートが必ずしもゲーム内で描かれるとは限らないしね。
だからこれ、難しい問題ではあるんだけど、でもストア内のゲームには、相当まぎらわしいものもある。自由にフィールドを移動可能な3DFPSのように見せかけておいて、実は移動要素なんてまったくない、2Dのガンシューティングゲーム…なんてこともあるし。
そんなこんななので、この判断は正しいと思うわけです。ただオレの感覚が4年前のまま止まっていたので、今回は売り込みモリモリ~なスクリーンショットを作ってしまいました。が、次回作以降は、ゲームの画面をそのまま撮影したものを使おうと思います。
で、2回目の審査NGは、「全キャラクター画像を提出して」というもので、これは理由がわかりません。…多分、主人公が少女なので、なんかこう、はしたないシーンがあるんじゃ…とか心配されたのかも…。
でも先ほど書いた通り通り、今回の『RED HOOD BIZARRE(レッド・フード・ビザール)』には、そのようなはしたない表現は登場しないんですよ。なので、全キャラクター分の画像を颯爽と提出し、無事審査通過したわけなのです!
…というわけで皆様、ぜひぜひダウンロードしてください!無料です。